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セプテーニが語る動画マーケティングの最前線-第二回:「動画広告に欠かせない3つの◯◯力とは?クリエイティブに求められる役割と価値」|WireColumn

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インターネット環境におけるデバイスの変化や接触頻度の増加にともない、オンライン動画広告が果たす役割は様々な広がりを見せています。それにあわせて、ダイレクトレスポンスマーケティングのみではなく、潜在層に対するブランド認知・サービス認知を深めるための動画広告を用いたコミュニケーションについて、広告主から相談いただくケースがここ1、2年で急増しています。

そこで、第二回目の今回は「動画広告に欠かせない3つの◯◯力とは?クリエイティブに求められる役割と価値」と題し、オンライン動画広告クリエイティブにおけるコミュニケーションプランニングやPDCAサイクルの回し方、表現の可能性について、主にブランディングの視点からご紹介します。
※今回は便宜上、ブランド認知・サービス認知を目的とした広告をブランディング広告という言葉で表現させていただきます。

広告主の目的達成のために必要な3つの「◯◯力」

昨今、テクノロジーの発展により、スマートフォンが1台あれば欲しい情報を簡単に入手できるようになりましたが、それは言い換えると、一人ひとりが自ら情報を取捨選択することが当たり前になっているということでもあります。これにより、広告主が意図して発信した情報を「ターゲットに見てもらう」というハードルは、年々上がっていると言えるでしょう。

「広告が無視される時代」というフレーズは、もう何年も前から使われていますが、人間関係で置き換えて考えてみると、自分を無視する人(嫌っている人)に対して、自分の魅力を一方的に話しても当然耳を傾けてもらえません。どのようなタイミング・方法でアプローチすれば話をきいてもらえるのか、まずはここを考える必要があります。
広告においても一方通行でスルーされるものではなく、ターゲットがつい見てしまう「真の視聴」を可能にする動画広告を制作することが非常に重要だと考えています。

前回の記事「何気なく動画広告をまわしていませんか?動画広告の本質的な価値を見るために」でも触れているとおり、広告主のオンライン動画広告の実施目的はいくつかに分類されますが、動画を制作する上ではすべての目的に共通する、以下3つの力が重要と言えます。

①ターゲットの心理・行動変容を促すコミュニケーションプランを導くための「仮説力」

②クリエイティブ変数を読み解く「分析力」

③意図した動画表現をかたちにする「実現力」

①仮説力:ブランディングのコミュニケーションプランニング

ブランディングにおけるコミュニケーションプランニングでは、ユーザー・市場分析、競合分析、自社分析などいわゆる「3C」と呼ばれる広告主を取り巻く環境の分析を行い、ターゲット設定、動画広告の訴求方法など多岐にわたる要素を踏まえ戦略を考えます。中でも、ターゲットユーザーに伝えるべき訴求の仮説を立て、媒体の特性に合わせて目的達成確度の高い表現をすることがとても重要です。

目的達成確度を高めるための仮説設定と表現方法

ブランディング目的の動画では、今までリーチできていなかった人(ターゲット)や商品・サービスが訴求対象となります。つまり「ターゲット」「情報」「伝え方」のいずれかの”新たな要素”があるクリエイティブを開発することになるため、ダイレクトレスポンスマーケティング以上にユーザーの共感(自分ごと化」を得るコミュニケーション)が必要です。

共感を生むクリエイティブを制作するためには、代理店が広告主と同じもしくはそれ以上に広告主を取り巻く環境を理解し、状況に適したコミュニケーション戦略を立てることが求められます。

そこでセプテーニでは、リサーチに特化したチームが、広告主を取り巻く環境を様々な視点でリサーチしています。またソーシャルリスニングの専門ツールも導入し、商品・サービスや市場環境を取り巻くユーザーインサイトのデータによる可視化に取り組むなど、商品の訴求ポイントやターゲットインサイトの仮説立てを行っています。

また、主要媒体ごとにリーチ量が多い動画を収集し、そこから媒体の特性上視聴されやすい動画、すなわち認知・広告想起の態度変容を狙いやすい動画のパターンを導き出しています。

リサーチから導き出した商品の訴求ポイントやターゲットインサイトと、媒体特性から導き出した表現方法の仮説を掛け合わせて、広告主独自の新しいクリエイティブを生み出す。この発想を仕組み化することによって、目的達成確度の高い表現方法を追求しています。

(図1)

図1

一方で、ユーザーになりきって考える感覚的アプローチも重要視しており、「本当にこの仮説で態度変容が起こせるか」を自問自答し続けることで机上の空論に終わらないコミュニケーションプランを常に意識しています。

②分析力:仮説と結果の相関性

オンライン動画広告を運用するにあたり、広告効果を分析し、次のクリエイティブ、ないしは次のプロモーションで活かせる要素を見つけ出すことは、PDCAサイクルを回す上でとても重要です。

オンライン動画のPDCAサイクルの回し方

動画広告は多数の要素を含んでおり、静止画広告と比較してPDCAサイクルを回すことが難しいと思われがちですが、セプテーニではすべての動画クリエイティブの構成要素を「言語化して分類」することで、目的達成に対して何が有効で、何が課題なのかを分析しやすくしています。

(図2)

図2

仮説に基づいて作成したクリエイティブの中で、これらのどの要素が目的達成に相関しているかを、配信結果と照らし合わせて分析することで、それを元にPDCAサイクルを回すことが可能となります。こうした考え方には、成果とクリエイティブを常に紐づけて考えるダイレクトレスポンス領域で培われたノウハウが活かされています。

ブランディング目的の動画広告配信では、TVCMとオンライン動画を同時期に配信するケースがありますが、この場合も同様にクリエイティブの構成要素を言語化・分類し、分析します。そして、オンラインとTVCMの双方で認知・想起がおこなえるコミュニケーションプランニングを設計していきます。

最近では、ユーザーの初回接触メディアが必ずしもTVであるとは限りません。オンラインの接触率が多いユーザーからすれば、オンラインで動画広告を見た後にTVを見て、「YouTubeで見たあの商品だ」となるケースも往々にしてあると考えられます。

そのため、どちらが初回接触になってもいいように、オンライン動画クリエイティブの構成要素の一部をTVCMとあわせる形に変更し、パターン違いで検証したり、TVCM動画をオンラインメディアで見られやすい形にカスタマイズしたりします。
このように、時にはオンラインでの広告配信結果を元に総合代理店と共同でTVCM制作を行うなどして、効果の高い動画クリエイティブを追求していきます。

③実現力:意図した動画表現を以て、真の動画視聴を実現

ブランディング目的の動画クリエイティブにおいては、「思わずユーザーが見たくなる=真の視聴を実現できる動画」を制作することが重要です。

WEB上で見られやすい演出やシナリオを基軸にしたコンテンツ制作

「思わずユーザーが見たくなるような動画」を制作するにあたり、セプテーニでは下記のポイントを重視しています。

1.初めて見るような新しい表現、演出、シナリオ
2.時代を捉えたテーマ(トレンドも可)

動画のプロットやシナリオを具体的にする前に、この1・2を念頭におき、テーマや登場人物を設定することがとても重要です。

例えば、ある1人の女の子が苦難を乗り越え、好きな男の子に告白するという物語のプロットを先に書きあげたとします。少々インパクトに欠けるため、後から「主人公を異色肌ギャル(※)でAIの設定にしよう」と付け加えるよりも、異色肌ギャルでAIの子が人間に恋をしてしまい、人間とロボットの壁を越えて恋に落ちる物語、という前提でプロットを組み上げていくほうが、細部に演出が行き届いた、面白い映像を考えることができます。
上記事例の中では、1=異色肌ギャルの設定 2=AI という構成になっております。
もちろん、シナリオや登場人物をある程度固めた後に、1や2を踏襲することも可能ですが、世界観や登場人物の細かい設定に矛盾が起こりやすくなります。設定に矛盾があると、視聴ユーザーに違和感(=情報伝達に必要のないノイズ)を与える映像になってしまいます。そうならないためにも、1・2を先に決めることで、プロット作成をスムーズに行うことができます。

※肌をピンクやみどりなどの鮮やかな色にメイクする女の子のこと。

ユーザー視点を重視したコンテンツ構築

次に起承転結の構築、つまり制作チーム内でプロットのすり合わせを行います。動画広告にはある程度、視聴されやすい尺(長さ)の傾向がありますが、本当に見られるコンテンツであれば、尺はあまり関係ないと思っています。

そのため、コンテンツを決める前に制約を設けすぎず、まずはプロットをしてみて、いるもの・いらないものを決め、その後に実際のシナリオをおこしていきます。
ここで非常に重要なのは”ユーザー視点”を常に考えることです。

「①仮説力:ブランディングのコミュニケーションプランニング」で述べたように、ブランディングを目的とする場合、そのブランドやサービス・商品を知らない(興味がない)ユーザーへのアプローチとなるため、ユーザーに伝わりやすい形に魅力を変換し、共感を生むクリエイティブを作ることが求められます。
そのために、まずはブランドやサービスに対して好意的になってもらうために、ユーザーが見たくなる”フック”を作り、それを軸にストーリーを肉付けしていきます。

同時に、いらないものもしっかりと判断していきます。制作者としては、撮影した全カットを入れたくなりますが、それでは要素が多すぎる映像になってしまいます。広告はアートやインディペンデント映画ではないので、自らのエゴを消し、ユーザーファーストで考えなければなりません。

良い動画を作るための制作フローの構築

動画制作では、非常に多くの人が関わり、分業して一つのモノを作り上げていきます。
時間とコストをかけるほど、関わる人の数や議論の時間、制作期間が増え、高品質な動画を作ることができるかもしれません。
しかし、限られた条件の中でも、ユーザーが興味をもちやすい演出、本質を見極めたプロット、そこへの肉付けの工夫をすることで、ユーザーの見たくなる動画を作ることは可能です。

こうした動画制作を実現するために最も重要なことは、広告主と代理店が一緒に考え、議論していくことです。意見を出し合うことで、双方が心から納得できる動画が制作できると思います。

セプテーニでは、数年前から広告主とディスカッションし、決定した内容を実現するフローづくりに取り組んできました。細かな調整にも柔軟に立ち回れるよう、内部に撮影から編集まで実行可能な組織を設けるとともに、信頼できる複数の外部パートナー企業と連携し、より多くの表現の実現に向けて取り組んでいます。

今後もデバイスの変化や市場の拡大に伴い、動画広告クリエイティブにおいても様々なアウトプット方法が生まれると思います。セプテーニでは、これからも「仮説力」「分析力」「実現力」を磨き、広告主と協力しながら、ユーザーにしっかりと届く「真の動画視聴」を実現していきたいと考えています。

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KPIはCPIからROASへ、伸びるリエンゲージメント広告市場

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先週、GMOインターネットグループのアドテク子会社GMO Techは、成果報酬型のアプリ向けDSPの提供を 開始した。

このサービスは、「ゲームをはじめとするアプリのプロモーションに最適な、成果報酬型のアプリ向けDSP」(同社リリース)とのことだが、オーディエンスデータを活用した配信や、過去にアプリをインストールしたユーザーの再利用を促すリエンゲージメント機能を訴求している。

図:エンゲージメントの高い ユーザーへの配信

出典:GMO TECH

2016年に本格的に立ち上がったリエンゲージメント市場には、サイバーエージェントのDynalystやソネット・メディアネットワークスのLogicad、をはじめ、大手事業者が参入。
海外からもAppLovinLiftOffなどがこの領域をカバーしている。
また同じく先週、DynalystとAppLovinは本格的な在庫連携を発表するなどの取り組みも進んでいる。

CyberZが2016年に出した予測によると、2017年のリエンゲージメント広告市場規模は135億円で、今年200億円規模になるとのことだが、今の業界動向からするとこの予測を上回りそうな勢いである。

図:リエンゲージメントディスプレイ広告 市場規模予測 2015年-2020年

アプリプロモーションといえば、2010年代前半に大手ゲームアプリによるアプリインストールを獲得する市場が勃興、日本のスマートフォン広告市場のスタートダッシュの原動となった。ブースト(アプリストアでのランキング上げ)を目的とするリワード広告の需要が高まり、多数のリワード広告サービスが現れてそこに多くの広告予算が投下されたが、後にAppleやGoogleなどのアプリプラットフォームの規制により市場は縮小の途をたどった。「アプリストアでのランキング上げを目的にしたリワード広告の需要は2016年にほぼなくなった(業界関係者)」ともいわれている。

アプリビジネスはインストールされただけでは始まらない。アプリプロモーションにおける最適化指標は、CPIからROASへと多様化が進んでおり、この領域は今年要注目である。

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なぜファーストプライスオークションについて議論するのか

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(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

smartclip社のSmartX Platform事業責任者のKay Schneider氏は、ExchangeWireにヘッダー入札が主要パブリッシャーの間で通常的に利用される中で、ファーストプライスオークションがなぜ議題となり、なぜセカンドプライスオークションからの移行が必要とされているのか、について語ってくれた。

ゲーム理論によれば、バイヤーは、入札額よりもはるかに低い最終価格で取引を決済する機会がある場合であっても、購入項目に最大入札価格を高めに割り当てることがあるようです。 その結果、取引は平均してより高い価格で解決され、有効な証拠は今の所提示されていないものの、セカンドプライスオークションは、サプライヤにとって魅力的な広告取引モデルであると言われています。また、もう一つのセカンドプライスオークションの特徴は、市場価格の発見ができないという点です。SSPの中には、入札後にフロア価格を割り当てることでセカンドプライスオークションを操作する疑いを持たれている事業者もいます。

しかし、現在はセカンドプライスオークションが標準となっています。 DSPとSSPの最適化アルゴリズムが構築され、それに応じて年々改善されてもいます。 一方で、ほとんどのプラットフォームは利用されないものの、技術的にファーストプライスオークションを行うことができます。

なぜ今変化が必要なのか

写真

Kay Schneider氏、 smartclip社SmartX Platform事業責任者

それは主には、セカンドプライスオークション モデルがファーストプライスに基づくヘッダービディングと調和しないためです。 この調整を行うために、SSPとヘッダーラッパーの両方が同じロジックに従わなければなりません。

標準的なアドサーバーは、ラインアイテムごとの固定価格に基づいて作動します。そのため、潜在的な決定価格は、この価格を提示したラインアイテムとリンクしている必要があります。したがって、対応可能な決済価格の額は限られますが、これはセカウンドプライスオークションのコンセプトと異なるのです。結果として、どちらの側もファーストプライスを利用する必要があります。

もしDSP側にて、インプレッションがファーストプライスに基づいてオークションされているかの判断ができず、結果として入札調整ができない場合は、バイヤーは入札において、非常に高いCPMでのバイイングとクリアリング作業を行い、結果として多くのお金を失うこととなるでしょう。私たちはいくつかの(小規模の)DSPがパブリッシャーに対して、オークションタイプの乱用によってバイヤーが損失を被った点についての文句を伝えている場面に遭遇したことがあります。

DSPは、openRTBプロトコルに従う2つの簡単なルールをリクエストすることによって、バイヤーを保護することができます。すべてのビットリクエストには、1)オークションタイプが適用される情報、及び2)それぞれの取引のフロアCPM、が含まれている必要があります。

ファーストプライスオークションが今後より適切だと仮定した場合、いくかのアドバイスがあります。

バイヤーとして、あなたのDSPがオークションタイプの乱用に対しての防御策を持つようにしてください。金銭的な損失を被った場合はDSPを変更してください。この変更によってベンダを驚かせないようにすることが重要です。

オープンオークションでバイイングをするときは、バイイングの戦略がオークションタイプに適するようにラインアイテムにフィルタを設定してください(サービス提供がされている場合)。プライベートな取引の場合は、取引の際にサプライヤと話し合い、両者の調整を行なってください。

セラーは、選択したオークションタイプの管理と透明性の維持のための対策を理解することが重要です。ヘッダービディングを使用している場合は、セカンドからファーストプライスオークションへの移行を検討すべきで、そのためにはテストが必要です。公開型の販売の場合、 オークションタイプの設定を変更せず、またSSPに変更を求めることをすべきではありません。プライベートな取引の場合は、常に透明性が必要で、バイヤーと最初に話をし、関係性の維持に努めてください。

セカンドプライスオークションをファーストプライスに置き換えることについての有効な議論が行われています。これは、昨今、バイヤーが前提として求めている透明性が与えられるようになった点に起因しています。一方で、短期的な需要と共有の衝突について注意を払う必要があります。パートナーとの対話を怠らず、慎重な手段においてこの移行を実行することが必要です。

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有識者が予想する、2018年のエージェンシー

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(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

過去数年にわたってエージェンシーのビジネスモデルは変化し始めており、2017年にはパフォーマンスが最も重要な点となってきた。今までと同様、2018年に業界で起こりうることを予想するため、ExchangeWireは業界の100名以上の有識者と意見交換を行い、エージェンシーモデルが2018年にどのように進化するのかについて話を聞いた。

エージェンシーは顧客に対する価値を変えていかなくてはならない

写真1

「業界の変化のスピードは驚異的です。 AIを軸としたメディアバイイング、クリエイティブチームに影響を与えるコンサルティング、FacebookとGoogleの事実上のエージェンシー化、大量のデータ、多数のアドテク・マーケティングツール、ブランド企業のエージェンシー業務のインハウス化、透明性に対する要求の拡大などの変化が見られます。このため、エージェンシーのモデルは、分析、アカウンタビリティ、アジリティの3つの重要な要素に変化していきます。成功を収めるエージェンシーは、キャンペーンのトラッキング、分析、最適化に関して質の高いサービス提供が求められ、高い責任を伴います。 広告予算の半分がどのように使われているかわからないような時代は既に過去のものです。世界中で毎日2.5兆バイトのデータが生成される現在、エージェンシーは迅速な分析、活動、学習機能が求められます。計画のためのサイクルは、毎日、毎時、リアルタイムの決定に変化しています。究極的にはビジネスの要素はパフォーマンスの科学に変化していきます。エージェンシーはデータを消費し、解釈し、考え、行動し、結果を投資に結びつける必要があります。結果達成のために顧客にとっての価値を高める努力を続ける必要があります」

DWA Media社、アメリカプレシデント、Roland Deal

データを活用できるエージェンシーが勝利を得る

写真2

「進化は決して段階的なプロセスではありません。むしろ適合をすることで進化は始まります。過去数年間にテクノロジーとデータの専門性を進化させてきたメディアエージェンシーは、ダーウィンの述べる勝者と敗者のような形で健全な進化を遂げようとしています。第4次産業革命の話は至る所でなされ、AIの活用を通じて人間が最良な合理的決定を行えるような研究は多くのエージェンシーでなされています。データはイノベーションの副産物ではなく、イノベーション自身であり、データを活用するエージェンシーが最も大きな成功を収めることになるでしょう。顧客の側から考えると、より複雑なコミュニケーション環境への適用のためには、今までよりも更にエージェンシーに依存する必要があり、事実や数字以外の真実のインサイトを求めるようになるでしょう。思慮に長け、知覚的で、スマートなエージェンシーからのアドバイスは今までよりも更に重視されるようになります。」

Publicis Media社アソシエイトリサーチディレクターHeather Dansie氏

メディアエージェンシーモデルの崩壊を目の当たりに

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「現在のメディアエージェンシーのモデルは成立しなくなっており、生き残るために進化する必要があります。エージェンシーは様々な挑戦に直面しています。例えばFMCGのビジネスでは、2017年の投資は予想を下回り、これは2018年も継続することが予想されます。 一方、Brexit関連の混乱や、顧客からの再提案や実質マージンゼロの圧力なども加わってきています。これからの1年間で、大規模なグローバルコンサルティングファームによる買収を少なくとも1度は目の当たりにし、エコシステムは非常に異なったものになるでしょう。株価が低調な現状、市場に参入しようとしているアクセンチュアのような会社が、かなり安い価格で、必要なテクノロジー資産を持つ企業を買収することは論理的なアプローチです。」

MaxPoint社ヨーロッパジェネラルマネージャーPaul Maraviglia氏

エージェンシーにはよりコンサルティングが求められる

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「企業がインハウスのプログラマティックに関する専門性を高め、コンサルティング業界の巨人が市場に参入すると、エージェンシーの役割は疑問視されるようになります。しかし、アドエージェンシーが専門的な能力と規模の経済に長けていれば、数名の専門家が指摘するような、メディアエージェンシーが地位を失うということはありません。実際、2018年には多くのエージェンシーがより重要な役割を占めるようになるでしょう。デジタル広告は、ブランド全体にとって重要性が急速に増し 、企業の興味と専門性が高まるにつれて透明性についての要求が高まり、エージェンシーとの関係性はサービスからパートナーへと変化していきます。2018年は、エージェンシーが引き続きコンサルティングの知識を確立し、協調的で総合的な専門性を提供するようになるでしょう。より多くのコンサルタント性の高い仕事を行うことで、大規模なコンサルティング企業に対抗するようになるでしょう。」

The Trade Desk社、EMEAマネージングディレクター、Sacha Berlik氏

エージェンシーはエコシステムの利点を生かしたスキルとツールの提供が必要

写真5

「2018年は、エージェンシーがオンラインチャネルとソーシャルチャネルのすべての問題点や懸念に対して専門性を高めることを重視する年となるでしょう。 彼らは、さまざまなデジタルマーケティングツールや戦略を検討し、適応する必要があります。ソーシャル・動画マーケティング、店舗内でのモバイルサービス、コンテンツマーケティング、実験的かつ一時的なマーケティングフォーマットなどにより、2018年の市場は変化する可能性を秘めています。スキルの高い チームとテクノロジーパートナーを十分に活用することで、現在のデジタルエコシステムが保証され、顧客の成功へとつながっていきます。」

Wyng社ファウンダーWendell Lansford氏

エージェンシーはメディア支出に縛られず、適応性をもった対応が必要

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「広告主がアドエージェンシーに期待するオペレーションモデルは2018年に変わることは間違いありません。広告主が広告において1つのエージェンシーまたはエージェンシーグループのみを使用することはめったにありません。データ分析、ブランド戦略、テクノロジー検討、プログラマティックのアクティベーションなど多くはインハウスでの作業がなされており、エージェンシーは高い適応能力が必要とされ、メディア支出に紐づいたビジネスモデルは問題となります。 マーケットがますます民主化され、多くの利益相反の問題が起こることに加えて、主要な持株会社の業績を鑑みると、今年の支出予測がどのように変化し、現状のモデルが持続可能でないかを知ることができます。 将来的には、広告主は様々な分野でサービスを組み合わせたいと考えており、従来のパートナーに限らず最良のパートナーを求めています。これにより、小規模および大規模なコンサルタントが誕生するでしょう。」

The Programmatic Advisory社、ファウンダー兼CEO、Wayne Blodwell氏

エージェンシーはビジネスモデルを進化させる必要あり

写真7

「エージェンシーには、より柔軟なサービスモデルが必要になり、顧客とのシームレスな連携が必要になります。現在の環境は、メディア、ソーシャル、管理アセットが高度に統合されたネズミの巣のような状態になっていますが、更にアプリケーション、店頭サービス、顧客サービスなども絡み合っています。エージェンシーは1つのサイロだけで効果を最大化することはできません。彼らはブランド全体の顧客に関する全体の事象に関して、高度なユーザーエクスペリエンスを理解し、それをサポートする必要があります。多くの人は、メディアの購入、特にプログラマティックにおいては他人の介在なしにサービスが盛んになっていくと考えています。しかし、最良の結果は、社会の変化、製品リリース、顧客反応に対して、リアルタイムに反応し調整を行うことで達成されます。購買されたメディアであっても、他のビジネス分野におけるポジティブな反応を鑑みて調整が加えられる必要があります。複雑なビッグデータ分析と高速な機械学習を活用して、短期的に機会が得られる異常値を突き止める必要があります。エージェンシーがそれをするためには、ビジネスモデルの進化が必要です。エージェンシーはより柔軟なスタッフ配置、時には顧客のチームと自社チームを組み込むことで、全ての企業のタッチポイントにおいて起こりうる複雑な顧客の変化や、あらゆる場所からの顧客からのフィードバックに対して、高い指揮能力を発揮し生物の神経反応のような素早く的確な動きを見せる必要があります。

Valtech社Global CMO、Paul Lewis氏

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先週のアドテクシーン:YouTubeの広告プログラム基準厳格化、Twitter動画広告が「AIR TRACK」で来店計測可能に

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

AppLovin、集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」にネイティブ広告の提供を開始

AppLovinは、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」のユーザーに対し、マンガアプリ向けに特化した新しい広告フォーマット「縦型ネイティブ広告」の配信を開始した。
開始した。
図表1

出典:同社プレスリリース

YouTubeの広告プログラム基準厳格に

Googleは、昨年の様々なYouTubeを巡る広告収入受取りも含めた課題に解決するため、YouTubeの広告プログラムに関して3つの重要な変更を発表した。広告プログラムの参加基準を視聴回数だけでなく登録数や視聴時間も入れるなどして厳格化した。

ソネット・メディア・ネットワークス、 「Logicad Video Ads」の提供を開始、Teadsと連携

ソネット・メディア・ネットワークスは、プログラマティック動画配信サービス 「Logicad Video Ads」の提供を開始し、Teadsとも連携をすることで動画広告領域を強化する。
図表2

出典:同社プレスリリース

フリークアウト「Red」、「クラシル」と「LOCARI」への独占的広告配信を開始

フリークアウトモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」は、Wondershakeが提供する「クラシル」ならびに「LOCARI」のネイティブ広告枠へそれぞれ唯一のRTB接続パートナーとし広告を配信開始した。
図表3

出典:同社プレスリリース

Twitter動画広告、「AIR TRACK」で来店計測が可能に

サイバーエージェントは、位置情報を活用した行動分析ターゲティングツール「AIR TRACK」において、Twitter上での動画広告の来店・購買計測のベータ対応を開始した。
広告主は、Twitterでの動画広告接触者が『店舗や地点に来訪・来店したかどうか』を計測して、広告効果を可視化・運用することが可能となる。
図表4

出典:同社プレスリリース

【資金調達】

RoboMarketer、無料 AI マーケティング・アシスタント「Roboma」のβ版リリースと資金調達を発表

RoboMarketerは、無料で使える AI マーケティング・アシスタント「Roboma」のβ版リリースとエウレカ創業者の赤坂優氏などの個人投資家を引受先とする総額約 4,000 万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。
図表5

出典:同社プレスリリース

【サービス連携・業務提携】

フィードフォース、海外消費者向け越境EC支援サービス「BuySmartJapan」と連携開始

フィードフォースのデータフィード最適化サービス「DF PLUS」は、ナビプラスの海外消費者向け越境EC支援サービス「BuySmartJapan」と連携を開始した。
フィードフォースは、越境EC、海外販売市場の開拓を今後も注力するという。
図表6

出典:同社プレスリリース

【新会社・新組織】

LINE、西日本エリアの営業拠点として大阪オフィスを開業

LINEは、「LINE Ads Platform」「LINE Pay」「LINE@」の西日本エリアにおける営業拠点として新たに大阪オフィスを開業した。

電通、AI活用を社内外で推進する統括プロジェクトチーム「AI MIRAI」を設置

電通は、未来のビジネスに不可欠な要素であるAIの活用を社内外で推進する統括プロジェクトチーム「AI MIRAI」を設置した。
社内40名以上のエキスパートで構成されている。

【調査】

電通イージス・ネットワーク、「世界の広告費成長率予測」を発表

電通の海外本社である電通イージス・ネットワークは、世界59カ国・市場から収集したデータに基づき、世界の広告費成長率予測を取りまとめ発表をした。
図表7

出典:同社プレスリリース

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脳科学を使ってスマホ動画広告を提案 [インタビュー]

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CMerTVが2017年11月にリリースした、スマホ動画広告のCM 効果を脳科学で検証した調査結果について、CMerTV 執行役員の 羽永太朗氏に解説していただいた。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

調査の主旨はテレビVSスマホではなく、テレビ&スマホ

― 今回の調査リリースの背景についてお聞かせください。

羽永氏 レクサスインターナショナル(以降レクサス)様より、テレビとデジタル広告の掛け合わせはどのようなものがよいのかという相談をいただいたことがきっかけです。そこでビデオリサーチさんに参画いただき、テレビのリーチカーブ(投下金額に対して何%がリーチするか)をレクサス様のターゲット用に作りました。コアターゲットは30歳から59歳の男性ですが、そこに年収などの条件が入ってきます。これにスマホを掛け合わせた手法を作れないだろうかと考えました。
実験は、ニューロマーケティングに携わっている株式会社NeU(東北大学と日立ハイテクノロジーズの合弁会社)さんとご一緒させていたくことになりました。同社はこれまでにもニューロマーケティングを用いて子供用の玩具を作るなどの取り組みや、化粧品メーカーとの取り組みなどの実績があります。

写真2

調査の主旨は、弊社スマホ動画広告「PerfectView™Network(以下、PVN)」がテレビ広告の補強機能としてどのように働くのかを調べることです。ただ、テレビVSスマホの構図にはしたくはなく、あくまでテレビ&スマホの調査です。テレビ動画広告とスマホ動画広告それぞれにおける視聴の際の脳活動を測定することが目的です。

― 調査の内容についてお聞かせください。

図1

出典:CMerTV

まず、調査設計は以下の通りです。

◆対象視聴者
30~50 代の男性、車に興味を持つ高所得者層 計 44 名

◆実施時期
2017 年 10 月

◆方法
① 視聴者は事前に CM を含む TV 番組(録画)を自宅で 1 回視聴
② 後日計測会場に来場いただき、TV 番組中に CM を視聴する群(以下、TV群)とスマートフォンで CM を視聴する群(以下、スマホ群)に分け、「関心・共感に関連する脳活動」、及 び「記憶に関連する脳活動」を計測。
③ TV 視聴時は、普段 TV を見る時に近い環境にて番組を見てもらう間に CM を視聴してもらった。スマホ視聴時は、サイトを閲覧中にPVNで CM を視聴してもらった。

一般的にキャンペーンではテレビCMを使われる広告主様が多いので、調査においても1度目は被験者にテレビCMを見てもらいました。レクサスさんのテレビCMが含まれる30分間のテレビ番組が収録されたDVDを被験者の自宅に送付し、予め見てもらったうえで、計測会場に来てもらいました。

その後計測会場で、2回目の接触デバイスがテレビである被験者と、スマホである被験者とに分けて、それぞれのデバイスで広告を見せて脳を計測しました。計測した内容は、「関心があるか関心がないか」「記憶しているか記憶していないか」というものでした。

テレビには受動的、スマホには能動的

図2

出典:CMerTV

この際、左側がPVNで見た時の脳活動、右側がテレビで見た時の脳活動です。真ん中の線がゼロ(平常時の値)です。PVNで見た際には、基本的に波形が右に上がっていきます。脳活動がポジティブに見えています。テレビはゼロから下の方に動いています。これは脳活動をあまりしていないという判断です。テレビCMの際に脳があまり活動していないので、記憶をあまりしていないということです。だからこそ長時間視聴し続けることができます。
図3

出典:CMerTV

「記憶」に関しては大きな差は出ず、コストパフォーマンスで考えればテレビの方が圧倒的短期間でリーチできますし、CPMも安いです。ただ問題は興味関心度合いの波形です。スマホに関しては右肩上がりです。検索したり記事を読んだりしている時は脳が活性化しているので、共感・感心しやすいといえます。

テレビを見ている時は、受動的に物事をとらえているので、あまり脳が動いていません。だからこそ見続けられ、ながら作業もできるのです。ですが、このような時にCMを当ててもあまり効果は上がらないでしょう。記憶や興味の度合いが下がってしまうからです。

実際のフリークエンシーに関していえば、スマホはリターゲットも含めて複数回当てることができるので、今回は一定時間以内に3回当てました。1回目よりは2回目の数値が上がり、3回目は数値が下がりましたが、トータルでいえば右肩上がりです。広告が1か月くらい配信されると考えれば、4回目、5回目になっても上がる可能性があります。

記憶に関しては、回数が上がれば上がるほど右肩上がりです。フリークエンシーが多ければ多いほど広告は覚えられます。ただし、感情は別です。「知っているけど嫌い」なものもありますので、20回、30回と当て続けたら、人の心理は興味関心と併せて変わってくることもあります。

わたしたちが調べたかったのはフリークエンシーのアロケーション処理、もっと言えばテレビとデジタル広告のアロケーションです。例えば、あるキャンペーンではテレビCMを7回当てたほうがいいか10回当てたほうがよいか考えていたとします。その考え方は正しいのですが、テレビでは当たらない層が生まれたり、テレビでは伝わらない情報があったりしますので、そうした点については、ほかのデバイスで補わなければならないということが、今回の調査からは見えてきたといえます。結果として、テレビとスマホを一緒にやることが重要だといえます。

脳活動をプロモーション提案に

― 今回の結果を、今後はプロダクトに落とし込んだり、営業施策に落とし込んだりされるのではないかと思いますが、具体的にはどのように展開していくのでしょうか?イメージをお聞かせください。

写真3

羽永氏 CMのどの部分に脳波が反応したかのデータがとれているので、クリエイティブチェックをして、広告のA案とB案のどちらを選択するかの材料にすれば面白いと思っています。また、反応された部分にアレンジを加え、どういうキャッチコピーに反応しているかによって、テロップやナレーションを変えれば、よりCMの質を上げていくいことができます。これらをつなぎあわせて、次のクリエイティブに生かせますので、クォーターに1度調査をすることによって、よいものをつくったり、ABテストの結果でよかった方を全国放送したりといったこともできるでしょう。

また、配信面との相性もあります。タレントさんの好き嫌いなどでも脳血流は変わります。ですから、見ている人の好きなタレントが出ている番組のCMにタレントを出せば脳血流も上がります。ですから、たとえばスポーツ選手を使ったCMをスポーツ番組に使うとよいでしょう。

― 今回の調査結果を受けての提案は、広告主にされているのでしょうか。

羽永氏 はい、すでに提案しています。やはり宣伝部のかたは気にされており、感性でつくっているクリエイティブを数値化できるのはよいと思われているようです。アンケートベースでAかBを決めるのは「本当の声」ではなく、バイアスがかかっていることが多いため、数値化してはっきりさせることに興味が持たれているようです。

また、CM好感度調査にもある程度の裏付けができるのではないかと考えています。今後、スマホに関しては、関心のある記事を閲覧、検索する中で見るということで、脳活動のトレンドが基本的に上昇する傾向があります。また、ニューロマーケティングの評価を行えばより効果的なCMを提供できると思います。スマホ使用による脳の活性化を上手にとらえて戦略化できればよいですね。

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プログラマティック動画の普及進むか?-ソネットDSP「 Logicad」、「Teads」と接続し動画広告のRTB配信を開始-

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ソネット・メディア・ネットワークスは先週、プログラマティック動画広告「Logicad Video Ads」の提供をリリースした。

これまで「Logicad」における広告配信にて培われた、独自のターゲティング技術を活用した動画広告の配信を行うとのこと。


図表

出典:同社プレスリリース

「Logicad」を通して配信する動画広告のフォーマットは、インリード広告を皮切りにしており、第一弾の接続先は、インリードグローバル最大手のTeads。ブランド広告主向けにTeadsが持つ、信頼性の高い媒体の動画広告在庫に配信をすることが可能になる。

同社によると、インリードにおいてはフォーマットの視認性が高く視聴完了率50%を越えるテスト結果が出ており、予算効率がよく動画配信をすることが可能であるとのことだ。

フォーマットに関しては、インリード以外にもインバナーにも対応する。また今後は、インストリームへの配信や、また動画を見て商品購入を促進するインタラクティブ動画フォーマットの対応も視野に入れて準備を進めているとのことであり、これらフォーマットの充実化とともに、現在増えつつあるスマホ向け動画メディアを想定し、プログラマティック経由での配信拡充を目指す。
GoogleがYouTubeからサードパーティーのDSPからの入札を締め出して以来、プログラマティック動画に関する話題は日本では下火になっていた感もある。一時は注目を集めた動画専業のDSPも、今は大手広告プラットフォームに吸収されている。

動画広告市場は成長を続けており、YouTube以外の媒体、そしてインストリーム以外のフォーマットと選択肢は増えている。果たして2018年は、いわゆるオープンな動画広告在庫の供給が増えて、プログラマティックの持ち味を動画広告の買い付けにおいて更に活かすことが出来るようになるであろうか。

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デジタルマーケティング企業の東南アジア進出 AtoZ-第3回:進出すべきホットな国・地域を見極めるための観点その3「顧客単価」 |WireColumn

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マーケティングソフトウェアの開発などを手掛け、海外にも3拠点に展開しているエフ・コードの海外担当執行役員・島田裕一が執筆する本連載では、デジタルマーケティング企業が海外進出する際のポイントについて、東南アジア進出を中心に解説していきます。なお、本シリーズの見解は筆者の経験則に客観的なデータを交えて論じたものであり、不十分な点・異なる見解のご指摘など読者の皆様からいただければ幸いです。

第3回となる今回は、前回の「市場規模」に続き、進出先の国・地域を選ぶ際に重視すべき3軸の最後のひとつ「顧客単価」についてご説明します。

顧客単価はなぜ、どのように重要か

3つ目の軸となるほど「顧客単価」が重要なのはなぜでしょうか。それは、顧客単価とは事業が継続すればするほどボディーブローのように効いてくる数値だからです。

商材にもよりますが、基本的に事業の売上は「顧客数×顧客単価」で決まります。前者の顧客数については、たとえば広く良質なネットワークを持つ優秀な営業担当者がいるなら、一定程度伸ばすことができるでしょう。しかしそこにも限界はあり、頼りきりではいけません。掛け算の相手である顧客単価を同時に重視することは不可欠なのです。

すなわち、あえて単純化した表現をするなら「売りやすいからと単価の低い国で売り続ける」より「売りにくくても単価の高い国で売り続ける」ほうがよい場合があるということです。前述のような優秀な営業担当者の能力は、「単価の高い顧客への販売活動」にこそ発揮してもらうべきと考えます。

顧客単価が高ければ、当然その獲得にかけられるマーケティングコストも高くなるため、より優秀で給料の高いメンバーを雇用することができます。さらに、広告宣伝などにも注力してより積極的に獲得を行うこともできます。しかし顧客単価が低ければ、それらの予算捻出も困難になるでしょう。

顧客単価の決定要因

ところで、この顧客単価(ここでは特に「顧客単価」=BtoB取引におけるクライアントの発注額として考えます)の決定要因はどこに見出せるのでしょうか。これは各国の「物価」「一人あたり所得」「一人あたりGDP」「現地プレイヤーの寡占状況」など多岐に渡り、それぞれを考え合わせる必要があります。

たとえばシンガポールは一人あたりGDP値が日本より高く、物価も給与も高い国であり、他国と比べて顧客単価も高く設定できます。一方、タイはそれぞれの数値が低いのでシンガポールに比べると顧客単価は低くなります。

インドネシアのようなケースには注意が必要です。一人あたりGDPも所得も少なく物価も低いため、顧客単価も低そうな印象を受けるかもしれませんが、それは誤りです。そもそもの人口規模が約2億7千万人()と非常に大きいことに加え、インドネシアでは各業界でシェアを取っている大手プレイヤーへのVCによる投資が非常に活発であり、それら企業が各カテゴリにおいて寡占状態となっています。したがってプレイヤーの絶対数が市場規模の割に少なく、一定以上の規模のプレイヤーの顧客単価は高くなっているのです。

3軸を掛け算して比較する

ここまで3記事にわたり、「事業性」「市場規模」「顧客単価」についてご説明してきました。これら3軸を掛け算することでどの国への進出が自社にとってもっとも有益かを考えるのが、海外進出にあたっての経営者の最初の仕事です。すなわち、「期待される売り上げ高」を「想定される各国の顧客単価」で割り、算出されたその顧客数が「期待される期間」で獲得可能かという判断です。

たとえばシンガポールは、事業性の面では進出しやすいのですが、人件費が非常に高い点に注意が必要です。そして顧客単価が非常に高い反面、500万人という人口規模も手伝い、Web広告市場が小さいという特徴があります。対して6000万人の人口を抱えるタイは、顧客単価はシンガポールに比して低いながら、市場規模が大きくなります。

インドネシアの場合、最低資本金として約3000万円、場合によっては7000万円超が必要となる外資規制があります。そのうえムスリムの国であり、現地人材へのマネジメントにおいて日本との習慣の違いなどに特に注意する必要があります。さらに日本から飛行機で8時間という物理的な距離の要因もあります。
このように、事業性の面ではインドネシア進出の難易度が低いとは決して言えません。しかしながら、市場の大きさ、デジタル広告市場も東南アジアでは大きい部類である、顧客単価も高くなっているといったメリットもまた大きいのです。

図表:エフ・コードの事業を前提とした場合の各国3軸評価表

出典:エフ・コード

当社エフ・コードの例を挙げさせていただければ、タイ・香港・インドネシアそれぞれ、進出にあたって重視した軸は異なっています。

第1回の記事で述べたように、タイ進出にあたり重視したのは「事業性」です。進出している日系企業が5444社()以上とASEAN最大であり、しかも他のASEAN諸国と比べてもサービス業が多くなっています。加えて治安も比較的よく、仏教国であるため日本との親和性を高く見積もれます。さらに教育水準が高く、優秀な人材の獲得が比較的容易です。そのうえスマホを中心にインターネット普及率高く、これらを重視しての決断でした。

※出典:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/762117c2abed4a1c/20170074_summary.pdf (PDFアイコンPDF)

香港進出において大きかったのは「顧客単価」の要因です。市場規模は小さいものの会社設立がしやすく、かつ他のアジアの国と比べても物価が高いため顧客単価が高くとれる点を重視しました。また、域内の交通の利便性も高くビジネス環境も整っていて、大所帯の事業にしなくても一定のシェアをとれるだろう、という見込みもありました。

そしてインドネシアでは、「市場規模」および「顧客単価」に着目しました。巨大な人口規模に約100兆円というGDP、そしてデジタル広告市場も約428億円()というASEAN屈指の市場規模を誇ります。前述のように高い顧客単価も見込めるため、進出を決定しました。

※出典:https://www.emarketer.com/public_media/docs/SEAsia_Final2.pdf (PDFアイコンPDF)(1ドル112円で換算)

今振り返ってみれば、各拠点に3軸をバランスよく振り分けていると感じます。ただし、初の海外拠点であるバンコクでさえ、まだ進出から1年と少ししか経過していません。どの軸に基づいた選択の結果が当社の商材に合っているのかはいまだ模索中であり、成功体験が蓄積したタイミングで改めて読者の皆様にお伝えしたいと考えています。

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フェイスブック ジャパンとフィードフォースが語る、フルファネルでダイナミック広告を活用する方法 [インタビュー]

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Facebook / Instagramのダイナミック広告について、フェイスブック ジャパン 中小企業事業担当 パートナーマネージャの大谷直史氏と、ダイナミック広告に特化した広告運用サービス及びデータフィードの構築支援サービスで業界をリードするフィードフォース取締役の喜多宏介氏に、その活用の現状やトレンドについて伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

フルファネルで取り組むFacebook / Instagramダイナミック広告

― Facebook / Instagramのダイナミック広告は、いつ頃からできるようになりましたか?

写真2

大谷氏 Facebookのダイナミック広告は2015年からスタートし、その後2016年5月からはInstagramへもダイナミック広告を配信できるようになりました。日本ではInstagramアカウント数の伸び率が非常に高く、2015年以降、月間アクティブアカウント数が約2.5倍増え、2017年9月時点で2000万となっています。したがってダイナミック広告の配信面はFacebookのみならず、Instagramも活用していただいたほうが広告パフォーマンスを高めやすい状況にあります。

― ダイナミック広告のFacebookとInstagramへの配信面の比率は、現状どのようになっているのでしょうか?

大谷氏 当社の広告はアクションをとってくれる利用者を、Facebook、Instagram、またはオーディエンスネットワーク(広告ネットワーク)のどのプラットフォームで獲得するかによって各プラットフォームの配信ボリュームが決まります。したがって、広告キャンペーンごとの目的に応じて、配分比率がすべて異なります。

Instagramに広告を配信する場合、Instagram用に独自のキャンペーンを展開しないといけないというイメージを持たれているかもしれません。しかし、ダイナミック広告においては、InstagramをFacebook広告の配信先の一つとしてとらえていただくのがよいと思います。Facebook、Instagramそれぞれに同時配信することも出来ますし、Instagramのみに配信することも可能です。

利用者はInstagramで欲しい商品を探したりするなど、発見の場としてInstagramが利用されるケースも増えています。ブランディングだけではなく実際のアクションを促す機能もあるので、ブランディング目的、獲得目的、どちらでもご利用いただけます。

写真3

喜多氏 当社がサポートする広告主様によっては、ご予算を100%Instagramに寄せるケースもあります。Facebookのエンジンは優秀でコンバージョンしそうなユーザーがどの面にいるかというのを判断できます。

お客様に「Instagramをやりましょう」とお話しした時に、「Instagramはきれいな画像を用意したほうがよいのでは?」というイメージをやはり持たれています。とはいえ、Instagram用の画像を用意できないことも多いので、今ある画像を使いトライアルで走り始めることもあります。その際に600×600ピクセルの正方形の画像が必要なのですが、正方形の画像を持っている企業はまだまだ少ないです。そこで弊社で画像を成形してデータフィードを用意し、Instagramに配信が出来るようにデータフィードの最適化を行っています。

― Facebookは2016年頃からフルファネルでのFacebook広告の活用を提案されていますが、実際のところ広告主側の反応はどのような状態でしょうか。

大谷氏 私が担当している中小企業事業の領域では、まさにこれから本格展開していくところです。フルファネルで実施となると、獲得フェーズだけではなく、認知・興味フェーズでCPAやコンバージョン数とは異なるKPIを設定する必要があります。ブランディング目的の広告に触れたユーザーの方が最終的なコンバージョンに繋がりやすかったという事例が国内でも出てきているので、弊社としてはこれからもそのような成功事例を広告主さん、代理店さんと作っていきたいと考えています。

Facebookダイナミック広告は、元々サイト訪問履歴があるユーザーのみに配信する広告でした、現在はブロードオーディエンスに配信することができるようになり、サイト未訪問の方にも広告配信できるようになりました。この機能を全ての広告主様にお使いいただけるようになったのが2017年9月からなので、これから益々ダイナミック広告を認知、興味フェーズのお客様に対して配信していく流れが加速していくと予想しています。

喜多氏 広告効果の点で言いますと、CPAをクリアすれば良しというのではなく、どの媒体から来たユーザーがどのくらい購入しているのかも評価していただきたいと思います。そこまで成果を追えている広告主様であればFacebookのエンジンは優秀ですから、LTVでみてもすごくよい結果になるということがわかります。

― Instagramは、今後どのように普及が進んで、進化していくでしょうか?

大谷氏 Instagramでもストーリーズをはじめ、動画の視聴が飛躍的に伸びています。一昨年と比べ昨年は総動視聴時間が約8割増加しました。また1日あたりに投稿される動画の数も約4倍増加しています(ライブ動画を含む)。動画視聴のトレンドはこれからも継続するものと考えています。またInstagramはより日常生活に密着したプラットフォームへと進化しています。以前はアートやフィルタをかけて雰囲気のある写真を投稿するという利用法が主流でしたが、現在はペットやファッション、料理、旅行などより生活に密着したテーマの投稿が増加傾向にあります。

Facebookも後押しする業界別ダイナミック広告、越境EC

― ダイナミック広告について、業界別でそれぞれどのように活用が進んでいるかをお聞かせください。

大谷氏 ダイナミック広告は元々eコマース事業者にご利用いただくメニューとしてロンチしました。現在ではダイナミック広告が持つ機能的な強みを他業種の広告主様にも享受していただきたいと考え、現在横展開を進めています。現在、旅行業界・不動産業界・自動車業界などに対応しています。例えばECの場合は「商品を見た」「カートに入れた」「購入した」などのユーザー行動シグナルをトラッキングして最適な広告配信を実現しますが、旅行業界向けの場合は、サイト上で指定した旅行日程など、旅行ならではのユーザーシグナルを捉え、広告配信に活用するイメージです。

喜多氏 日本では人材業界のFacebookダイナミック広告の活用が進んでいると思います。新しい施策にチャレンジする広告主様が多いですね。

― 今、Facebookダイナミック広告の越境マーケティングでの活用が注目されているとのことですが、こちらについても詳しくお聞かせください。

喜多氏 お客様から、ツアー系の広告を台湾とタイに配信できないかというご相談をいただきました。そこでデータフィードを言語ごとに用意できるか確認したらできるということでしたので、広告配信を行うことになりました。Facebookさんからもサポートをいただきながら配信したところ、とてもパフォーマンスがよかったです。Facebookのダイナミックを海外に配信して、効率よくインプレッションを稼げて効果がよいとわかったため、これは可能性があると強く感じました。

写真4

大谷氏 Facebookでは、「越境」のことを「クロスボーダー」と称して、アウトバウンドもインバウンドも注力しており、サポート体制を強化しています。
具体的には「クロスボーダーインサイトハブ」という、海外オーディエンスに対して広告配信する際に有益な情報を提供するサイトを公開しています。クロスボーダー配信用にターゲティングの機能も拡充しています。最近では類似オーディエンスを海外で探せるようになりました。これにより日本のお客様のデータを元に、海外でその日本のお客様に類似したユーザーを見つけ、広告配信ターゲットとして設定することができます。

喜多氏 海外配信の場合、国内サイトと違いブランド認知にKPIを設定するケースが多いです。ですが、Facebookダイナミック広告であれば、認知を獲得しながらプラスαでユーザーが購買しそうなものや興味関心のあるものが広告で表示されます、というお話をしています。これはいままでになかったものです。

フィードとタグの重要性(クリエイティブ最適化、機械学習)

― フィードとタグの重要性、クリエイティブ最適化、機械学習などについて詳しくお聞かせください。

喜多氏 日本でダイナミッククリエイティブが流行ったもとになったのはCriteoです。Criteoフィードはシンプルなので始めやすく、Yahoo!JAPANのような良質な配信面を持っており、高い成果を上げています。広告主様は成果がよければ、データフィードのチューニングをしなくてもいいという雰囲気もありますが、Facebookのような精緻なデータを持つプラットフォームもありますので、しっかりとデータフィードを用意することで高い成果を出したいと思っています。

Facebookのデータフィードには必須項目と推奨項目がありますが、必須項目は当然として、推奨項目も必ず入れるようにお客様にお願いしています。データフィードに含まれる情報が多いほどFacebookのエンジンは学習しますので、推奨項目ではありますができる限り入れていただきたいです。ただ、難易度が高い推奨項目もあります。それに対応するのはハードルが高いのですが、弊社がデータフィードベンダーとして広告運用まで行う際には、Facebookの精度の高いエンジンを活用して広告効果を最大化するためによいデータが必要です。ですから、推奨項目ですが必須項目だと思って頑張って入れましょうという提案をしています。

タグについても、ユーザーの行動情報は取得した方が絶対によいです、そのためにはタグをすべての階層に入れねばなりません。ただ、その実装は意外に負荷が高く、技術的なハードルがあると感じていますので、そこはしっかりサポートしていきたいと思います。

大谷氏 商品在庫数などを正確かつリアルタイムで広告に反映できているのが理想の状態です。いかにフィードをリアルタイムで更新していただくか、が成功の鍵となります。

データフィードへの取り組み、広告代理店はもっと危機感を

― Facebookのダイナミック広告を運用する上で、広告代理店にはどのようなことが求められますか?

大谷氏 お客様に広告素材のアセットをいただき、それを入稿するという通常のネット広告の流れとは異なりますので、まずデータフィードの扱いに慣れていただくことが必要です。その点フィードフォースさんはデータフィード領域に特化されていて、かつFacebook広告の新機能の把握や理解がとても速いです。また、ダイナミック広告を設定する場合、お客様のサイト構造も理解していなくてはなりませんので、通常のディスプレイ広告とは異なるリソースやスキルが必要とされます。

写真5

喜多氏 当社はもともとテクノロジベンダーですが、広告運用も行います。お客様に機能のキャッチアップも含めたサービスを提供してコミュニケーション・デリバリーを行わなければ、プラットフォームの機能を最大限活用することができません。テクノロジベンダーが広告運用をしてしまうということに関しては、従来の広告代理店さんには危機感を持っていただきたいです。

大谷氏 広告なのでクリエイティブは重要な要素ですFacebookのニュースフィード上では、アテンションのない広告はそのまま利用者の親指を止めることなく、スクリーン上を通過してしまいます。ダイナミック広告においてクリエイティブの要素、つまり画像や広告ユニット内に表示する情報はデータフィードの中に登録されています。従ってデータフィード内の情報のチューニングができなければ、クリエイティブを改善することができません。ダイナミック広告を配信される広告主様はフィードの扱い方、最適化を得意とする広告代理店のサポートを得ることで、成果の最大化を図ることができると考えています。

今後広告運用は更にオートメーション化が進むでしょう。パーソナライズして情報を届けていくので、人の頭で考えて細かい調整を行うには限界があります。利用者にとってベストな広告を自動的に出す最適化はどんどん進化していくでしょう。常に大きな変化の中でビジネスを行っていることになりますが、パートナーの方々と知恵を絞り、広告主のブランディングやビジネス構築に貢献したいと思っています。

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動画クリエイティブへの答えを持ちノウハウ化を進める-CyberZ 2018年の広告事業戦略 [インタビュー]

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CyberZは、2017年にスマートフォン広告事業の戦略を“クリエイティブとストラテジー”をテーマに従来から大きく変えた。その理由となる市場背景と具体的な取り組み、そして2018年の注力領域について、全2回にわたりお届けする。

第一回目は、同社広告事業責任者の取締役 市川 陽氏にクリエイティブに関する取り組みについてお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

市場ニーズは運用からクリエイティブにシフト

― CyberZとしてのスマートフォン広告ビジネスにおける直近の戦略をお聞かせください

写真2

広告代理店からこの市場を見たとき、ここ1、2年でメディアの環境の整備が進みました。大手広告プラットフォームの運用における自動化が進み、人が介在しなくても効果的な広告運用が出来るようになりました。
いわゆる、私たちが理想として思い描いて期待をしてきたアドテクノロジーのあるべき姿に、ここにきてやっと少しずつ近づいてきたという感じです。
これは私たち広告代理店が今後の戦略を考える上でとても大きな変化です。広告代理店に求められる領域は、運用からクリエイティブへと変わりつつあります。

当社では2017年のスマートフォン広告ビジネスにおいて、リソースを動画クリエイティブの領域に大きく振りました。動画需要の伸びは非常に大きく、当社でも直近1年で動画の制作本数は1年で6― 7倍にも増加し、現在は月に1万本のクリエイティブを作っています。

― 動画クリエイティブは、現在はFacebook、Twitter、Instagramなど、媒体ごとに用意するというような流れになってきているのでしょうか?

はい。1年前は動画の制作コストが高くTVCMで使用した動画をそのまま利用するなど同じクリエイティブを使用するのが主流でしたが、今では、それぞれの媒体別にクリエイティブを出し分けるようになってきています。出稿量の多い媒体に対しては、複数のクリエイティブを用意します。アドネットワークでの運用の場合、クリエイティブよりも、どの面にどのくらい出すかということが重要でした。しかしFacebookやTwitterなどでは異なります。ユーザーは、FacebookやTwitterに対して、新しい情報を求めに訪問します。同じ情報、すなわちクリエイティブを出し続けていると、そのユーザーにとって古い情報が流れてしまうことになるため、そのようなやり方は媒体の特性として合わないのです。
また、Facebook、Twitter、Instagramのユーザーのモチベーションはそれぞれ異なります。

広告の配信ロジックも、FacebookとTwitterとでは大きく異なるため、それぞれの媒体ごとにクリエイティブを用意する必要があるのです。

“優れたクリエイティブ ”=“効果が出るクリエイティブ”

― 貴社はクリエイティブNO.1を目標に掲げていますが、どのようなNO.1を意味しているのでしょうか?

量と質です。質というのは広告効果が高いことであると定義しています。
お客さんの好みを理解するということも大切ですが、効果を出すことが出来るクリエイティブを作るということを、この1年重きを置いて取り組みました。

本来であればデザイナーが効果を生むというのは、難しいことです。ですが当社はここを徹底的に追及しています。
FacebookとYouTubeという媒体を比べたときの大きな違いの一つは、「音を出せるか出せないか」です。その時にどのように要素を組み替えるべきか。あるいはスキップボタンを押されないようにするにはどうすべきか、Facebook向けのクリエイティブの背景は何色がいいのか・・などテーマに、当社としてそれぞれの媒体で最も効果を出すことが出来る解を出しました。

社内では「CRESTRA」というキーワードを掲げました。「CRESTRA」=「CREATIVE+STRATEGY」、すなわち、戦略的にクリエイティブを考えるというものです。このことを出来ている広告会社は、実は少ないのです。
バナー広告とは異なり、動画は検証すべき要素が多く、動画クリエイティブのPDCAを回すのはとても難しいことですが、当社ではこれに取り組んでいます。

クリエイティブ戦略の第一歩は生産性の向上

― 2017年の貴社の動画クリエイティブへの具体的な取り組みについて振り返っていただけますか?

写真3

3つの観点で取り組みをしました。一つは動画クリエイティブ制作における生産性の向上、そして二つ目は動画クリエイティブノウハウの蓄積とそのシステム化、そして三つ目は戦略的なクリエイティブ制作実践のための組織作りです。

クリエイティブ制作における生産性の向上において、そして取り組んだのが制作時間の短縮化です。動画を作る過程において、色々な作業をする時間を要します。

例えばクライアントが持つ動画素材をクライアントに届けるまでにかかるまでを考えてみます。お客さんがどこかのサイトにアップロードし、それを当社の営業がダウンロードします。受け取ったデータを営業が共有フォルダに入れて、初めてデザイナーの手元に届きます。容量の大きい動画素材を一つダウンロードするためには、有に一時間を要します。また、ダウンロードした動画データは、デザイナーのPCに蓄積されていくと、PCの動作が遅くなり、作業遅延につながります。
このような課題を解決するために、当社では「Zinnia」というサーバー上で動画クリエイティブを制作することが出来るツールを構築してクリエイティブ制作に要する時間の短縮につなげました。

もう一つの例を挙げると、動画のファイルに名前を付けるという作業があります。1本の動画クリエイティブのファイルの名称付けを3分から1分にするようにしたことで、2万分の時間を省略しました。
その他にも、Webサーバーを自社で購入し社内に設置するなどにより、処理速度を高めるように努めました。

これらの取り組みにより、過去8カ月でデザイナーのクリエイティブ制作スピードは、従前の3倍~4倍になり、1デザイナーが制作できるクリエイティブの数は1.5倍~2倍程度になりました。

クリエイティブの答えを作る

動画クリエイティブノウハウの蓄積とそのシステム化については、現在動画クリエイティブのタグ作りに注力しています。一つの動画クリエイティブに対して20個ほどのタグを付けることで、これらを分析できるシステム「Zen」を構築しました。

このような取り組みは、他の広告会社においては個々の案件ベースではされていることもありますが、全案件に対応するというケースはこれまでにない取り組みでしょう。
普通ではできないようなクリエイティブの運用を出来るようになることが、このシステムを構築した狙いです。

― 全クリエイティブにタグをつけることで、生産性を高める以外にも何か効果が得られるのでしょうか?

今後考えているのは、CyberZの中である程度のクリエイティブに対する答えを作るということです。

例えば、特定のジャンルのゲームタイトルのプロモーション案件では、どういう構成のクリエイティブが効果を出しやすいのか、というようなことを全てデータベース化し、データベースを叩けば、「背景は何色で、キャラクターが何人いて、2分割で、メインの訴求はこうで・・とすれば、効果が出やすい。」ということが分かるようにすることです。
このようにしておけば、お客様にとってもアウトプットのイメージがしやすくなります。

営業もクリエイティブに

― 三つ目の組織作りに関連してお聞きします。クリエイティブを作る人材は今どのくらいいるのでしょうか?

現在当社広告事業のデザイナーの数は、営業とほぼ同人数規模に増やしています。また静止画のデザイナーに動画制作のノウハウを教育しました。もともと静止画のデザイナーの方でも、社内講座を毎週するなどによって全員が動画を作れるようにしました。
フォトショップのような動画が作れるようなツールを導入するなどの対応もしました。デザイナーにとっても、自身の表現力が豊かになりますし、スキルの幅も広がるのでポジティブに受け入れてもらっています。

動画については、撮影をする場合も当然ありますのでディレクターが必要になりますが、元々テレビCMの制作などをしていた人材を新たに採用するなどにより組織を拡充し、体制を強化しました。

そして、営業のクリエイティブ能力を高めようという取り組みもこの1年間でしています。
メディアが今後進化を続けた暁に広告会社に求められることは、クリエイティブです。これまでは営業とクリエイティブのスキルは切り離されていましたが、当社では今営業全員がクリエイティブディレクターです。そして現在は営業の評価項目に、クリエイティブも含めています。この方針を徹底するために、クリエイティブのボードチームを作り、営業が作成した全営業の全クリエイティブをチェックしてランキング付けをして上位者を表彰しています。

世の中では一般的にクリエイティブを作るにはセンスが必要だといわれていますが、私たちの中では、紐解いていけば誰にでも出来るものです。最終的におしゃれなものに仕上げるのはデザイナーの仕事ですが、そこに至るまでは営業にもクリエイティブにしっかりと向き合ってもらいたいと考えています。

クリエイティブ部隊と運用部隊との連携も強化しています。例えば目標設定においては、最終目標のKPIを達成するためにはクリエイティブ側はどのような目標を達成すればいいか、運用側はどのような目標を達成すればいいかを、両社の連携を念頭に置いて設定をしました。
例えばあるアカウントのCPIを目標に達成するために下げる運用が必要なときに、CTRを1.5%から2%に上げることをクリエイティブ側の目標としよう・・。というような具合に設定をするという感じです。
とにかくたくさん作る、ということではなく、目標数値に向き合ったクリエイティブを作るという思想に変えてきました。

2018年はブランディング向けクリエイティブに挑戦

― 今後のプロダクト開発の方向性をお聞かせください

2018年の半年ぐらいは、2017年に新たに動かしてきたことを集約していくような取り組みをしていきたいと考えています。クリエイティブの生産ライン、クリエイティブに対する考え方のフレームワーク、研究した結果などをまとめて、ダッシュボードで出来るようにしていこうと思っています。

写真4

また、その後の半年はブランド向けの動画クリエイティブの領域にも力を入れていきたいと考えています。

2017年の1年間、当社ではスマホ広告とテレビCMとの比較について研究を重ねてまいりました。これをクリエイティブにも活かしていく予定です。

広告会社はこれまで広告の作業屋のような位置づけでしたが、そこではこれから生き残っていくことは出来ません。仕組み化をして無駄なことは機械に任せて、人間の頭でしかできないことに集約して強みを発揮していけるような組織にしていきます。その意味においても、現在の組織において全体の1/3を占めるクリエイティブの比重は今後も高くしていく予定です。

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先週のアドテクシーン:CCIの「BEYOND X」、「IAB Tech Lab Measurement Compliance Program」の認定を世界で初めて取得

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

ユナイテッドのSSP「adstir」、スワイプ型フォーマットの「スワイプインタースティシャル広告」の提供を開始

ユナイテッドのSSP「adstir」は、アプリデベロッパー向けにスワイプ型の新フォーマットである「スワイプインタースティシャル広告」の提供を開始した。
スワイプアクションがあるアプリにとってユーザー体験をそこ損なわずに広告を露出できる。
図1-2

出典:同社プレスリリース

Supershipの「Ad Generation」、新型広告配信ロジックを適用開始

Supershipの「Ad Generation」は、アドネットワークの広告配信について、複数の広告配信事業者のなかから配信実績を基に収益性を自動的に取得し、配信順位(ウォーターフォール配信)や、配信比率を最適化することを可能とする新型広告配信ロジックを適用開始した。

出典:同社プレスリリース

【資金調達】

レシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely、総額33.5億円を調達

レシピ動画サービス「クラシル」を運営するdelyは、ソフトバンク・アカツキ・ユナイテッド・YJキャピタルなどから総額33.5億円を調達した。

【サービス連携・業務提携】

Googleとセールスフォース、Google Analytics 360とSalesforce Sales Cloudとの連携を発表

Googleとセールスフォースは昨年に提携を発表していたが、ついに提携第一号ソリューションとしてGoogle Analytics 360とSalesforce Sales Cloudとの連携を発表した。
営業、マーケティング、広告等のデータをシームレスに連携する。

KANADE DSP、アプリ向けリエンゲージメント広告で「F.O.X」と連携

KCCSのKANADE DSPは、CyberZが提供するアプリ向けリエンゲージメント広告で「F.O.X」と連携し、連携するアプリ効果計測ツールを拡充させた。

出典:同社プレスリリース

IBMとセールスフォース・ドットコム、戦略的パートナーシップを強化

今回は、セールスフォース・ドットコムはIBMをクラウド・サービス・プロバイダーとして優先的に選定し、IBMはセールスフォース・ドットコムをカスタマー・エンゲージメント・プラットフォームとして優先的に選定することになった。

【新会社・新組織】

ヤフー、川辺健太郎副社長が社長CEOに昇格へ

ヤフーは、新執行体制への移行および代表取締役の異動を発表し、川辺健太郎副社長が社長CEOに昇格し宮坂学社長は会長に就いたことを発表した。

ALBERT、代表取締役社長に松本 壮志氏が就任

データ分析などを行うALBERTは、代表取締役社長に松本 壮志氏が就任し現社長の上村 崇氏は代表権のない取締役になることを発表した。
3月に正式な決定となる。

【調査】

ログリー、メディアサイトにおける閲読行動と再訪性に関する調査を発表

ログリーは、メディアサイトのユーザー定着度合いを分析し、育成・増加を支援するツール「Loyalfarm」を導入している約100媒体を対象に、メディアサイトの閲読行動調査を実施し発表した。

出典:同社プレスリリース

【その他】

CCIの「BEYOND X」、「IAB Tech Lab Measurement Compliance Program」の認定を世界で初めて取得

CCIの「BEYOND X」は、デジタル広告企業向け測定手法の業界標準への適合を監査する「IAB Tech Lab Measurement Compliance Program」の認定を、グローバルで最初の企業として取得した。

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やむなくデジタル・マーケティング関連部署に配属されたら、まず何をすればよい?-iProspectが教示するデジタル人材教育[インタビュー]

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新卒一括採用と頻繁に配置転換がある日本の一般企業では、誰もが望んでデジタル・マーケティング関連部署に配属されるわけではない。しかも関係者は意味不明なアルファベットを連発し、苦労して得た知識は早々と廃れ、上司の関心は薄い。そんな環境でまず何から手をつければよいのか。多様な職歴を有する大手広告代理店iProspectの的場啓年氏が、業界初心者向けにアドバイスを提供する。

(聞き手:ExchangeWire Japan 長野雅俊)

知識を実行に移すときに求められるのは経験則

― 自己紹介をお願い致します。

iProspectというグローバルに展開する広告代理店に所属しています。日本ではあまり聞き慣れない名前かもしれませんが、電通・イージスネットワークに属し、顧客の大半は外資系企業です。53カ国にオフィスを構え、総計4000人程度の社員が在籍。私は日本法人のチーフ・クライアント・オフィサー(COO)として、顧客に各種の提案を行っています。アパレルや旅行分野などeコマースのパフォーマンス領域に強みを持ち、またアウトバウンドやインバウンド施策でも豊富なノウハウを持っています。

― 現職に至るまでのキャリアを教えてください。

写真1

高校を卒業後、まずは飲食業に従事しました。23歳で店長として新規店舗の立ち上げを経験し、26歳で独立。次に限られた初期費用と運転資金でも始められるだろうという安易な発想で、2005年にファッションeコマースの運営を始めました。BtoBオプションやチャットといった、当時としては目新しい機能を搭載しているとの自負がありましたが、同時に自営業の厳しさも十分に味わったことで、もっと違った社会経験を重ねたいと思うようになったのです。そこでeコマースの部署を持っていたサイバー・コミュニケーションズ(cci)に入社し、同社で広告営業も経験した後でプログラマティック領域にも関心を持つようになり、株式会社フリークアウトに1年間勤務。そこでiProspectを担当していたご縁もあり、現職に就きました。

― 新卒一括採用という日本独特の雇用慣行を踏まえた上で、デジタル・マーケティング関連部署としてはどのような素養を持つ人材を採用すべきと考えますか。

最終的には「コミュニケーションスキルが高い」など総合的な人間力が問われるとは思います。また若い人は既に必ず何かしらの形で受け手としてデジタル・マーケティングに接していますよね。そうした諸々のデジタル・マーケティングのあり方に対して興味や疑問を示す人の方がこの業界には向いているとは思います。与えられた情報だけで業界の動向に追いついていくのは難しい。まずは自分が納得するまで調べる。得た知識を具現化して、また新しい学びを得る。そうしたサイクルを持つ人であれば、新規のプラットフォームやソリューションをすぐに身につけるでしょう。

ちなみに弊社でも新卒採用を行っています。グローバル企業なので英語力が必須となるのですが、一方で面接ではデジタル・マーケティングに関する知識の深さを問うような質問はしていません。それよりも、例えば日常的にどのようなデジタル広告に触れ、何に興味を持ち、どう活用しているかをきちんと説明できる人を評価しています。

― 急速に進歩を遂げている分野においては、マニュアルの賞味期限が短くなり、また上司もノウハウを持ち合わせていないなどの理由で、人材育成が難しくなる傾向にあります。デジタル・マーケティング人材はどのように育成していくべきなのでしょうか。

まずデジタル・マーケティング関連の基本的な知識を得ることは必須です。そして、やる気次第でそうした関連知識を誰でも得ることができるという大前提がある一方で、その知識を実行に移す上ではやはり経験則が求められます。どれほど急速に変化を遂げている業界であったとしても、いくつもの試行錯誤に裏付けられた経験則であれば、上司が部下に伝えるべき材料は豊富にあるはずです。

またどんな優秀な人間であっても、苦手としたり、未経験の領域はあるでしょう。プレゼン資料をつくるのが下手な人には、あえて課題として投げてみる。Google AdWordsしか運用したことがない人には、あえてFacebook広告を経験させる。プラットフォームによって仕様は全く異なり、それぞれに対して詳細なマニュアルを用意するのは事実上無理です。だからこそ、業務を通じて経験則をしっかりと伝授していくことが必要になります。

運用型広告では失敗は避けられない

― デジタル・マーケティングの新規プラットフォームが次々と現れることに戸惑う声もよく聞かれます。

新しいプラットフォームが登場したときに大事なことは、試しにそして果敢に使ってみることです。結局のところ、実際に使ってみないと肝心なことは何も分かりません。デジタル・マーケティングを生業とする私たちでさえ、例えば「Amazon マーケティングサービス(AMS)」の説明を読んだだけでは勝手が分からないのです。だから弊社においては、案件として顧客から機会が提供されたら、まずは社内の複数人にチャレンジしてもらう。「複数人」というのが重要です。個々によって結果が大きく異なる可能性があるからです。先の例で言えば、最もAMSを効果的に利用している社員を今度はハブとして、社内全体へとノウハウを伝えていきます。

そうした試行錯誤を通じて、例えば「ファッション業界に強い」「このDSPは人材データを持っている」といった各プラットフォームの特性を理解さえすれば、あとはクライアントのKPIと照らし合わせながら、最適なものを取捨選択すれば良いと思います。

― ただビジネスにおいては「チャレンジしてみる」のが難しい場合もあるのではないでしょうか。

誤解を恐れずに申し上げるならば、運用型広告では失敗は避けられません。かつて「枠売り」と呼ばれる形態が主流であった時代には、関係者の誰もが「失敗は絶対に許されない」との思いを持っていました。ただし、運用型広告においては、例えば想定していた数値と10インプレッションの乖離があるからといって、広告代理店に損失補填を請求する顧客というのはまずいません。近年では顧客も運用型広告における試行錯誤の必要性を理解してくれるようになったのではないでしょうか。失敗しても、それを教訓として生かすことさえできれば、ノウハウの蓄積となります。

― 2018年1月時点で注目しているプラットフォームはありますか。

弊社では「マーケットプレイスオプティマイゼーション」というプラットフォームというか概念を積極的に取り入れようとしているところです。これは端的に言えば、楽天やAmazonを通じて出品されている商品のトラッキングを行い、在庫切れがあれば在庫を供給し、他社に対して価格が負けているのであれば価格を下げたりといったPDCAを回す仕組みです。

「デジタル・マーケティング」を特別視するのはよくない

― あまりよく分からないまま会社の方針でデジタル・マーケティング担当者になってしまった人は、まずどんなことに気をつけながら勉強していけばいいのですか。

飲食業者であれ、広告担当であれ、マーケティング部署であれ、ベースとして考えなければいけないことはそれほど変わらないと思います。ものを売るという行為自体は普遍的なものです。「デジタル・マーケティング」を特別視するのはよくないというのが私の考えです。

写真2

そもそも自社にとってデジタル施策が必要なのか。自社のデジタル化がどこまで進んでいて、どのようなプランニングでどういうマーケティングを行おうとしているかを俯瞰的に捉えてみる。デジタル・マーケティング・ツールは、魔法の道具ではなく、あくまでも消費者とのコミュニケーション手段の一つに過ぎないということを忘れてはいけません。ユーザーはデジタルを通じていかに自社の商品やサービスにたどりつくのか。そのタッチポイントとして例えばSEMやInstagramがあるわけです。その他の業務と同じように、周囲に振り回されることなく、自分が必要であると感じたことを愚直に勉強していけば、デジタル・マーケティング担当者としてやっていけると私は思います。

理解が得られないときは話の内容が理解されていない

― 「デジタルに疎い上層部の理解が得られない」というのもよく聞く悩みです。

社内で上長の理解を得るのと、我々が顧客の理解を得る行為の間には多くの共通点があるように感じます。上長の「理解が得られない」ときは、その上長がそもそも「話の内容を理解していない」ということが往々にしてある。そうだとすれば、上長は何が分かっていないかを把握した上で、しっかりと時間をとってホワイトボード上に図式化して説明するなりして「下の者が上の者を教育する」という姿勢も絶対に必要だと思います。

― デジタル・マーケティング施策の高度化に対応するため、最高デジタル責任者(CDO)新設の必要性が叫ばれています。一方で、こうした新体制構想は、現場の実情とはあまりに乖離しているとの指摘もなされています。

CDOに相当する職務に就く人を外部から招聘してくるという傾向は今後ますます強まっていくでしょう。その方式が上手くいかないのは、そうした外部の人材が持つ知識と、社内に蓄積した知識にギャップがある場合です。その状況を放置したまま、CDOが構想を熱く語っても、現場は机上の空論として受け止めてしまう。CDOの責務の中には、そうした知識や文化背景のギャップを埋めるということまで含まれていると思います。

iProspectの見解としては内製化は大歓迎

― テクノロジーの進歩により、一般企業によるデジタル・マーケティングの内製化が進んでいけば、広告代理店の役割も見直しを迫られることになると思います。広告代理店は今後どのような役割を強化していくべきと考えますか。

海外と比較すると、日本の広告業界における代理店への依存度は確かに高い気がします。過去の新聞やテレビといったマスメディアの産業構造を受け継いでいるからでしょう。ただし、デジタル・マーケティングが進化すればするほど、代理店への依存度は低くなり、内製化も進んでいくのではないかと想像します。

iProspectとしては、内製化は大歓迎です。むしろそれがより適正な形であるとさえ思います。代理店を仲介せずとも広告の露出機会を購入できるメディアが増えてきているのだから当然です。ただし、広告の運用やプランニングの面においてはノウハウの蓄積が絶対的に必要なので、段階的な導入を進めていくというのが現実的でしょう。そのとき、代理店は内製化に当たっての教育、啓蒙、支援などでその存在価値を発揮していくことになると思います。

内製化するにしても、広告の運用からSEOまですべての領域で専門人材をそろえるのは実際のところかなり難しいのではないでしょうか。必ずしも自ら手を動かす必要はなく、知識やノウハウをきちんと内製化することが重要。逆に戦略立案やノウハウ・データの蓄積といった面まで外部機関に頼るというのは危険だと思います。

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YouTuberの市場、2022年には2017年比約2.6倍、579億円に

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サイバーエージェントグループで、若年層向けにYouTuberやInstagrammerに特化したマーケティング 支援を行うCA Young Labは、YouTuberの市場規模推計・予測を公表した。

市場規模の算出は、デジタルインファクトと共同で実施。2017年の219億円から2022年には約2.6倍の579億円に成長する。市場は大きくは、Google社がYouTubeの広告収入に一定量率を乗じて支払う「YouTube広告」、広告主がタイアップ動画制作費としてYouTuberに支払う「タイアップ広告収入」、消費者が、YouTuberのイベント参加やグッズ購入に支払う「イベント・グッズ収入」とに分かれており、最も割合が大きいのは「YouTube広告」で全体の6割以上(2017年時点)を占める。

参考までに触れておくと、ここでの「タイアップ広告」は、前述のとおり「動画制作費」に当たるため、サイバーエージェントが別途公表している動画広告市場規模(媒体費のみが対象)の数値には含まれていない。

図1

市場成長の理由は、人気YouTuberが提供するコンテンツの高い人気と、YouTuberの数の広がりにある。Googleからの得られる「YouTube広告」収入の増加はもとより、タイアップ案件も従来のアプリゲーム中心から、いわゆる一般広告主層へと広がりつつある。
また、YouTube上で数泊万人規模のユーザーを抱えるトップYouTuberなどは、イベント・グッズ収入などの収益手段も伸びている。

YouTubeにおいて、登録者数1万人以上のチャンネル数は前年比150%以上の増加を続けており、YouTuberの数もまた持続的な増加傾向にある。
2017年は、複数人数でコンテンツを配信するYouTuberや、女性YouTuberの活躍が顕著な傾向にあり、YouTuberの人材層の広がりがみられたが、今後の市場成長には新たなYouTuberの育成や活動支援への取り組みが不可欠とのことだ。

図2

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マーケティングへのロジカルなアプローチでビジネスを拡大-skyticketのプロモーション戦略について- [インタビュー]

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航空券やホテルなどの旅行予約の総合プラットフォームとして急速に成長しているアプリ・skyticket。現在そのskyticketでは、更なる成長に向けてアプリビジネスへの投資を拡大している。今回はskyticketを運営する株式会社アドベンチャーでマーケティングを統括する寺澤玲緒氏に、ビジネスの現状とプロモーション戦略、広告を使ったアプリプロモーションへの期待と課題などについて、skyticketのアプリプロモーションを支援するAppLovin日本法人代表取締役の林宣多氏が聞いた。

業績拡大の秘訣は、広告宣伝費への積極的な投資

― 林氏 skyticketの提供サービスについて簡単に教えてください。

写真2

寺澤氏 skyticketが提供しているのは、旅行の総合予約プラットフォームです。いまは航空券の予約が主力ですが、そのほかにもホテルやレンタカー、フェリー、Wi-Fi、観光ガイドなどのコンテンツにまで拡大しています。当社skyticketのサービスは航空券の予約販売に始まり、2017年で10周年を迎えました。2014年末のマザーズ上場を経て、着実なマーケティング戦略なども実り、近年当社のサービスが大きく認知されはじめていると感じています。

― 林氏 旅行業界では、同様のサービスを提供している老舗や競合のアプリやサイトが多い中、skyticketが業績を飛躍的に伸ばすことができた要因はなんですか?

寺澤氏 他社に比べて広告・SEMやA/Bテストなどの先進的なマーケティング活動へ積極的に投資していることがその理由のひとつとして挙げられます。当社は売上に対するマーケティングの予算比率が高く、旅行業界の中の広告費率ランキングでもトップクラスです。毎月の予算はその都度代表と話し合って決めていますが、現状では事業で得られた利益のほとんどを広告宣伝を始めとするマーケティングに投資しています。マーケティングに予算を惜しまないことは当社代表の方針で、これが功を奏して他社との差別化に成功したのでしょう。

また、上場後は人材獲得にも力を入れており、この1年で社員数を倍以上に増やすことができたのも、事業を拡大できた要因だと思います。

― 林氏 御社のマーケティングは、エージェンシーを間に入れずに、そのほとんどをインハウスで実施していることも特徴的です。

寺澤氏 代理店を介さずインハウスで広告を運用するメリットは、マージンの節約はもちろん、運用やクリエイティブに関するノウハウを媒体から直接吸収して、自社に蓄積できることなどが挙げられます。

弊社の広告マーケティングの運用とクリエイティブ制作は私とアルバイトのアシスタントのほぼ2人体制で行っているのですが、特にAppLovinを始め、近年主流のWeb広告媒体は運用がかなりの部分が自動化されていることにより、運用コストがそれほど高くないことと、代理店を介さず媒体企業の担当者と直でつながり連携することで、運用に関する深いアドバイスやノウハウをいただけることもあり、結果として代理店に委託した場合と同等か、それ以上のパフォーマンスを挙げることに成功しています。

「絞って大量投資」が、skyticketのプロモーション戦略

― 林氏 skyticketが取り組むプロモーション施策全般についてお聞かせください。
また、プロモーションは、オンライン・オフラインで、どのようなチャネルをどのくらいの割合で使っていますか?

寺澤氏 プロモーションには、毎月4〜5億円ほど使っています。オンラインのプロモーションは一昨年くらいまではリスティング広告をメインで使っていましたが、昨年からアプリのインフィード広告にも注力するようになり、今では広告費全体の1/3~1/4程度を占めるようになりました。オフラインのプロモーションは2017年の夏から本格的に始めたので、まだ割合として少ないのですが、タレントの玉城ティナさんを起用してJRのトレインチャンネルなどに動画を配信しています。

― 林氏 たとえば、リスティング広告だとコンバージョンに近いユーザーを確実に獲得することが目的であったり、それぞれのチャネルに期待するKPI (Key Performance Indicator: 重要業績評価指標) は違うと思いますが、アプリ広告のKPIの考え方ついてお聞かせください。

寺澤氏 おっしゃる通りで、リスティング広告とアプリ広告では、KPIは異なります。リスティング広告は、CPA(Cost Per Acqusition: 申込あたりの広告費用)をKPIに設定し、CPAを最適化することを目的としています。一方、アプリ広告ではCPI(Cost Per Install: インストール単価)をKPIに設定しています。アプリ広告がオンライン全体の広告費を占める割合が高まっている理由は、アプリユーザーのリピート率がWebに比較して高く、ユーザー単位で長期的に見た時のLTV (Life Time Value: 顧客生涯価値)がより高いからです。また、アプリでは、インストール後に広告媒体からの申し込みにつながる割合はもちろん、そのユーザーが月に何回アプリを利用しているかなどのリピート率やよく行く旅行先などといった、よりパーソナルな情報まで追うことができるので、今後は個々のユーザー情報や行動履歴に合わせたプッシュ通知を入れたり、UIを最適化したりするなど、アプリならではの施策でLTVを最大化していきたいと考えています。リスティング広告は目の前のCPAを指標にしていますが、アプリ広告ではいかにCPIを安く押さえ見込みユーザーを囲い込み、長い目線でロイヤルユーザーへと成長させていくかということを重要視しているのです。

写真3

― 林氏 Applovinなどの広告プラットフォームはどのくらいの種類を使っていますか?また、skyticketが運用するモバイル広告の中でAppLovinのプラットフォームの活用方法や、採用した理由を教えてください。

寺澤氏 当社では一定の消化ボリュームが出そうなものと、効果が出そうなサービスは基本的に何でもチャレンジしてみようというスタンスです。大体のオンライン広告メニューは試しましたが、最近では獲得コストが安く、月1千万円以上消化できるメニューに絞り込んでいます。その結果、現在はAppLovinの他にFacebook、LINE、Twitterなどのソーシャルメディア系のプラットフォームを主に利用しています。

AppLovinはソーシャルメディア系と比べて自動化が進んでおり、こちらで運用の手間をかけずに効果と規模を維持してくれていると感じています。当社では、先に述べた通り、現在広告運用はほとんどをインハウスで行っているので、AppLovinは手間をかけずに広告配信のスケールアップをできるというメリットから採用しました。

― 林氏 運用とキャンペーンを設定するところからすべて自社で行うことで、どんな印象がありましたか?

写真4

寺澤氏 実際に運用を始める前は、安定するまでにクリエイティブを何本作ればよいのだろうなどと考えていましたが、これについては案外とすんなりいったという感じがしています。最初の1本で想定通りの数字が出たので、初期のクリエイティブ精査にはほぼ手間がかかりませんでした。

キャンペーン開始から2週間ほどでCPIも安定し、他媒体と比較してクリエイティブなども最小限の調整で目標としていた数字を達成することができました。
現在も頻繁なクリエイティブの差し替えを必要とせず、安定して成果を出し続けてくれているので運用面でもとても助かっています。

― 林氏 クリエイティブの観点でAppLovinと他媒体とで何か違いを感じている点はありますか?

寺澤氏 特に大きな違いは感じていません。ソーシャルメディア系で効果があるものは、AppLovinでもうまくいっています。

― 林氏 今後、何か取り組まれたいことはありますか?

寺澤氏 大きなテーマは「海外進出」です。2017年の夏ごろから一部の国でテストマーケティングを行ってきましたが、獲得コストの安さや購入につながる割合に一定の手応えを感じることができました。その一方で入金率を高めるために現地で使われている決済方法を漏れなく取り入れていく必要があるなど、課題も多く見つかりました。2018年にはそういった課題を解決した上で、アジアや英語圏を中心に、本格的なマーケティング展開を開始したいと考えています。

攻めるときに攻めることが出来るのが強み

― 林氏 旅行業界に限らず、キャンペーンでうまく認知されてCVRが上がる時や、収益を最大化できるタイミングがあった時に、マーケティング予算などに制限があると、その時にスケールを最大化できません。しかし、御社はKPIに見合った投資は制限なく実施する、というマーケティング方針である点が印象的です。

寺澤氏 skyticketのマーケティング戦略は、KPIが満たせるならば広告投資を積極的に行うことが特徴的です。日本企業の多くは一定期間ごとの予算ベースで動きますが、それでは攻める時と攻められない時の根拠がロジカルではなくなってしまっています。当社は攻めるべきときに攻めることが出来る、スタートアップらしい広告投資をしています。これによりskyticketは旅行アプリとしてカテゴリランキング1位を獲得するなど、競合他社に先行してアプリのシェアを伸ばしていくことに成功しました。

現在では運用面での獲得効率の最大化を目指しつつ、アプリ内でのA/BテストによるCVRの改善や、先に述べたアプリならではの施策を行っていくことで、いかにROI (Return on Investment: 投資した資本に対して得られた利益) を最大化していくかという段階に来ています。

― 林氏 今後も100億円規模の広告投資をされるとのことですね。

寺澤氏 広告投資の規模はその時々の状況を見て柔軟に変えていきますが、今後は主にブランディングを目的としたオフライン広告への投資も増やしていきたいと考えています。オフライン施策は現在、交通広告が中心ですが、いずれはテレビCMへの出稿もするかもしれません。

写真5

― 林氏 テレビCMによりユーザーの認知が高まると、CVRが上がるためオンライン広告のKPIも変わるかもしれませんが、予算の消化ボリュームがいま以上にとれるようになります。認知を上げたり、よいイメージを持ってもらったりするためのブランディングは、オンライン施策に良い意味で寄与してくれます。

寺澤氏 当社のユーザーで最も多いのは20代~30代です。テレビCMはユーザー数だけではなく年齢層も広げてくれると思います。これまでは今後大きなボリュームゾーンとしての成長が期待できる10代~20代のユーザーをねらって、玉城ティナさんという若年層に人気のモデルさんを起用していましたが、今後は幅広い世代をターゲットにしたマーケティング戦略に切り替えていくつもりです。

― 林氏 デジタルで今後取り組まれてみたい施策などはありますか?

寺澤氏 サービスの性質上、1ヶ月以上アプリを起動しない休眠ユーザーがとても多いので、そういったユーザーに対していかにアプリのアクティブ率を上げるかの施策や、ユーザーが旅行に行きたくなり、航空券やホテルの料金を調べようとしているタイミングでいかに適切な通知を送れるかといった施策にとても関心があります。

将来は日々送られてくる膨大な量のアプリの利用データと、A/Bテストや機械学習など、近年注目されている技術を組み合わせることで、ユーザー個々の利用スタイルに合わせた適切なUXを提供することが可能になると考えています。

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先週のアドテクシーン:ブレインパッド、広告運用のインハウス化を支援する新サービスを提供開始

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

C Channel、電通リテールマーケティングと提携し店舗の分析まで担うRPDCAソリューションを提供

女性向け動画メディアのC Channelは、電通リテールマーケティングと提携し店頭の購買データリサーチに基づいた動画コミュニケーションを設計し、効果検証までレポートするRPDCAソリューションの提供を開始した。

サイバーエージェントの「LODEO」、アンケートを回収せずにユーザーの態度変容を計測/動画広告の効果を最大化する「Brand Lift Optimizer」の提供を開始

サイバーエージェントの「LODEO」は、アンケートを回収せずにユーザーの態度変容を計測し、動画広告の効果を最大化する「Brand Lift Optimizer」の提供を開始した。
第一弾として、広告想起を最大化する機能の提供を開始する。
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出典:同社プレスリリース

ソネット・メディア・ネットワークス、「テレビ視聴者ターゲティング」の提供を開始

ソネット・メディア・ネットワークスは、DSP「Logicad」とビデオリサーチが提供する「VR LINC」とを連携させた「テレビ視聴ターゲティング」の提供を
開始した。
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出典:同社プレスリリース

ブレインパッド、広告運用のインハウス化を支援する新サービスを提供開始

ブレインパッドは、広告運用ツールの導入から運用支援まで一貫してサポート する事業会社の広告運用のインハウス化を支援する新サービスを提供開始した。
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出典:同社プレスリリース

Speee、「UZOU」新感覚チャット型レコメンド広告を開始

Speeeは、オススメ記事の紹介枠とは別にポップアップウィンドウを表示し、オススメ記事をチャット型で紹介する新感覚チャット型レコメンド広告を
開始した。
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出典:同社プレスリリース

Criteo、アジア太平洋地域のEコマース成長の加速に向けて「Criteoリセラープログラム」を提供

Criteoは、アジア太平洋地域に向けて「Criteoリセラープログラム」のAPI提供を開始したことを発表した。自社のマーケットプレイス上で、興味、関心に合わせたレコメンデーション広告を配信するCriteoダイナミックリターゲティングを、個々のセラーに展開または再販可能となった。

【新会社・新組織】

電通デジタル、オープンイノベーション創出のための共同研究組織「共創イノベーションラボ」を設立

電通デジタルは、東京大学先端科学技術研究センターの小泉秀樹研究室と、より良いオープンイノベーションの実現をテーマとした共同研究組織「共創イノベーションラボ」を設立した。

【調査】

モメンタム、「アドベリフィケーション推進協議会」において、国内での実態調査レポートを公開

モメンタムは、「アドベリフィケーション推進協議会」において、国内での実態調査レポートを公開した。
このレポートによって、日本におけるアドフラウド、ブランドリスク、ビューアビリティーの現状が明らかになった。

ビデオリサーチインタラクティブ、2017年の動画広告出稿状況を発表

ビデオリサーチインタラクティブは、2017年の動画広告出稿状況を発表した。
2017年のPC動画広告出稿社数は2,330社で、前年比24.4%増であった。また、最も出稿量が多かった広告主は、アマゾンジャパン。
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出典:同社プレスリリース

【資金調達】

ZEALS、ジャフコ・フリークアウトから4.2億の第三者割当増資を実施

会話広告「fanp」を展開するZEALSは、ジャフコ・フリークアウトから4.2億の第三者割当増資を実施した。

調達資金はさらなる機能開発等に充てられる。

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CPIのみの追求はもう古い-CyberZが提案するアプリマーケティングの新たなストラテジー [インタビュー]

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CyberZは、2017年にスマートフォン広告事業の戦略を“クリエイティブとストラテジー”をテーマに従来から大きく変えた。その理由となる市場背景と具体的な取り組み、そして2018年の注力領域について、全2回にわたりお届けするシリーズ。

第2回目の今回は、「ストラテジー」について。同社がクライアント向けに作ったアプリクライアント向けの新しいマーケティングストラテジーのフレームワークについて、ブランドテクノロジーグループマネージャー、佐藤大雅氏にお話を伺った。

第1回目、同社広告事業責任者の取締役 市川 陽 氏へのインタビュー記事はこちら

 

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下智之)

より重要なのは、自然流入

― 貴社が提案されているストラテジーについてお聞かせください。

スマホアプリのビジネス環境は、2、3年前と比べ市場環境が大きく変わりました。
クオリティーの高いアプリが増え、より競争が激しくなっています。ゲームアプリに関しても、差別化が難しくなり、マーケティングにおけるストラテジーが多様化してきました。
アプリマーケティングの歴史を振り返ると、SDKによる効果計測が出来るようになってCPIが可視化されたことに始まり、リワード広告の全盛期を経てソーシャル広告、そして現在は動画広告へとその主流が移っています。これによりアトリビューションの考え方が重要になり、いわゆるCPIのような広告効果は、ラストクリック経由の効果のみしか可視化できていないという現状のアプリ効果測定の課題が明らかになりました。

我々がプロモーションを支援してきたアプリの新規ユーザー獲得は、アプリリリースからの累計でみると、およそ全体の20~30%が広告配信経由からで、残りは自然流入です。多くても広告配信経由は50%程度でしょう。つまりアプリマーケターは、プロモーションのストラテジーを考える上で、広告経由のCPIやROASなどの指標を追っているだけでは、今の市場環境に対応しきれないと考えています。

本来クライアントのアプリビジネス全体を考える上で大切なのは、全体の多くを占める自然流入です。これまでは配信広告経由の新規流入のみを対象に、PDCAを回してきました。ですが本来はより全体に対して占める割合の大きい自然流入への影響もしっかりと組み込んで考えるべきです。

自然流入は、インターネット広告以外にもPR、企画、YouTubeでの配信、マス広告などの影響を受けます。当社では、今まで可視化出来ていなかったものの影響値を出来るだけ可視化・分析してクライアントに対して新しいマーケティングストラテジーの提案をする取り組みをしています。

ストラテジーのポイントは「ターゲット認知率」と「流行度」

写真2

クライアントのビジネスの成功は、収益の最大化です。そのため、より全体の収益への影響値が大きい自然流入を増やすことへのアクションが大切です。このとき、ではプロモーションをどのようにすればいいのかということが論点になります。

ゲームアプリに関しては、「ターゲット認知率」と「流行度」を高めることが非常に重要だということがわかりました。

当社では2017年に、同系統のスマホRPGアプリ20タイトルを対象に、3万人のユーザー調査を実施しました。その調査結果をもとに、各タイトルのマーケティングファネルにおける進行度合いを分析しました。
その結果、「ターゲット認知率」と「流行度」という二つの指標を基準に、スマホゲームアプリを5つのグループに分けることができました。ターゲット認知率は「ターゲットユーザーが、そのスマホゲームアプリを知っているか」、流行度とは「ターゲットユーザーがそのスマホゲームアプリが流行していると認識しているかどうか」です。
なぜここで「流行度」を取り入れたかというと、流行っているアプリほど、ユーザーは課金しやすくなるという考え方に基づきます。

図:調査の意図

出典:CyberZ

図:グルーピング

出典:CyberZ

上記5つのグループごとでは、自然流入数や広告によるインストールの獲得効率(CPI)は全く異なります。例えば、「大衆型」と「低認知型」とでは、広告経由の獲得数でおよそ10倍ほど、自然流入数は30倍ほどの開きが出るという結果もあります。

図:獲得指標とグルーピングの関係

出典:CyberZ

この調査結果は、アプリマーケターが、局所的に広告経由のCPIやROASだけを見ていると、マーケティング全体の大切なところを見落としてしまうということを示唆しています。

広告が自然流入を食べる!?

― 調査結果を踏まえて、クライアントにどのような提案をしていますか?

例えば、現在「低認知型」に位置づけられるアプリについては、認知拡大が課題だとお伝えしています。より上のステージ(「低認知型」⇒「発展途上型」)に移行させる(ブランドリフト)提案をします。そのためには、いくらくらいのCPB(Cost Per Brandlift=1人あたりの態度変容単価)で、どのメディアでどのようなクリエイティブで展開するかというような話に落とし込んでいきます。

この調査結果があることでクライアントのポジショニングを明確にし、目指すべきゴールや数字が見えてくるので、ブランディングプロモーションが展開しやすくなります。また、認知指標がどのように獲得数や収益に影響していくのかも可視化することができます。

また、ラストクリックに重きを置く現状の効果測定の方法は、本来であれば自然流入であったはずのユーザーが、広告の成果になってしまうという事態を引き起こすケースもあります。我々は、これを「広告が自然流入を食べる。」と表現しています。これは、そういった事実を証明することは難しいところではありますが、現場の担当者は少なからず感じることでもあります。
もちろん、自然流入を食べてしまうことに予算を投下するよりも、自然流入を増やすことに予算を投下した方が健全です。

写真3

スマホアプリにとって、ターゲット認知率や流行度という指標は有益なブランドの資産として蓄積しやすいものであると考えています。つまり、ターゲットユーザーがそのアプリを認知しており、かつこのアプリが流行っていると認識していれば、そのユーザーはいつコンバージョンをしてもおかしくない状態というわけです。

また、一般的に、「大衆型」に持っていくのは相当の期間と投資額が求められます。そのため、我々は、クライアントには十分な自然流入を得られ、かつ広告においても十分に低価格なCPIで十分のユーザーを獲得できる「グロース型」のステージまで持って行っていただくことを目標としてご提案することが多いです。

2018年はCPBのPDCAも回す

― 媒体への落とし込みはどのような提案されることになるのでしょうか?

現在は主にFacebook、Twitter、YouTubeなどの動画広告の出稿と、ブランドリフト調査をセットにして提案しています。

― この結果を2018年にどのような取り組みにつなげていく予定ですか?

運用において、CPBを指標にしたPDCAをどれだけ効率的に回せるかを、全社として追求していく予定です。どのメディアで、どのクリエイティブでやるべきかについて、検証を続けてまいります。また、広告を見たことでどれだけ自然流入がリフトしたかを計測できる仕組みがメディア側でも提供され始めておりますので、直接の広告流入以外への影響値を確認しながら広告を運用していくなどの取り組みを行っていく予定です。

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SANSPO.COMが期待するレコメンドソリューション [インタビュー]

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産経デジタルが運営するSANSPO.COMの広告ビジネスの現状や今後取り組むべき課題と、同社が導入しているレコメンドエンジン「AJA Recommend Engine」の役割と期待値について、株式会社産経デジタル 営業本部 営業推進チーム次長の石川 晃浩氏、及び株式会社AJAマネージャーの時任 彦太氏と、稲木勇一氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

SANSPO.COMの広告ビジネス

― まず、石川さんと貴社の広告ビジネス部門の組織につてご紹介をお願いします。

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石川氏(産経デジタル) 私は現在産経デジタルの営業本部にいます。営業本部のうち、5名ほどの営業チームは純広告の販売をしています。私が所属する営業推進チームは8名で、ネットワーク広告と審査、媒体との橋渡しや広告商品の設計をしています。対象媒体は「産経ニュース」「SankeiBiz」「SANSPO.COM(サンスポ)」「zakzak」「iza」の主要5サイトや「iRONNA」とライフメディアチーム担当の「cyclist」「IGN(ゲームサイト)」「ZBAT!競馬」などすべてのサイトで、ライフメディアに関しては4名の営業担当者がそれぞれ純広告の販売を担当しています。

― SANSPO.COMのデジタル広告収入における純広告と運用型広告の比率についてお聞かせください。

石川氏(産経デジタル) 運用型広告が多いイメージです。運用型広告の比率は年々高まっています。

レコメンドエンジンの評価軸は回遊軸と収益軸

― レコメンドエンジンを導入した理由、当時の課題などを教えてください。

石川氏(産経デジタル) 最初にレコメンドエンジンを導入したのが「iza」です。ここは他社の大手レコメンドエンジンを導入しました。他のサイトに関してはコンペ形式で、実際にテスト導入をして決めました。「SankeiBiz」「SANSPO.COM(サンスポ)」「zakzak」のレコメンドエンジンを対象に4社に参加をお願いし、最もパフォーマンスが良かったAJAさんに導入を決めました。

稲木氏(AJA)  テスト時には、回遊軸、収益軸を中心にアクティベートしてみていただき、実際の効果数値を評価していただきました。
レコメンドロジックのうち重要な構成要素であるテキスト解析技術には、Amebaブログ内のテキスト解析で培った日本語に特化した解析技術が使用されており、精度の高いレコメンドが可能なため、効果数値を上げることができたと思っています。
また膨大なデータが蓄積されているAmebaを含めたサイバーエージェントDMPを活用することでより効果数値を上げることができました。
レコメンド精度を向上させるためには、解析技術×データ×メディア特性(カテゴリや掲載位置など)の要素を組み合わせてレコメンドを行うことが重要であると考えています。

― 回遊軸と収益軸とではどちらに評価の重きを置かれましたか?

石川氏(産経デジタル) どちらも大切なので、バランスを見ました。つまり、回遊率が極端に良かったとしても、収益が悪いのはどうなのか、反対に回遊率は悪いけれど収益が良い場合はどうなのか、というところで、総合的に決めました。比較対象の3媒体で回遊率と収益率の6パターンの順位でいえば、AJAさんが概ね上位でバランスが良く、結果導入を決めました。

稲木氏(AJA)  2016年9月にABテストをし、11月くらいまでご検討いただきました。その後、12月から正式に3媒体に「AJA Recommend Engine」を導入いただきました。
導入していただいた3媒体それぞれフォーマットや掲載位置やメディア特性などが異なるため、それぞれの媒体で最適化を行うことが効果実績を上げるうえで重要でした。

― 導入前後でどのようなイメージでしょうか。

石川氏(産経デジタル) 収益でいえば導入以前とは比べ物にならないほどよくなりました。回遊も目標値を毎月クリアできています。パフォーマンスは非常によいと思っています。
また、配信される広告の健全性が高いことも満足しています。

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稲木氏(AJA)   実績値だけでなく、昨今アドフラウド問題などブランドセーフティに関する問題があり、広告の健全性が問われているなか、AJAでは、グループ会社であるサイバーエージェントが運営する「Ameba」の高い基準での審査を媒体社様にご提案したり、メディアに掲載された広告クリエイティブを全件事後審査する機能「AJA GREEN」の審査を通過した健全な広告を出すことに取り組んでいます。

石川氏(産経デジタル) 収益と回遊以外でのAJAさんの特徴は、「AJA GREEN」による審査の強化にあるでしょう。これは媒体にとって非常に良い取り組みです。入ってくる案件には獲得系で掲載基準ギリギリの広告も多く、一線を越えてしまうものをしっかりと見ていただき、そして阻止していただいているのはよいですね。

― サイト運用において課題に感じることは何でしょうか。

石川氏(産経デジタル) AMPに関しての収益化はこれから重要になってくると思いますので、この最適化でしょうか。AMPから本サイトへの誘導に関してはレコメンドで流入が増えればと考えます。

稲木氏(AJA)  正式にAJAを導入いただく際に、通常記事ページだけでなく、AMPへも導入させていただきました。
AMPの収益化に関しては多くの媒体社様においても共通の課題となっており、メディア全体のグロース、収益化を行う上で重要な要素であると考えています。AMP自体の収益化だけではなく、AMPからいかに離脱させずに通常記事ページへ誘導できるか、レコメンドエンジンに対して求められる役割が増してきていると感じています。
AMPに来訪するユーザーの行動特性をさらに解析し、レコメンドに活かすことで、より精度の高いレコメンドを実現していく予定です。

UIを変えて広告収入増を目指す

― 産経デジタルが注目している施策などはありますか。

石川氏(産経デジタル) ヘッダービディングです。弊社もヘッダービディングを一部のサイトで挿入しましたが、今後どうなっていくのかを注目しています。
また、今は弊社サイトでの動画の取り組みはアウトストリームが中心ですが、インストリームのための動画コンテンツがあまりないことに課題を感じています。

― PMPが注目されていますが、産経デジタル内ではいかがでしょうか。

石川氏(産経デジタル)当社ではPMP導入が早かったため、2015年頃はとてもよかったですね。以前は優位性が高かったのですが、ビルボードやファーストレクタングルを取り扱うPMPが一般化し、また配信先メディアも増えたことにより在庫が増えたことで、希少性が薄まったのでしょう。
しかし一方で直近のPMPでは、新たにアウトストリーム動画広告が売上好調であり、そこには期待をしています。

時任氏(AJA)  当社でも昨年「AJA PMP」をリリースしましたので、今後導入いただき効果を上げていきたいと考えています。「AJA PMP」の特徴は、“メディア発”という点が強みだと考えています。ユーザーデータを豊富に持っていますし、メディアとして成長することと収益を上げることを両立する視点でやっているところも、他社にはない特徴だと思います。特に動画は注力ドメインです。

― 導入されたレコメンドエンジン含め、AJAに対して求めることはありますか?

石川氏(産経デジタル) AJAさんとは、「AJA Recommend Engine」 で引き続きメディアのグロースに一緒に取り組んでいただきたいです。加えて「AJA SSP」も導入して数か月経ち、これから収益が上がっていくと思うので、期待しています。また、今後さらにメディアの収益性を上げるために「AJA PMP」も導入していきたいと考えています。

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時任氏(AJA)   「AJA Recommend Engine」で効果を上げていくのはもちろんですが、産経デジタルさまがお持ちの課題やご要望を日々伺いながら、「AJA SSP」や「AJA PMP」など他のプロダクトも活用し、包括的にサポートさせていただきたいと考えています。
パートナーとして、健全性を担保しながらメディア様の収益性をより高める取り組みをし、メディアグロースに貢献していきたいと思います。

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セプテーニが語る動画マーケティングの最前線-第三回:「”動画広告=ブランディング”だけじゃない!ダイレクトレスポンスマーケティングにこそ、活用すべき動画広告」

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デザインやコピーはもちろん、尺の長さやエフェクト、カメラアングルなど、非常に要素が多く、勝ちパターンのマニュアル化が難しいとされる動画広告。
きちんとコンバージョン獲得に結びつける動画広告クリエイティブの生み出し方とは?

ダイレクトレスポンス動画の需要と役割

2020年に次世代携帯電話サービス「5G」の開始が迫る中、動画広告の需要と存在感が高まっています。
セプテーニにおいても現在制作物の半数以上が動画広告となっており、取扱高も年々増加しています。
「動画広告=ブランディング」とイメージする方も多いと思いますが、セプテーニでは、ダイレクトレスポンス目的の動画制作も数多く手掛けています。

ダイレクトレスポンス動画は文字やストックフォト素材で構成を組み立てることができ、比較的短期間での制作が可能です。そのためPDCAサイクルも早く回すことができます。
コンバージョン獲得という指標の中でPDCAを高速で回し、成果に繋げていくダイレクトレスポンス動画は、インターネット広告において重要な手法の1つとなっています。

第一回目第二回目のコラムでは、潜在層へのアプローチ手法やブランディング施策に関連する動画広告についてお送りしてきましたが、今回は「ダイレクトレスポンスを目的とした動画制作」に特化した内容を紹介していきたいと思います。

制作を進めるに当たって気をつけるべき3つのこと

①コミュニケーションプランニング

動画制作と聞くと少しハードルが高く感じるかもしれませんが、全体のデザインやコピーにおいては静止画制作と同様の考え方で進めていきます。
私がダイレクトレスポンス用の動画を制作する際に初めに行うことは静止画制作と同様で、コミュニケーションプランニングです。
商材の優位性や訴求したいターゲット像を理解した上で、適切なメッセージを、狙ったターゲットにどのように伝えるかを考えます。
そのために一番初めに行うことがターゲットの要素分解となります。

例えば、洗濯洗剤という商材におけるターゲットの要素分解をおこなう場合、男性か女性かという性別軸の他に、洗濯洗剤に対するユーザーのモチベーションまで掘り下げて考えます。普段から洗濯洗剤に拘る人向けなのか?(顕在層)、もしくは拘りがなく特売品を買う人向けなのか?(潜在層)
ユーザーのモチベーションによって、当てるべきメッセージは大きく異なります。

図1

出典; セプテーニ

上記は訴求メッセージの一例になりますが、コミュニケーションプランニングは広告クリエイティブの基本であり軸になる部分ですので、私はここに時間をかけるようにしています。
「何を」「誰に」「どのように」伝えるかが重要であり、配信物が静止画でも動画でも広告フォーマットは1つのアウトプットでしかないので、ぶれない軸を決めた上でデザインや動画の尺、エフェクトなどの細かい部分を詰めていきます。

②検証のための動画クリエイティブの要素分解

PDCAを回す上で必ず必要になってくるものが動画クリエイティブの要素分解です。
広告効果の高いクリエイティブも低いクリエイティブも要素を分解し、「何が良かったのか?何が悪かったのか?」を正しく理解しなければPDCAは回せません。

静止画では当たり前に行っていたことも、動画では変数が多く、「どうしたらいいのだろう?」と思う方も多いのではないでしょうか。

その場合、まずは要素をシンプルにしてみます。
私の場合、大きく「冒頭」「メイン」「締め(Call To Action)」で要素分解しています。
デザイントンマナ、エフェクト、尺など変数の多い広告フォーマットだからこそ、まずは大枠の要素を固める。その上で①で考えたコミュニケーションプランニングが正解だったかどうかを検証します。

図2

出典; セプテーニ

まずは上記のような粒度で大枠の要素についてPDCAを回していき、広告効果の高いクリエイティブを安定的に配信できるようにします。

コミュニケーションプランニングの適切な設定、そして「冒頭」「メイン」「締め(Call To Action)」の勝ち要素を発見することで、それに基づき効果の高いクリエイティブを数多く作ることができるようになります。
そうすると、インターネット広告を運用していく上で必ず壁となる、クリエイティブ素材が原因の「ユーザーの飽き」による効果減少を未然に防ぐことも可能となります。これにより、ユーザーを飽きさせることなく継続的かつ効果的に訴求していくことができます。

③メディア特性を踏まえたクリエイティブ制作

動画広告と一括りに言いますが、配信先となるメディアの特性によって、制作すべきクリエイティブは全く異なります。
テレビで見るのか、映画館で見るのか、デジタルサイネージで見るのか。
想像すると、見る場所や状況によって、情報の受け取り方が全く異なるのがわかるかと思います。広告も同じ考え方であり、音声を聞きながら見ることが前提のYouTubeと、音声を聞かずに見ることが多いFacebookやTwitterでは、同じ動画を見る場合でもユーザーの受け取り方が大きく変わってきます。
さらに言うと、FacebookやTwitter等のSNSメディアはユーザーがタイムラインをスクロールしていく仕様のため、そこで配信する動画クリエイティブには、より視認性が高く、気づきを与えるような要素も必要となります。

またフォーマットや音の有無に加えて気をつけるべきことは、ユーザーのモチベーションコントロールです。

昨今情報は取捨選択する時代になっています。
例えば、YouTubeを利用するユーザーは、能動的に特定の情報を得るためにアクセスするユーザーが多いですが、そこに広告色が強い動画広告が流れたらどうでしょう。ユーザーのモチベーションを下げてしまうのではないでしょうか。
目的の情報に辿りついたユーザーのモチベーション下げずに、興味を持ち、楽しめるような動画広告を作ることは、メディアの質を上げるだけでなく、広告効果にも影響を及ぼすと考えています。

ブランディングなのかダイレクトレスポンスなのか?

ここまで、ダイレクトレスポンスに関する動画制作についてお話してきましたが、いざ制作するとなると、その作りたい動画はブランディング目的なのかダイレクトレスポンス目的なのかがわからない、という悩みを多くの広告主からよく聞きます。

「動画広告だからこそ、多くの要素を見せたい。」「動画広告を通してサービスに対する様々な理解を得たい。」「そしてせっかくだから、スタイリッシュでかっこいい動画にしたい。」「でもきちんとコンバージョン獲得は担保したい。」
これらはどの広告主も持つ、共通の要望だと思います。

どういった方法をとるにしても、広告主が広告に対して一番何の効果を求めているのかを明確にし、その指標に対する広告効果の最大化が最終的な目的となるので、基本的には、メディア特性やターゲット層によってブランディング動画とダイレクトレスポンス動画はうまく使い分けるべきだと私は思います。

但し、ブランディング動画で獲得を最大化することができれば、これまでのインターネット広告の概念が変わるかもしれません。
これを実現するためには、ダイレクトレスポンス動画の勝ちクリエイティブを少しだけブランディング動画に歩み寄せることが有効なのではないかと考えています。

図3

出典; セプテーニ

上記にあげた洗濯洗剤を例でいうと、最も獲得に貢献したダイレクトレスポンス動画のメイン訴求「香りそのまま、洗浄力2倍(例)」と言う表現を、ブランディング動画用に撮影をして幅を広げるということです。
これまでダイレクトレスポンス動画として宣材写真や機能的なコピーだけで表現していたものを、演者を使い演出を追加、更に特殊効果を加えることで、ブランディング動画用としてより情緒的に表現することが可能になります。

また、「香りそのまま、洗浄力2倍(例)」と言うダイレクトレスポンス向けのコピーをより情緒的に、「あなたの毎日を2倍美しく(例)」と表現するだけで、同じ動画でも印象は大きく異なります。音声だけでなく、テロップを使用するなど、様々な方法で表現の幅を広げることも可能です。

ユーザーが豊かな気持ちになれる動画広告。
おもしろいと思って誰かに話したくなるような動画広告。
ダイレクトレスポンス動画で得た知見を使って、効果を担保したままユーザーの気持ちを動かすことができる。これが動画という、無限の見せ方ができる広告フォーマットの魅力であると思います。

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サプライサイドの課題解決に向けたPubMaticの取り組み [インタビュー]

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SPグローバル大手のPubMatic。同社カントリーマネージャーに2017年10月に就任したニコラス(ニック)・コバック氏に、同社の直近の取り組みや、サプライサイドでマーケットが取り組むべき課題や今後について聞いた。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

ラッパーソリューションの普及を支援

― PubMaticに参画されて約3カ月が過ぎました。これまでを振り返っていかがでしょうか?どのようなことに着手されましたか?

コバック氏 就任直後のATS Tokyoで発表したように、いまグローバルで話題になっているのは、ラッパーソリューションについてです。ラッパーソリューションはPrebid.jsに基づいており、これを使うことによって媒体の透明性を確保し、コントロールをすることが出来ます。

今回の就任にあたり、色々な媒体社を訪問しましたが、その際にもこのことを皆様にお話をさせていただきましたが、皆さまには高い関心を持っていただくことが出来たという感触を得ました。

― 媒体社と話をして、今どのような課題を持っていると感じましたか?

コバック氏 ヘッダービディングが普及していますが、媒体が導入するソリューションの選択肢が非常に増えています。今まではタグのものもありましたが、Prebid.jsに基づいたラッパーソリューションであるPubMaticのOpenWrapをはじめ、GoogleやAmazonのヘッダービディングソリューションなども媒体社の選択肢に入ってきています。媒体はどのソリューションを今後どのように選択するかを検討する必要があります。

従来のタグベースのソリューションは、複数のプレイヤーのタグをどうオペレートしていくかという考え方でした。ヘッダービディングでは、1つのソリューションが媒体社とつながり、そこに複数の業者が入り込むというのが基本です。複数の会社と契約するよりも、1社のテクノロジー、ラッパーを契約して複数のデマンドが入っていくという形になるはずです。ですが、媒体社によっては、例えばデバイス(デスクトップかモバイルか)ごとに、導入するソリューションを使い分けているケースも見られます。

業界の課題とPubMaticの取り組み

― 最近感じているサプライサイドの課題のついてお聞かせください。またその課題解決に当たり、PubMaticはどのような取り組みをされていますか?

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PubMaticでは今、「Let’s be clear」というキャンペーンを、日本を含むグローバルで展開しています。日本では今ビューアビリティの課題がちょうど話題になってきています。広告取引の透明性に関する話題はビューアビリティに続き、今まさに話題になり始めたというのが現場の印象です。透明性について気にされているのは、ブランド広告主です。ブランド広告案件を受注するためには透明性やクオリティーを高い水準で維持しなければなりません。ブランドのキャンペーンのためにはこのことが必要です。

しかし、日本のプログラマティック市場はまだリターゲティング広告プレイヤーが中心の市場であり、多くの在庫は透明性が高い水準にあるとは言えません。とは言え方向性としては透明性を高めるほうに進んでいると思います。ブランドのキャンペーンのために重要だからです。

また、もう一つ大きな業界の課題であるアドフラウドに関して。PubMaticはアドフラウドが判明した場合、バイサイドに対して補償、返金をすることにしています。米国ではPubuMaticがこのポリシーを発表して以降、それが業界のトレンドの一つになっています。

2018年の業界とPubMaticの取り組み

― 2018年のアドテク・プログラマティック業界はどのようになっていくでしょうか?

写真2

アドフラウドについて「返金する」といことは媒体に対していろいろな影響があります。アドフラウドがよく出ている媒体に関しては取り扱わないなどの決めごとをすることになりますから、これまであったポイントサイトなどのビジネスモデルが、シビアな状況になっており、2018年にはこのビジネスモデルの変化が課題となってくるのではないかと考えます。広告在庫はよりクリーンに、アドフラウドがなく、ビジビリティの高いものになって落ち着いてくると思います。また2018年は、GoogleのExchangeBiddingやAmazonの参入により業界は大きく変わってくるのではないでしょうか。

― 2018年のPubMaticの日本での取り組みについてお聞かせください。

コバック氏 1つ目は、「Let’s be clear 」キャンペーンの元、アドフラウドへの対策をして、よりきれいな広告在庫をどのように作っていくかについて、取り組んでまいります。これを普及させて当社のラッパーソリューションであるOpenWrapを使っていただけるように働きかけをして、透明性の高い管理とコントロールの提供を心がけます。

2つめはパートナーシップです。2018年は、より多くのプレミアム媒体とのリレーションシップを進めてまいります。これまでのお付き合いも大切にしながらバランスを取っていきたいと思っています。

また、動画広告に関しても、今後取り組んでいくテーマです。サーバーエージェントのAbema TVがトレンドになっていますし、2018年12月には4Kのテレビ配信が始まります。オリンピックを控えてテレビの買い替え需要も高まりますし。動画のトレンドも見ていかなければと考えています。

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先週のアドテクシーン:PubMatic、バイサイド向けの手数料無料化を発表

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届け。

【新サービス・新機能】

「GenieeDSP」、三井物産が提携する米Drawbridge社のクロスデバイスマッチング技術を導入

ジーニーの「GenieeDSP」は、日本では三井物産が提携している米Drawbridge社のクロスデバイスマッチング技術を導入し、PCとスマホアプリ間等を横断する同一ユーザーを推定し、広告配信を行う機能開発に着手した。
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出典:同社プレスリリース

Repro、デジタルガレージと協業し、ゲームアプリ向けにマーケティングの総合支援を開始

Reproは、デジタルガレージと協業し、ゲームアプリ事業者に対して顧客接点の最適化を実現するアプリマーケティングの総合支援を開始した。

アイモバイル、モバイルアプリ支援に特化したグロースハックツール 「LogBase」をリリース

アイモバイルは、株式会社pLuckyより譲受したリテンションマーケティングツール「LogPush/LogPOP」 の大幅な機能追加を行い、モバイルアプリの収益最大化支援サービス「LogBase」として2/15より販売を開始することを発表した。
図

出典:同社プレスリリース

GMOアドマーケティング、オウンドメディアやタイアップ記事などのコンテンツ集客に特化した「ReeMoリーモ byGMO」を提供開始

GMOアドマーケティングは、コンテンツマーケティング需要に対応するために、オウンドメディアやタイアップ記事などのコンテンツ集客に特化した「ReeMoリーモ byGMO」を提供開始した。

トライバルメディアハウス、Instagramからのファン発掘・関係構築・施策実行までを一貫して行う「Fan Discovery」サービスの提供を開始

トライバルメディアハウスは、企業が自分にあったインフルエンサーを探しやすくするため、Instagramからのファン発掘・関係構築・施策実行までを一貫して行う「Fan Discovery」サービスの提供を開始した。

PubMatic、バイサイド向けの手数料無料化を発表

PubMaticは、同社プラットフォーム上で行われた取引のバイサイド(ブランド企業、広告代理店、DSP)向けの手数料を無料化したことを公表した。

【調査】

ソウルドアウト、2018年予算を増やしたい「Web広告」の調査を実施

ソウルドアウトは、マーケティング・販促・広報の仕事をしている735名に対して2018年に予算を増やしたい「Web広告」の調査結果を公表。
最も人気があったのはInstagram広告であった。
図:BtoC企業が2018年に予算を増やしたいWeb広告

出典:同社プレスリリース

【サービス連携・業務提携】

マーベリック、GeoLogicと連携-自動車特化のO2O広告配信プラットフォームを構築-

マーベリックは、GeoLogicと提携することで、車検データを使用した、町丁目単位での位置情報広告配信がオンライン・オフラインで可能にし、自動車特化の広告プラットフォームを構築した。
図:CARTRACEとGeoLogic-Adでデータ連携をし、広告配信する際のイメージ図

出典:同社プレスリリース

DACとQUANT、コンテンツマーケティングにおける指標開発で業務提携

DACとQUANTは、新たなコンテンツマーケティング指標を開発するために業務提携を行い、コンテンツマーケティングを提供する媒体社のデジタル化、収益化を支援するサービスを開始する。

【資本提携・買収】

電通、マーケティング領域のAI開発に強みを持つ「データアーティスト社」を子会社化

電通は、これまでプロジェクトチーム「AI MIRAI」などを共同で行っていたマーケティング領域のAI開発に強みを持つ「データアーティスト社」を子会社化した。
AI人材獲得に向け、年内にモンゴル拠点設立する。

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