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ドラッグストアの店頭に革命を起こす「CROSS BRIDGE(クロスブリッジ)」 デジタルサイネージ広告の魅力と意義とは [インタビュー]

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動画広告代理店のCyberBullが、マイクロアドデジタルサイネージと連携し 店頭サイネージと連動した販促向け動画広告「CROSS BRIDGE(クロスブリッジ)」の提供開始をリリースした。リリースの内容やその背景と今後の展開についてお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

デジタルサイネージは店頭でのコミュニケーションにおける新しいかたち

― 自己紹介をお願いします。

工藤氏 (写真右) マイクロアドデジタルサイネージ(以下MADS)の営業企画部で事業責任者をしています。MicroAd BLADEのリリースの少し前に新卒入社し、3年間はサイバーエージェントのインターネット広告事業本部でMicroAd BLADEを販売していました。2013年にMADS社が立ち上がるタイミングで参画して今に至ります。

宮田氏 (写真左) CyberBullは2015年4月に設立された動画広告のインターネット専業代理店です。ネット上の動画による広告キャンペーンをどう工夫すれば広告主さまに上手に使っていただけるかという1点だけにフォーカスした特殊な広告代理店です。

私はそこで主に宣伝やマーケティングの支援を行い、クライアントさんに直接営業しています。2013年にサイバーエージェントに入社し、本部でインターネット広告のコンサルタルティングをしていましたが、CyberBullの立ち上げ後1か月くらいから出向して現在に至ります。

― 今回のリリース内容についてお聞かせください

写真2

宮田氏 ドラッグストアでシャンプーを買う時に指名買いをする人もいますが、マジョリティは店頭を訪れてからディスプレイやPOP、パッケージ、価格を見て決める人です。参考にするのは店頭の情報が大きいということが調査結果から明らかになっています。店頭にどのようなクリエイティブコミュニケーションを設置するのかは、広告主様が感覚で決めて設置してあとは「売れろ!」で終わりということが多いのです。これはまだまだ改善できるなと思いました。

私たちはインターネットの代理店なので、効果を良くするためにクリエイティブを運用します。たとえばAパターン、Bパターン、Cパターンの3パターン出稿します。「Aはよいけど、Cは全然だめ」など優劣の結果を見て、いちばんよかったものを店頭に反映します。これはMADSさんのデジタルサイネージシステム「MONOLITHS」を使えばできます。ここがうまく連動すれば店頭では常にネット上や世間でいい数字を残したクリエイティブが流れます。

― それぞれの役割分担についてお聞かせください

工藤氏 CyberBullさんが運用される動画広告の中で最適化されたクリエイティブをリアルタイムで放映できるデジタルサイネージシステム「MONOLITHS」を持っていますので、そのシステムの提供と配信先の拡大を行っています。今回のリリースでいえばドラッグストアがそれに当たります。

我々はデジタルサイネージをインターネット広告の一つとして捉えており、ターゲットに合わせて様々なデジタルサイネージをネットワーク化しています。

ドラッグストアでは現在100店舗が接続完了していますが、今後さらなる拡大を目指しています。

宮田氏 CROSS BRIDGEには「いいな」と思っている部分が2つあります。一つは「店頭のデジタルサイネージを用意できたこと」です。これはとてもハードルが高いことです。まず店頭にデジタルサイネージのモニターを設置せねばなりません。紙のPOPだと、結局手を動かすのはアルバイトスタッフなので、実際には設置されていない場合もあり、設置を徹底することが難しいのですが、デジタルサイネージの設置さえできればシステムでクリエイティブを流すだけですから、的確に設置できます。いまは100店舗ですが、これが500店舗、1,000店舗、あるいは数万の規模まで広がっていけばかなり広く店頭でのコミュニケーション設計が実現できます。

もうひとつは金額です。映像でコミュニケーションのクリエイティブを作ると1本1,000万くらいかかります。CyberBullでは一つのメッセージをいろいろな方法で配信するという「マルチクリエイティブ戦略」という考え方を大事にしており、それを実現するための体制あるので、300万円、500万円あればよいものを用意できます。この2つがセットになったのが今回の「CROSS BRIDGE」という商品です。

広告主はメーカーを想定

― リリースされた背景には、広告主のどのようなニーズがあるのでしょうか?

写真3

工藤氏 広告主様にも、ウェブの動画広告を最適化していきたい、あるいはデジタルサイネージでの広告展開を今より面白くしていきたいというニーズがありました。たまたまCyberbullさんとそのニーズについて議論する機会があり、WEBからリアルまで連動して最適化すればベストではないかというアイデアが出たのがそもそもの始まりです。

宮田氏 インターネットのプロモーションとリアルのプロモーションがまったく連動していないケースがたくさんありました。デジタルもマスもリアルも全部が連動して初めてマーケティング活動がうまくいくはずです。しかし実際にはうまくできていなかったので、連動させたいというニーズがあったのです。「MONOLITHS」というシステムがある、マルチクリエイティブを作る体制がある、広告運用をするノウハウがある、この3つをうまく抱き合せればデジタルとリアルが融合していくのではないかと私たちの中で見つけ出したイメージです。

― ターゲットとする広告主は、どのような企業でしょうか?

工藤氏 ターゲットはドラッグストアさんに商品を置いているメーカー様です。現在問い合わせもいただいていますし、前向きに考えていただけています。

宮田氏 500万円くらいでワンショットミニマムというイメージですが、500万円には根拠があります。M1層、F1層をターゲットとして日本全国で展開しているような商品があるとして、3,000万人くらいの人(購買者)がいるとします。その人数で500万円だと少なすぎます。ですから、まず首都圏だけに絞ってしまえばよいのです。そうすれば、ある程度プロモーションの対象人口が狭くなり、500万円の予算を投下すれば、広告の濃さがある程度担保できます。売り上げも正しくレポートできます。

工藤氏 レポートはかなり重要です。デジタルサイネージを置くドラッグストアの店舗、業態にもよりますが、今回の場合だと、POSデータのフィードバックができるので、それをもとに施策をやる前後でどのくらいPOSの数値が変動したのか、あるいは実施している店舗していない店舗での違いはどうかをレポーティングできます。店舗の入り口に42インチの音声付デジタルサイネージを設置して行い、だいたい1か月以上のスパンで放映することにしています。

宮田氏 このアプローチでミスすると認識されないで終わってしまいますので、YouTubeやFacebookでA、 B、Cそれぞれのパターンを流してもっともよいものをデジタルサイネージに展開していくイメージです。どのくらい視聴されているかで判断します。3日もあればウェブでの反応はわかるので、ほぼリアルタイムでできると思います。

クリエイティブは基本的に15秒が中心です。店頭は滞留する場所ではないので、なるべくアイキャッチが採れるもの、動画を再生した時に興味を引くものに依存してきます。ぱっと見てすぐわかるものを作ります。

― ユーザーターゲティングはしないのでしょうか?

工藤氏 屋外型ではないデジタルサイネージについては、あえて「人」でのターゲティングは考えていません。技術的にはカメラを使ってのターゲティングは可能です。しかし、その場所に10代の方と40代の方が来た時に、どちらを優先して広告を出すのかということが問題になり、対象外になったほうをロスしてしまう可能性があります。基本的には来る人全員に接触させます。
全員をターゲットにしている商品の場合は、全員に見せて「ついで買い」を起こさせます。

宮田氏 お店で流すクリエイティブに「こうすればよいですよ」という答えはありません。どちらかといえば取り組みとしては商品の認知やベネフィットを込めたコミュニケーションを作りますがそのまま流しはしません。店頭では15秒にしていますが、インターネット上では30秒、あるいは60秒のものを流すこともできますし、とにかくよく見てもらえるようなクリエイティブの運用をします。しかし、インターネット上で40秒のクリエイティブが好評だったとしても、店頭に反映させるときは15秒に作り直します。店頭を通り過ぎる一瞬をとらえるためには、むしろ5秒のほうがよいかもしれません。こうした工夫や検証は随時やっていきます。

デジタルを起点に、広告全体の最適化を目指す

― 今後の展開のイメージを教えてください。

工藤氏 「MONOLITHS」の拡大先として、小売り流通のネットワーク拡大を目指します。一方で、CROSSBRIDGEの取り組みはドラッグストア以外でも有効なのでネイルサロンや大学、屋外ビジョンなど様々な場所に広げていきたいですね。

写真4

宮田氏 現在のタッチポイントはインターネット広告を見て、店頭の数字に生かすという2点です。しかし、トレインチャンネルやTVCMなど全部の円に連動するのが理想です。インターネット専業代理店として、店頭のレスポンスをもとにインターネットの広告を最適化し、最終的にはテレビのクリエイティブなども、インターネットを基軸に全部最適化されていく世界を作っていきたいと考えています。

宮田氏 「エビングハウスの忘却曲線」というものがあります。ここから「人は忘れる」ということがわかります。

出典:記憶について―実験心理学への貢献 (1978年) - – 古書, 1978/6 望月 衛 (著),‎ ヘルマン・エビングハウス (著),‎ 宇津木 保 (翻訳)

1度見て知ったとしても、翌日7割くらいの人は忘れてしまい、買い物は店頭で見て行います。この二つが紐付けば確かに家やインターネットで接触する広告とセットでリアルと連動したコミュニケーションを行うことが可能になるといえます。このように、デジタルを起点とした広告全体の連動・最適化を進めていきたいと考えています。

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先週のアドテクシーン:LINE、動画広告プラットフォームのFIVEを買収・子会社化

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

プラットフォーム・ワンのDSP「MarketOne®」、「ads.txt」に応じた広告入札へ対応

DAC子会社のプラットフォーム・ワンのDSP「MarketOne®」は、 アドフラウド対策でIABが推奨する「ads.txt」に応じた広告入札へ対応を開始した。

グルーバーの「TRIVER」、無限スクロール形式のサイトコンテンツの読了状況計測に対応

オプト子会社のグルーバーの分析ソリューション「TRIVER」は、無限スクロール形式のサイトコンテンツの読了状況計測に対応した。
ネイティブ広告支援を強化する。
図

出典:同社プレスリリース

電通と電通デジタル、クリエーティブ観点で、マスとデジタル媒体向け動画広告の最適化を実現するサービス「BRAND LIFT CHECKER」の提供開始

電通と電通デジタルは、クリエーティブ観点でマスとデジタル媒体向け動画広告の最適化を実現するサービス「BRAND LIFT CHECKER」の提供を開始した。
これは9月に発表した「People Driven Marketing®」の一環として提供を行うという。

朝日広告社、位置情報データを基にした流通・小売企業向け「ON AIR Analytics for リテール」を発表

朝日広告社は、ブログウォッチャーと提携し、100以上のアプリから得られる国内最大級の位置情報データと折込チラシの配布エリアデータやテレビCMのメタデータなどを連携させた分析サービスを発表した。(PDFアイコンPDF)

Supershipの「Ad Generation」、アプリ向けネイティブ動画広告の提供を開始

Supershipの「Ad Generation」は、アプリ向けネイティブ動画広告の提供を開始した。
「AppLovin」、「AMoAd(AfiO)」のアドネットワークに加え、「ScaleOut DSP」や「LiftOff」など「Ad Ganeration」が対象となる。
図

出典:同社プレスリリース

サイバーエージェント、AIシミュレーションシステム「CAAI」を開発・提供

サイバーエージェントは、企業のインターネット広告全体の配信データを活用し全メディア横断でのコンバージョン最大化を実現するAIシミュレーションシステム「CAAI」を開発し、提供を開始した。
図

出典:同社プレスリリース

【資本提携・買収】

LINE、動画広告プラットフォームのFIVEを買収・子会社化

LINEは、広告配信事業の強化を目的として、スマートフォン向けの動画広告プラットフォームの開発・販売・運用を行うファイブ株式会社を買収し完全子会社化を発表した。

【サービス連携・業務提携】

ソネット・メディア・ネットワークスのDSP「Logicad」、コンテンツディスカバリープラットフォームの 最大手「Taboola」との接続を開始

ソネット・メディア・ネットワークスのDSP「Logicad」は、コンテンツディスカバリープラットフォームの「Taboola」との接続を開始した。
Taboolaは、グローバルパブリッシャーにおいて毎月10億以上の訪問者に360億以上のレコメンデーションを提供している。

アイモバイルの「maio」、イスラエルの「ironSource」と連携

アイモバイルの「maio」は、世界11カ国でモバイルアプリプラットフォームを展開するイスラエル 「ironSource」と国内企業として初の連携を開始した。(PDFアイコンPDF)
国別の設定変更や優先順位の高い広告が表示されなかった場合、次に優先順位の高い広告を掲載することができるようになる。

ファンコミュニケーションズの「nex8」、Twitterの「MoPub」と接続開始

ファンコミュニケーションズの「nex8」は、Twitter社のアドエクスチェンジ「MoPub」と接続を開始した。
「nex8」はダイナミッククリエイティブに強みを持つ。
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出典:同社プレスリリース

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デジタルマーケティング企業の東南アジア進出 AtoZ-第1回 : 進出すべきホットな国・地域を見極めるための観点その1「事業性」 |WireColumn

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マーケティングソフトウェアの開発などを手掛け、海外にも3拠点に展開しているエフ・コードの海外担当執行役員・島田裕一が執筆する本連載では、デジタルマーケティング企業が海外進出する際のポイントについて、東南アジア進出を中心に解説していきます。なお、本シリーズの見解は筆者の経験則に客観的なデータを交えて論じたものであり、不十分な点・異なる見解のご指摘など読者の皆様からいただければ幸いです。

初回となる今回は、進出先の国・地域を選ぶ際に重視すべき3軸についての概観、加えて1軸目の「事業性」についてご説明します。

なぜ海外進出するのか? 動機は明確に

近年、海外進出をするデジタルマーケティング企業は増加の傾向をみせています。筆者自身は2008年の前職でのタイ拠点開設を皮切りに、香港・シンガポール・台湾などの拠点展開を行い、エフ・コード社ではタイ・香港・インドネシア拠点をマネジメントしていますが、2008年当時と比べて海外で切磋琢磨できる同業者が増えたことをとても嬉しく思っています。

さらにそれらの企業の成功に触発され、海外進出を検討している企業の経営者から相談を受けることも多くなってきたため、一度自身の経験を明文化することが微力ながら手助けになるのではと思い、今回コラムを執筆する次第です。

まず海外進出の動機が起こる背景については、最近参加した勉強会で参考になるものがあったため共有します。これは日系企業ではなく新興国の企業における多国籍化に関連するものなのですが、UZABASE社チーフ・アジア・エコノミストの川端隆史氏は、事業の海外進出の背景を、プッシュ型・プル型それぞれに分け、以下のように分析しています。

・プッシュ要因

1)国内市場規模の限界
2)政府による支援策
3)国内景気の影響
4)コスト上昇の抑制

・プル要因

5)資源開拓型
6)進出先の国の投資環境の整備や改善

これは新興国企業に限らずあてはまると考えられます。海外進出を意思決定するなかで、自社のケースが上記の要因のうちどれに当てはまるのかを考慮することは重要でしょう。そもそも国内だけで充分な市場規模があり、景気もよく、商品ライフサイクルも充分余裕があり、納得のいく売上・利益が今後当面出せるのであれば、無理をして海外に進出する必要はなく、そのための貴重なリソースを国内に集中すればよいと考えます。そのため、まず重要なのは「そもそもなぜ海外に進出するのか」ということを経営者を含めた役員陣で明確にすることです。「経営者仲間が進出したから」「人件費が安そうだから」といった軽い動機で進出して成功している会社を見たことがありません。

そのステップを踏まえてもなお海外に進出することを決めたのであれば、最初に決定すべき重要事項として「どこの国/地域に進出するのか?」というものがあります。この選択において重要なのは「事業性」「市場規模」「客単価」の3軸だと私は考えています。

東南アジアで今ホットな国はどこ?

図:ASEAN主要国のデジタル広告費状況

(1ドル112円で換算)

出典:https://www.emarketer.com/public_media/docs/SEAsia_Final2.pdf (PDFアイコンPDF)
https://www.auncon.co.jp/corporate/2017/0317.html

業種・業態によって異なる部分も大きいのですが、今回はデジタルマーケティング企業としてホットな東南アジアの国を考えてみます。すると第一に挙げられるのはインドネシアでしょう。私が海外事業を担当するエフ・コードは先日インドネシアに拠点を設置したところであり、手前味噌の感もありますが、言い換えればそれだけの根拠があったのです。

まずはこのインドネシアを例にとって、先述の3軸に基づいた分析・評価をしてみましょう。なお、デジタルマーケティング関連事業といっても業態はさまざまですが、ここでは「デジタルマーケティング支援」の企業の場合について考えてみます。

①事業性

インドネシアでは、外資企業の進出に対して最低資本金の規制があります。その反面、教育水準の高まりや、高い失業率に伴う雇用確保の容易さは大きなメリットです。また、2億6千万以上の人口を抱えながら今も5パーセント以上の成長率を確保している市場の伸び具合は、特筆すべきポイントです。またインターネット普及率も50%を超え、1億3千万人以上というインターネット接続人口はASEAN最大で、アジアでも中国・インドに続き第3位です。
国民の大多数はムスリムのため、他の国と比べマネジメントに気をつける必要はあります。しかし元来穏やかな国民性の国であり、日本への印象も概して良いため、誠実に接すれば日本人にとって良い関係を築きやすい国と判断できます。

②市場規模

調査や論者によって数字の幅はあるものの、2016年でおおよそ430億円といわれているインドネシアのデジタルマーケティング市場規模は非常に魅力的で、米系調査会社イーマーケターによると、インドネシアのWeb広告市場は2019年までに世界第2位の速さで成長する見通しです。
ちなみに、タイは約380億円、マレーシアは約250億円と言われています。

③客単価

インドネシアではクライアントごとのマーケティング費用が比較的高くなっていると考えられ、大きなメリットといえます。これは、前述の通り、クライアントとなりうる範囲のキープレイヤーが他の国に比して少なく、寡占状態となっているためです。

他にも様々な要素を加味した上での判断ですが、大きなものとしては上記を勘案しました。

ここで、東南アジアの他の国にも目を向けてみましょう。1の事業性を満たし2の市場規模がある程度優れた国としては、タイ・ベトナム・フィリピンを挙げることができます。また、1の事業性と3の客単価を満たすのは、シンガポールやマレーシア。逆にミャンマー・ラオス・カンボジアといった国々に関しては、現状では1、2、3ともに満足な条件を見込めないため、時期尚早の感が強いと考えています。

これらはあくまで当社のケースと照らし合わせた分析なので、それぞれのデジタルマーケティング企業の経営陣がきっちりと調査をし、判断をすることが肝要です。

では、ここからはこの3軸についてより詳細に述べていきます。本記事ではまず1の「事業性」についてご説明します。

事業性判断について

図:事業性判断のチェックポイント

出典:エフ・コード

事業性判断には、さらに以下のような複数の観点があります。順に見ていきましょう。

①外資企業の進出のしやすさ

外資企業の進出のしやすさに最も大きな影響を与えるのは、法的な要因です。これは多岐にわたり、業種面での縛りもあれば金銭面の制約もあります。

業種面では「広告業は進出不可能だがソフトウェアはOK」であるとか、「現地で製造を行う場合と代理業のみの場合では必要とされるライセンスが異なる」といったケースがあります。国によって異なる非常に細かな規則が存在するため、現地で専門家ときっちり相談することは不可欠です。

金銭面に関しては、最低資本金が定められており、そのうち規定の割合が実際に入金されなければ事業開始できないような国もあります。また、その国で利益を上げたうえで外国に送金したい場合に、これに対して税金を徴収される場合がある点にも注意が必要です。

②日系企業の進出のしやすさ

東南アジアや中国など、各国の日本人や日系企業に対する国民感情は重要な要素です。ここに経済活動へのリスクが潜在する場合があるため、注意すべきでしょう。

東南アジアの場合は幸い、日本企業および日本人はおおむね好印象を持たれており、多くの国で問題はありません。ただし印象の良し悪しとは別に、たとえば「欧米企業と比べ、日系企業は低賃金かつ年功序列である」とか「報・連・相などの決まりが窮屈である」といったイメージを持たれている場合もあります。「悪い印象がない」=「いい印象である」とは限らないことを心に留めておきましょう。

なお、日本人の暮らしやすさ等を条件として挙げる向きも一部に見られますが、それは進出する側の日本人が適応のために努力すべき点であると私は考えています。実際、どの国であっても十分に適応は可能です。

事業のしやすさとして現地人材の英語力が挙げられるケースも多いのですが、根本的な認識に誤りがあると考えます。第一に、デジタルマーケティング業界の人間が雇用するような層のメンバーは高等教育を受けており、英語力に問題はありません。第二に、本来は進出する側が現地の言語を習得するのが筋なのです。現実問題としてやむを得ないとはいえ、英語によるコミュニケーションを前提とすること自体がそもそも怠慢なのだという自覚を忘れてはなりません。ましてや、日本語を話せる現地人材をあてにするような態度は論外であるといえます。

③現地における自社業界の成熟度合い

製品・サービスが日本では一般的だが現地では最先端すぎるため、せっかく海外に進出しても思うように売れない、というケースは多々あります。事情は業界によって異なり一般論を述べることは難しいのですが、私の所属するエフ・コードを例に挙げて考えてみます。

エフ・コードは「f-tra CTA」というWeb接客ツールを海外に提供しています。日本での業界における認知度はそれなりに高く、多くの企業が導入を進めており、実際に様々な事例も出てきています。その一方、東南アジアの国々ではまだまだWebにおける「接客」以前の「集客」が中心で、デジタルマーケティングにかける予算もブランディング寄りに偏っており、獲得系のためにはあまり割いていない傾向があります。すなわち、現状ではそのあとの「接客」「追客」への意識が高くない点で、日本市場とはギャップがあるのです。

こうした条件について検討を行った結果、インドネシアへの進出を決定しました。この根拠としては、東南アジアの中でインドネシアは比較的ECやトラベル系が強い、すなわち獲得系の割合が高いという事実がありました。当社は元々ブランディングよりもパフォーマンス(コンバージョン獲得)を重視した顧客が多く、特にECとトラベル業界の顧客が多いのですが、インドネシアではベンチャーキャピタルが特にこの2業界に対し投資をしており、それぞれの業界のトッププレイヤーが膨大な広告費をかけてシェアを獲得しようとしているため、商材特性に合致していると判断しました。

それぞれのサービスにおいて、事業を展開するために必要なマーケットの状況は異なります。単に「進出をしやすい」「市場が大きい」といった要素だけでなく、自社の商品が受け入れられやすいベースができているかを見定めることが重要なのです。ベビー用紙おむつが売れ始めるとされる「1人あたりGDPが3,000ドル」という基準値はよく知られていますが、このような分析はまさに好例といえるでしょう。

特にデジタルマーケティング分野における東南アジア進出には前例が少ないため、社長自身が現地に飛んで現地で事業をしているマーケターの方々とざっくばらんに話をしたり、トライアルとしてテストをしてもらうなど、積極的に市場性を判断することが大切です。

④雇用確保の容易さ

海外事業を推進するうえで、現地に精通した優秀な人材の確保は必須です。担当者がいかに優秀な人物であったとしても、日本人がひとり現地で行うことには限界があります。現地には現地のルールがあり、その固有ネットワークに入っていない者には情報が何も入ってこないという状況も多々あるためです。そのため、現地のネットワークを多く持っている優秀な人材を自社が望む条件で容易に確保できるかどうか、という点は事業活動において確実に必要な要素だといえるのです。

ここで行うべきは(事業の成熟度にも関連するのですが)、市場の成熟度と歴史を検討し、その市場にフィットした人材がどれだけ生み出されているのかを考えることです。加えて失業率が高いか低いか、つまり雇用の流動性の度合いについて注意しましょう。ここから雇用の難易度が見えてきます。すると、雇用の流動性や人材の数によって一人あたりの給料の額も決まるため、自社の事業戦略の中で割くべき人件費は定まっていきます。

国別に例を挙げてみましょう。東南アジア上位の国々では、デジタルマーケティング業界が生まれてからある程度の年数が経過しているため、一定数の人材は存在します。ただし、特にインドネシアでは他国に比べて需要が供給を上回っているため、他の国よりも人件費が高くなる傾向にあります。前述した失業率の高さから、総務などのバックオフィス人材は容易に雇用可能ですが、デジタルマーケティングの特定技能を持った人材は希少です。逆にタイでは、ある程度の経験者が一定数存在するため人件費は高くないのですが、個々のレベルに大きなばらつきがある点に注意すべきでしょう。また、ベトナムにはエンジニア寄りの人材が多いという特徴があります。この背景には、オフショア開発の拠点としてベトナム政府が人材育成に力を入れてきたという事実があります。

⑤現地独特の宗教・文化・慣習

法律のほかに、現地と日本との宗教や慣習などの相違によってアンマッチが起こる場合もあるため、基本的な知識は備えておき、必要に応じて判断の際に考慮しましょう。

少し極端な例えとなりますが、たとえば「豚肉料理の店」が海外進出する場合に当てはめてみましょう。あるイスラム教国の「飲食市場」が500兆円規模だとしても、「飲食のうち豚肉料理の市場」が100億円規模では、前者の数字は意味をなしません。このギャップはもちろん、イスラム教の戒律で豚肉食が禁じられていること、つまり現地独特の事情により発生しています。これと同様に、「デジタルマーケティング市場」と見るのか、さらに細かく「デジタルマーケティングの中の成果改善市場」と見るのかで結果が全く異なる場合がありますので、大枠の市場規模だけではなく、自社の商材に完全にマッチした市場がどれだけなのかをきっちり調査する必要があります。
なお、市場規模については次回記事でさらに詳しくご説明します。

インドネシアでは、ラマダン(イスラム教の断食)の時期1か月は生産性が落ちるとか、タイでは「ソンクラーン」という水かけ祭りの時期の前後は仕事へのモチベーションが落ちる、といった例が現実にあります。このようなローカルな事情についても、知っておいて損はありません。

以上が1軸目の「事業性」を構成する要素です。次回の記事では、2軸目の「市場規模」について引き続き詳しくご説明します。

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先週のグローバルアドテクシーン:電通、インドネシアの大手デジタルパフォーマンスマーケティング会社「バリュークリック社」を買収

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、主に先週に起きたグローバル市場のトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

Swrve、ストリーミングビデオおよびOTT TVプラットフォームをサポートするサービスを拡張

Swrveは、Apple TV、Roku、AndroidなどのDigital Media Streamingプラットフォームをサポートするプラットフォームを拡張しストリーミングビデオプロバイダーなどの収益機会を拡大させた。

電通、インドネシアの大手デジタルパフォーマンスマーケティング会社「バリュークリック社」を買収

電通は、インドネシアの大手デジタルパフォーマンスマーケティング会社「バリュークリック社」を買収し海外本社の子会社化を発表した。
バリュークリック社は2012年に創業され社員数は55名ほど。

Amobee、ブランドセーフティー強化と払い戻し対応を開始

バイイングプラットフォームのAmobeeは、ブランドセーフティー強化とOpenXなどのSSPやアドエクスチェンジと連携して払い戻し対応を開始した。

Blis、消費者のリアル行動データ分析ツール「Smart Trends」を提供開始

位置情報データのパイオニアであるBlisは、消費者のリアル行動データ分析ツール「Smart Trends」を提供開始した。
モバイルの位置データとオフラインの購買データを掛け合わせて消費者のリアル行動の分析を目指す。

dataxu、オラクルと提携しAIによる最適化サービス「Open AI for Ads」をリリース

dataxuは、TouchPoint™ DSP にオラクルの「 Oracle Data Cloud」と提携したAIによる最適化サービス「Open AI for Ads」をリリースした。

PubMatic、White Opsと提携してボット対策を強化

PubMaticは、White Opsと提携してモバイルや動画広告におけるボット対策を強化し、高いレベルでの透明性の担保を目指すことを発表した。

ベクトル、マイクロアドの韓国法人を子会社化

ベクトルは、マイクロアドの韓国における子会社でオンライン広告サービスを手がけるMicroAd Koreaを買収し子会社化した。

Verve、The Trade Deskと提携

ロケーションデータプロバイダーのVerveは、The Trade Deskと提携し、同社のデータを元にしたセグメントに対しての広告配信が可能となった。

Time傘下のViant、IRIと提携

Time傘下で人ベースターゲティングソリューションを提供するViantは、小売向けマーケティングサービスのIRIと提携し、小売向けのターゲティング精度の向上を発表した。

Nexstar Media Group、動画広告プラットフォームの LKQD Technologiesを9,000万ドルで買収

テレビ局ネットワークなど持つ米国メディアグループのNexstar Media Groupは、2014年に設立された独立系の動画広告プラットフォームの LKQD Technologiesを9,000万ドルで買収した。

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ブランド企業は100%のビューアビリティを目指すべきか

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(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

ビューアビリティの目標値についてブランド企業に尋ねると、多くの場合100%という回答が返ってくる。ビューアビリティはエンゲージメントの前提で、閲覧されることがなければエンゲージメントに至ることは無いため、これは理解できる目標値である。

プレミアムパブリッシャーの中には、既に100%の視認性のサービスを提供している事業者もあり、IPAのディレクターであるPaul Bainsfair氏はFacebookやGoogleに対して広告配信の視認性が100%確保されるよう努力するよう投げかけている。

しかしながらブランド企業にとって100%のビューアビリティを目指すことは最適なことなのだろうか?The Exchange Lab社のCMOであるNikki Hawke氏はExchangeWireに、100%のビューアビリティという究極的なゴールを目指す前にブランド企業が行うべきことについて説明してくれた。

ビューアビリティの基準にはばらつきがある

ビューアビリティに関する様々な議論にもかかわらず、ビューアビリティが実際に意味するものについて、業界全体のコンセンサスはまだ明確ではありません。 ビューアビリティに関する標準化は通常、視野範囲のピクセルの割合と視界の時間の2つの部分で構成されますが、視認可能なインプレッションの定義は大きく異なります。

例えばFacebookは視認可能なインプレッションを1秒間に50%表示すると考えています。 Twitterはそれが100%であるべきだと述べています。 IABには、広告ユニットのサイズに応じて50%または30%のいずれかであることが記載されています。

動画広告におけるビューアビリティの定義も同様に曖昧です。 特定の標準では、動画広告を2秒間表示する必要がありますが、他の広告では動画の半分を閲覧する必要があります。 動画広告の標準がないことから、ユーザを「閲覧済み」とみなすためには、ユーザは15〜20秒間広告を視聴する必要があります。 動画開始の方法についても、ユーザが自ら動画をスタートさせたのか、自動的にスタートされたのか、音声についてはどうだったのか、などの要素が考慮される必要があります。

FacebookのIan Edwards氏は、全てに適応できる標準を目指すのは非効率だと考えています。ブランド企業はビューアビリティのための標準値の選択肢が与えられることで、自社に適当な選択ができるべきだと主張しています。Edwards氏は、動画の再生時間が短い場合、インプレッションが安いダイレクトレスポンス広告主にとっては効果的ですが、長時間視聴するとプレミアムブランドには不十分であると考えています。

ビューアビリティを100%保証するインベントリへの投資を行う前に、ブランド企業はその数値の背景を理解する必要があります。 パブリッシャーのビューアビリティの定義があなたの考えるものと一致しない場合、あなたの考える視認性を100%満たすことのない広告に対して支払いを行うことになります。一方エージェンシー側においては、ブランド企業が求める測定方法に沿った形で対応するところもありますが、全てのエージェンシーがそのような対応を行うわけではありません。特に複数のブランド企業を担当し、それぞれのブランド企業が異なる標準値を求める場合には、全てのキャンペーンで対応するのは頭痛のタネとなります。

ビューアビリティはユーザエクスピリエンスに影響

理論上は100%のビューアビリティは素敵なアイデアのように聞こえるのですが、消費者はそのために利用される変化を常に歓迎するとは限りません。 Nielsen Norman Group社の調査に示されているように、最も視認性の高い広告フォーマットは非常に迷惑であったり、邪魔に感じられることが多いのです。 この調査では、デスクトップ上に最も嫌われている3つの広告フォーマットは、本来閲覧したいコンテンツにアクセスするために閉じなければなりないようなモーダル型の広告やポップアップ、自動再生型のビデオ広告と、ページ閲覧中にスタートし画面を支配するようなコンテンツ広告が挙げられます。

上記の3つの広告フォーマットはすべてビューアビリティが高く、これらの手法を使用することでビューアビリティに関するスコアが向上しますが、消費者体験の向上、ブランドイメージの向上、顧客ロイヤルティの向上につながるでしょうか。 恐らくそうではありません。 キャンペーンがユーザ体験を損ねるものである場合エンゲージメントには寄与しません。 反対にブランドの評判が損なわれ、アドブロックの増加につながる可能性があります。 消費者の視線の先に手を伸ばすことは、キャンペーンでは最も重要な目標の1つですが、クリエイティビティは非常に重要です。

クリエイティブが全て

結局のところ、ビューアビリティは、消費者が広告を見る機会を提供するための指標にすぎず、エンゲージメントを保証するものではありません。 視認可能な広告にブランド企業がどれくらい費やしているかは問題ではありません。広告が創造性をかきたてるものでなければ、期待するビジネス成果を上げることはできません。 同様に、視聴可能な広告であっても、商品に関心のない人や、関係のない環境に配信したり、ユーザがエンゲージメントを行えないようなタイミングで配信されるものは成果が得られません。

ブランド企業が消費者の注意を集めて効果を生むためにはビューアビリティ標準ではなく、クリエイティブの向上や、データ重視のオーディエンスターゲティング、コンテキストの適正化などに努める必要があります。成功する広告はキャンペーン実行前に、消費者の心を惹きつけることです。広告主は、大量の貴重な顧客データにアクセスすることができ、貴重な顧客データを活用し、クリエイティブをより適正に、ターゲットを狙った形でより賢明に配信するべきなのです。データ重視のクリエイティブとプログラマティックを組み合わせることで、広告主がクリエイティブを試験的に運用しながらリアルタイムで最適化できるようになります。これは、効果的で魅力的な広告を提供するための完璧な組み合わせです。

ビューアビリティの価値とティッピングポイント

「お金に見合う成果」とは、広告業界全体に適用される格言です。可能な限り低いCPMを達成するためにプログラマティックを利用する広告主は必然的に視認性が低くなります。 しかしながら、必ずしも100%の視認性のために大きな投資を行うことが最良の結果を生むというわけではありません。 視認性が保証されているパブリッシャーは高いプレミアムを獲得でき、視認性が高いほどコンバージョンが増加しますが、投資に見合った結果が得られる保証はありません。

ブランド企業はビューアビリティとパフォーマンスのバランスを考慮し、ビューアビリティが向上してもROIが向上しない閾値について理解する必要があります。 ビューアビリティの価値は主観的なものであり、キャンペーンの目標に応じて異なるため、パフォーマンスマーケティングやダイレクトレスポンスキャンペーンでは、この閾値はブランドマーケティングよりもはるかに低くなり得ます。 広告主は100%のビューアビリティ達成を徹底的に追い求めるよりも、自社の広告をベンチマークし、どのようなビューアビリティに関するターゲットが各キャンペーンで機能するかを判断する必要があります。

ビューアビリティが重要な指標であることを否定する人はいません。これは、 基本的な指標でこそあれ、広告キャンペーンの最大の目的ではありません。 ブランド企業は100%のビューアビリティを絶えず追求するのではなく、本来のキャンペーン目標達成のために機能するような基準値を求める必要があります。 本来の目的は、素晴らしいクリティティブを、ユーザ体験を損ねない形で、ターゲットに対して適切な瞬間に配信することです。消費者に対してそれらを実現できて初めて、実際のビジネス成果を生むことができるのではないでしょうか。

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デジタルプロモーション最前線!運用型広告で効果の最大化を目指す―第三回:今さら聞けない、アプリプロモーションを始める前に知っておきたいこと |WireColumn

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インターネット広告代理店のオプトが執筆する本連載では、運用型広告を活用する上で外せないメディアをピックアップし、活用のポイントを3回にわたり解説していきます。最終回の今回は、いまや200万個以上もの数が溢れていると言われる「アプリ」のプロモーションの基本についてです。

1.アプリプロモーションの現在

スマートフォンの普及に伴うユーザーのモバイルシフトが本格的に進む中で、広告もまた例外ではなく、2016年のインターネット広告費1兆378億円のうち、スマートフォン広告費は6,476億円と6割を超え、前年比で130%と高い成長を遂げています*1。

スマートフォン広告費の成長の中心ともいえるのが、アプリプロモーション。いまやインターネット上の様々な場所で、ゲームやフリマ、キュレーションメディアなど、アプリを宣伝するための広告を見かけるようになりました。アプリプロモーションが、国内で本格的に始まったのは、2012年から2013年にかけて。Webブラウザとは効果計測の方法が違うスマートフォンアプリ向けの広告効果測定SDK*2が登場したことで、アプリのプロモーションが活発化し、2011年に249億円だったスマートフォン広告費の成長を牽引、2012年に856億円、2013年に1,166億円と拡大しました*3。

2.アプリプロモーションの目的の変化

アプリプロモーションが活発化した当初は、広告配信が可能なメディアが今よりも少なく、また細かい広告運用を行うツールも整っていなかったこともあり、インストール数を効率的に増やすことを目的としたプロモーションが一般的でした。しかし、この4~5年の間でアプリの数は200万個を超え、同時に広告配信が可能なメディアも増え、アプリのデータプラットフォームツールも整備されました。

【図1】

いまや、インストール数だけではなく、アプリのKGI達成に向け、より使ってくれるユーザー、より課金してくれるユーザーを分析し、そのユーザーを狙ったプロモーションが必要になっています。

3.アプリプロモーション効果計測ツールの変化とデータ活用

継続率や課金量、申し込み数などのコンバージョンを重視したプロモーションを行うためには、効果測定を正しく行う必要があります。アプリプロモーションにおいては、広告効果測定SDKを導入することで計測を可能とします。

このSDKにも、アプリ市場変遷の過程でトレンドが変わってきています。初期のインストール数重視型プロモーションの場合、流入元別に効果測定ができていれば問題なかったため、コスト面や運用者の使い勝手、サポート体制面などから、国内製のSDKが利用されるケースがほとんどでした。しかし、国内製のSDKは、特定の広告代理店が開発・提供している点から、プロモーションの柔軟性が失われやすいという問題もありました。しかし近年、海外製SDKがローカライズされ、日本へのサポートも充実してきており、SDKの選択肢が広がっています。

プロモーション目的の複雑化と、SDKの選択肢の拡大によって、それぞれのSDKが持つ機能を踏まえた選定や導入・測定に向けたコンサルテーションが必要となってきました。上記の環境変化に加えて、アプリの測定が難しいとされる要因の一つに、アプリストアの存在があります。Webと異なり、プログラムの書き換えの都度アプリストアへの申請が必要となるアプリは、効果測定手法を切り替えるたびに工数や費用がかかることとなり容易ではありません。そのため、効果測定SDKを導入するもっと前、アプリの開発段階からプロモーションのターゲットやKPIなどを見据えたSDKの選定、効果測定地点の設計が重要となります。

SDKの選定が重要な一例として、広告ID*4の取扱いや蓄積方法が異なる点が挙げられます。広告IDは、ユーザーのアプリインストール時に収集され、ユーザー分析に活用するもので、インストール済みユーザーの除外や、休眠ユーザーの呼び戻しを目的としたリエンゲージメント広告配信施策を可能とします。広告IDをデータとして取り出すための方法はSDKによって異なり、サービス提供会社に問い合わせが必要なものもあれば、管理画面から自由に取り出せるもの、自社でサーバーを立てて蓄積しカスタマイズができるものなど運用方法は様々です。こうした背景から、オプトでは、広告IDの蓄積、分析、活用に自社開発の「Spin App」*5を活用し、SDKの導入から初期設定までを専門チームでコンサルティングしています。

【図2】

SpinApp全体像

「Spin App」を活用することで、アプリ内行動データの収集と分析が一元管理でき、プロモーションの打ち手を増やすことができます。例えば、短期間で複数回アプリを起動しているユーザーの広告IDを取得し、FacebookやTwitter、Yahoo!などで類似ユーザーに対する拡張配信を行うことが可能です。この方法は、継続率の高いユーザーへアプローチできるため、通常のインストール類似配信に比べて、同程度のインストール単価でありながら、継続率が110~120%高いユーザーを獲得できたという実績も出ています。

【図3】

SpinAppを活用したターゲティング

4.メディアプランニングの変化

プロモーションKPIとしてインストール数が最も重視されていた頃は、アドネットワーク広告とリワード広告が一般的でしたが、SDKとメディアとの連携が進み、十分な効果測定が出来るようになったことで、配信メディアも変化してきています。

リワード広告は、低単価で大量のインストールが獲得できる反面、継続率や課金量などの質の点での課題もあります。現在では、アドネットワークやソーシャルメディア、Googleなど、幅広い広告メニューを実施し、メニューごとの効果を分析、最適化していくメディアプランニングが一般的となっています。特にFacebookやTwitterといったソーシャルメディアについてはスマートデバイスとの親和性が高いため、効果測定SDKとの連携が進んでおり、インストールや起動、課金などのデータを用いた類似拡張配信やリエンゲージメント施策が盛んに行われています。

Webプロモーションでもシェア率の高さを誇るGoogleでは、検索連動型広告やGDN、YouTubeといった従来の広告メニュー別配信から、機械学習による配信最適化を行うUniversal App Campaign*6へ統合していくことを発表しており、メディアプランニングを行う上での大きな変化となっています。

このようにテクノロジーの変化やプロモーション目的の多様化に伴い、アプリプロモーションも進化を続けています。その進化を的確に捉え、プロモーションの戦略設計からデータ収集~分析~活用を行えるかどうかが重要となっています。

5.アプリプロモーションのこれから

これからのアプリプロモーションではインストール数だけをKPIにするのではなく、SDKを導入し、アプリのKGI・KPIをきちんと可視化し、目的に合わせたプロモーションを行うことが必要です。

いまやロイヤルユーザーとのコミュニケーションに最も有効といわれるアプリプロモーション。Webサイトを主要チャネルとしてきた企業でも、アプリの活用やプロモーションが活発化しており、これまでにWebサイトで蓄積したノウハウをアプリに転用しながら、アプリとWebとを一気通貫させたプロモーション戦略を組んでいかなければならない時代となっています。変化を続けるアプリ市場で勝ち残っていくには、データを活用したプロモーションに対応していくことが重要であり、そういった観点で社内体制やパートナー選定を行っていく必要があると考えています。

※1…CCI・D2C「2016年 インターネット広告市場規模推計調査」http://www.cci.co.jp/news/release/2017_04_17/1.html

※2…SDKとは、Software Development Kitの略称で、ソフトフェア・アプリケーションを作成するための開発ツール全般を指します。本記事では、広告効果を測定するために利用するSDKを指します。国内におけるSDKは、2012年に株式会社CyberZが「F.O.X」、2013年に株式会社アドウェイズが「PartyTrack」を提供開始。

※3…スマートフォン広告市場動向調査を実施、2017年までの想定推移・広告商品別広告費など発表。https://cyber-z.co.jp/news/research/2013/0315_520.html

※4…広告IDとは、WebにおけるCookieに近いもので、デバイスごとに設定をされた匿名かつ変更可能な広告配信識別IDであり、iOSではIDFA、AndroidではAAIDと名称が異なるため、合わせて広告IDと呼んでいます。

※5…Spin Appとは、高速で進化/高度化するアプリプロモーションの効果最大化を実現するアプリデータマネジメントツールです。アプリデータの取得、管理、分析、施策活用まで一元管理が可能。https://spin-app.jp/

※6…Universal App Campaignとは、アプリストア内の登録情報や、いくつかの広告クリエイティブと目標のインストール(イベント)単価、過去の配信実績などに合わせて、Googleの全ネットワークを対象に、機械学習を活用して自動で最適な配信を行う、アプリインストール広告のキャンペーン。

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先週のアドテクシーン: 電通グループ、Kaizen Platformと資本業務提携

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

博報堂DYグループとシナラシステムズジャパン、 生活者のオフライン行動データを活用したサービスの提供を開始

博報堂DYメディアパートナーズ/博報堂DYデジタル/シナラシステムズジャパンは、オフライン行動データを活用した高精度な広告配信及び来店者分析・来店効果計測ソリューション「ACTAG™」の提供を開始した。

電通と日本マイクロソフト、「人工知能型OOH広告」の提供を開始

電通と日本マイクロソフトは、「リアルタイムオーディエンス分析・効果測定」と「視線検知によるインタラクティブ機能の実装」を実現した日本初となる人工知能型のOOH広告ソリューションの提供を開始した。

楽天データマーケティング、企業のブランドサイトを「楽天市場」に設置可能な「RMP-Brand Gateway」を開始

楽天データマーケティングは、企業のブランドサイトを「楽天市場」に設置可能な「RMP-Brand Gateway」を提供開始した。
第1弾にマテル・インターナショナルが採用し、今後も約15ブランドが新たにサイトを開設予定とのこと。

マイクロアド、ビッグデータとAIを活用した 「UNIVERSE フルファネルマネジメント Version1.0」をリリース

マイクロアドは、企業のマーケティング基盤構築サービス 「UNIVERSE」において、ビッグデータとAIを活用した 「UNIVERSE フルファネルマネジメント Version1.0」をリリースした。
多様なデータからユーザー毎のオンラインKPIの到達可能性をAIによってスコアリングし、広告配信を最適化できるようになる。
図:UNIVERSE FFM Version1.0 ユーザーインターフェース

出典:同社プレスリリース

CCI、三井物産が提携する米Drawbridgeのクロスデバイスソリューションを採用

CCIは、三井物産が提携する米国発のDrawbridgeのクロスデバイスソリューションを採用し、複数デバイス間を横断するマーケティングデータ提供サービスを開始した。
図

出典:同社プレスリリース

プラットフォーム・ワン、メディア運営社向けに「Ad Verification Reporting Service」の提供を開始

DAC子会社のプラットフォーム・ワンは、バイヤーから媒体社の広告枠、広告在庫が Ad Verification の視点でどう評価されるか、を示したレポート「「Ad Verification Reporting Service」」の提供を開始した。(PDFアイコンPDF)
図

出典:同社プレスリリース

読売新聞、コンテンツマーケティング事業「YOMIURI BRAND STUDIO」を設立

読売新聞東京本社は、ワン・トゥー・テン・デザイン、エートゥジェイ、グルーバー、ナディアの4社と共同で企業のコンテンツマーケティングを支援する「YOMIURI BRAND STUDIO」を”設立した。(PDFアイコンPDF)
図

出典:同社プレスリリース

【サービス連携・業務提携】

EVERRISEの「アドレポ」、ASP一元管理システム「AdCent」と連携開始

EVERRISEの「アドレポ」は、a-worksのASP一元管理システム「AdCent」と連携開始した。
アフィリエイト広告データの統合が可能になった。
図

出典:同社プレスリリース

【業務提携・資本提携】

電通グループ、Kaizen Platformと資本業務提携

電通と電通デジタルは、Kaizen PlatformとUI改善分野で業務提携をするとともに電通イノベーションパートナーズが運用する「電通デジタル投資事業有限責任組合」(電通デジタル・ファンド)を通じて、Kaizen Platformに出資を発表した。

【資金調達・上場】

グノシー、東証一部上場へ

グノシーは、 12月21日をもって、株式の上場市場を東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所市場第一部へ市場変更することを発表した。(PDFアイコンPDF)

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広告主とメディア、コミュニケーションのあり方とデジタル広告取引の今後 [インタビュー]

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テクノロジーの普及とともに、広告主と媒体社との関係性が従来と変わってきているといわれている。

複数の業態の事業者が介在することで、双方のコミュニケーションがとりにくくなっているという話も聞かれる一方で、広告会社などを介在しないで広告主とメディアとが直接、取引をできるようなサービス思想のプロダクトも増えつつある。

広告主とメディア、そして広告代理店と、それぞれの立ち位置で業界をリードする実務責任者である、ソフトバンク株式会社コミュニケーション本部デジタルメディア統括部統括部長の藤平大輔氏、株式会社オールアバウト執行役員メディア本部長の箕作聡氏、株式会社エスワンオーインタラクティブ代表取締役の高瀬大輔氏による対談を通し、変革の中でどのようなコミュニケーションを求められているのか、それぞれ求められる役割について探ってみた。


注:記事中における対談者のコメントにおける、広告主・広告代理店・アドテクベンダー・媒体社などの敬称を略する

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

― まずは皆様の広告取引における立ち位置と、商流について聞かせてください。

藤平氏 (写真中央): 広告主の立ち位置で、ソフトバンクにおけるデジタル広告出稿の責任者を務めています。商流としては、媒体社とやりとりする際に広告代理店を通して購入させていただいているものが大半です。ただたまに、キャンペーン的なものなどは媒体社から直接お声がけいただき、ご一緒させていただくこともあります。

箕作氏 (写真左): コンテンツを作るところから広告出稿まで、オールアバウト全体を管轄しています。私たちは媒体社ですので、広告代理店を通すものもあれば直接広告主からもあります。あとはプログラマティックですね。その3つが、広告出稿における事業取引のパターンです。

高瀬氏 (写真右): エスワンオーインタラクティブの代表として、トレーディングデスク事業を担っています。広告主とメディアの間に立ってオンラインの広告の運用を行うポジションです。当社のお客様は、広告代理店も、直接の広告主もいらっしゃいますが、媒体社に関しては、配信ツール系ベンダー経由の場合もあれば直接お取引の場合もあります。

増える買い手と売り手の直接コミュニケーション

― 広告主や広告会社、媒体社など他の業態の人とのコミュニケーションは、どのようにしていますか?

藤平氏: 基本的に広告代理店を通してメディアを買わせていただいていますが、最近は媒体社独自の企画やキャンペーンもあるので、そういうのは直接やりとりすることもあります。当社の場合、一番重きを置いているのはデータです。タグの話などは、媒体社と直接お話することもありますね。

箕作氏: 当社の場合、広告販売の契約形態により様々で、例えば年間契約の案件はほとんどが、直接広告主とお話をさせていただきます。広告主のキャンペーン出稿に合わせた商品もありますが、この場合は広告代理店からお話をいただくケースです。その後、PMPなどでの取引を通して、広告のお取引をさせていただく形になることが多いです。
広告主とのコミュニケーションは直接であっても、商流は広告代理店を通すというケースが非常に多いです。

写真2

高瀬氏: 私たちのクライアントには、広告主と広告代理店の双方がいらっしゃいますが、コミュニケーションはほぼ一緒です。広告代理店経由の場合には、同行させていただくことが多いです。同行は、当社からの強い要望です。コミュニケーションのロスの発生やミスリードを避けたいからという思いからです。当然その場合の商流は、広告代理店を通します。

一方で媒体社に対しては、昔はDSPによるプログラマティックのバイングが多かったので、直接お話しする機会は少なかったです。でも最近は直取引が増えて、媒体社が保有しているデータを使ってどう配信に生かすのか、あるいは逆に媒体社が直接広告主へアプローチされている中での流入施策と分析をどうサポートするのかなど、媒体社と一緒になった取り組みも増えています。先日もある媒体社から「プランニングを手伝って欲しい」というようなお話をいただきました。

写真3

藤平氏: 当社はそういうことに、とても興味があります。まだ世に出ていないやり方を教えてもらえると、すごく嬉しいのです。

― 5年前と現在とでは、デジタル広告の取引の仕方はどのように変化したと感じておられますか?

藤平氏: 以前に比べて、媒体社が直接お話をしに来られるケースはすごく増えたと思います。私たちのような立ち位置ですと、人手を割けない部分に対して広告代理店が動いてくれて成立するものは沢山あります。その広告代理店を越えて媒体社と直接というのは、5年前は少なかったですね。

高瀬氏: 5年前というと、2012年。RTB取引が盛り上がり始めた頃ですね。

箕作氏: RTB取引が盛り上がる前は、私たちが広告主様に直接お会いするのも広告代理店を通じて、発注も広告代理店経由でいただいていました。媒体社が広告代理店を飛ばして広告主に会いにいくのは、「ヤンチャが過ぎるんじゃないの」と、昔は怒られていましたよね(笑)。

藤平氏: 来られた広告主側も気まずい感じでした。(笑)
広告代理店には、色々とサポートしていただいているのに気まずいという気持ちと、やはり新しい商流を開くということに対するためらいがあったのでしょうね。

先鞭をつけたのはアドテクベンダー

― そのような動きは、いつ頃、誰が始めたのでしょうか。

藤平氏: 一番早かったのはやはりアドテクベンダーです。メディアを束ねているので、RTBやプログラマティックで直接のほうが早いですよという売り込みでした。その後媒体社。最近は動画系サービスの会社からのお話はとても多いです。私たちも常に新しいターゲティングデータで出稿したいので、色々と教えて頂けるとすごく嬉しいです。

箕作氏: 当社は3年前でした。RTBが流行って運用型広告が全盛になったときに、媒体社側からすると、CPMで少し辛くなった状況がありました。それまでは営業自身が企画ものプラス、バナーなどの枠ものも売っていた時代がありましたが、単価が合うように価格設定し、販売をしていました。ですがアドテクベンダーが生まれ、アドネットワークが広がった途端に、広告枠の単価が一気に下がってしまった。

そこで当社では、広告枠自体の販売をやめたのです。年間や半年契約など以外は受け付けない、コンテンツマーケティングだけの販売に切り替え、ソリューションモデルに変えていきました。そうすると、通常の広告代理店様経由での広告販売時の期間設定とは合わないのです。当社は「健康」「マネー」「住宅」など特定のカテゴリ領域で強みがありますので、直接広告主と話をして、契約期間中は当社が態度変容効果などを指標に運用を行うという商品に変わっていきました。そこは大きかったと思います。営業の人的リソースも、広告代理店チームから直接クライアント営業チームへと振り分けるようになっていきました。

広告運用者は広告主の事業KPIに寄り添うスタンスに

― 広告代理店や、広告運用を行うトレーディングデスクに求められることは、この5年でどのように変化しましたか?

高瀬氏: 広告代理業は基本的に、広告主からオファーされたことに対してどう実行していくのかということ。企業が消費者に届けたいメッセージを、どう設計して形にするのが本筋ですが、個人的に感じるのは、キャンペーン単位のKPIが成功したか否かやCPAの有無は当然のことながら、KPIを含めた事業にどう寄与したのかに寄り添うというスタンスに変わってきた気がします。特にここ1、2年は、そういう発想が増えた印象を受けています。

また、広告主からは「もっと情報を開示しよう」と寄り添っていただけることも増えたように思います。以前は、予算がいくらで目標何件、流入何件だけだったものが、「今回のキャンペーンはこういう予算組みになっていて、計画がこうでこんな投資配分があるから、このタイミングでここまでいきたいんだ」など、事業計画のようなものを明かしてもらえるくらいになってきました。

藤平氏: 広告キャンペーンの目標設定は、事業KPIをベースにしているので、そこを開示しないと進まないのです。委託しているわけではなく、一緒にやっていくので。そういう関係性は、昔とは違いますね。

アドテク商流多層化の是非は結果次第

― アドテク・プログラマティックの普及とともに、売り手と買い手とのコミュニケーションが遠くなってきたというような声も聞かれますが、これは商流の多層化が招いたことなのでしょうか。

藤平氏: コミュニケーションの多寡は、媒体社次第だと思いますね。

高瀬氏: 11年にRTBが普及し運用型が隆盛してプログラマティックだけが伸びたときは、媒体社とのコミュニケーションは減ったと思います。ただ、そこから媒体社が自社の価値をどう活かすかを試行錯誤され、結果的に一度留まっていたコミュニケーションが、自社データの活用やコンテンツの重要性を再認識できるよう様々な活動をさて、結果的にまた持ち直しているように感じます。

写真4

箕作氏: 藤平さんがおっしゃるように、媒体社次第だと思います。

当社の場合インターネット広告ビジネスを16年やっており、この頃に一度、広告主とのコミュニケーションが減ったという印象です。

一方でRTBが普及した2011年以降にメディアを立ち上げた媒体社は、プログラマティック取引のみで収益が得られるような試算で事業設計をしていると思います。

そうなると単価は安く、コンテンツは大量に作るという発想にならざるを得ません。当社の場合、そのような発想はもともとありません。クオリティーを維持したまま、売上をどう拡大するか。媒体価値の上げ方、「なぜこの金額なのか」にこだわったのが、現在のコンテンツマーケティングです。もっと価値があるはずだと直接の営業で伝えていく手段と機会が必要で、特別なやりとりが求められた。そういう意識が社内全員にあったから、その後も広告収入が増えたのだと思います。

ただこのような考え方は、媒体社によりけりです。広告主とコミュニケーションを取るには、それだけでも人件費などのコストもかかります。それでもやるかやらないかは、重要な判断だと思います。ですがユーザーリーチの規模以外で媒体社としての自信や付加価値を持っているところは、絶対に営業チームを持った方がいいと私は思っています。

― 商流の多層化はどこでマージンが発生するのかが分かりづらいことが課題であるとも言われていますが、どのように感じておられますか?

藤平氏: 結果さえ出ればどちらでも(笑)。媒体社やアドテクベンダーと組んで、可視化することで見えてくるところもあります。広告主にとってあるメディア単体だとあまり有効活用が出来なくとも、あるアドテクベンダーが加わることで有効活用が出来るメディアになるとすれば、ツールや費用は必要です。全体のコストに見合う価値が得られるのであれば、あまり気にしません。

箕作氏: 私たち媒体社にとっては、メディアを運営していける価格のエコシステムが成り立っているかどうかが重要です。プログラマティックだけの売上だとコンテンツを作るお金にもなりませんが、他のビジネスモデルが成り立っていてクオリティーを下げずにメディアを運営できています。ただ、媒体社によっては成り立っていないところも沢山あると思います。その媒体社が運営するメディアが、無くなってしまってもいいようなものなのかどうかという点についての議論は重要ですよね。

藤平氏: プログラマティックで商流の多層化を招いているのは、私は悪いことではないと思います。広告主にとり、同質化されたマーケティングが増えて難しくなっているなかで、少しでも抜け出すためには、同じパターンや商流だと勝てなくなってきています。競争が激化する中において、広告主はツールや商流、メディア、少しでもほかと違うことをするのは当然です。

デジタル広告取引は多層化から多様化へ

― この先、現在の多層化状況はどのようになると思われますか?

藤平氏: 多層化してはいるのですが、広告主から見ると、テクノロジーが進むにつれて層が減っていると感じています。良いテクノロジーで、これがあればいいや、となっていますので。自社のデータとメディアの情報で色々なことが出来るようになって、サードパーティーを使うということの必然性がなくなってきており、アドテクがシンプルになり始めていると思います。現状の多層化自体はシンプルになる一方で、色々なツールを使うようになっているし、アドの世界に入ってこなかったようなベンダーやコンサルティング会社などのプレーヤーが入ってくることにより商流は多様化してくるのではないでしょうか。

高瀬氏: うまく回していると思う企業は、だんだん簡略化しています。BIツールの活用含め、モニタリングの環境も昔に比べれば楽になってきていますし。マーケティング活動を設計する時間に時間を割けば割くほどプロモーションの質はあがります。そのために「このメディアのコンテンツが必要」「このアドテクを使う」「ここはエージェンシーでディレクションする」、というようなマネジメントが理想ですね。コミュニケーションの質は求められますが、テクノロジーがその時間を作ってくれるかもしれないと考えています。

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「アドテクの理想と現実」にパブリッシャーはどう向き合うべきか?-大手グルメサービス担当者が語る課題と未来 [インタビュー]

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プログラマティックが普及して以降、メディアを取り巻く広告ビジネス環境が変わったといわれているが、日本におけるその実態や実務を担う関係者による現場の声は、実はあまり多くが取り上げられているわけではない。

パブリッシャー・トレーディングデスクとして日頃メディアを近くで支援しているbrainyが、メディアのプログラマティック広告実務担当者へのインタビューを通じて、日本のメディアが置かれているビジネス環境や、昨今のアドテクノロジー界隈のトレンドについて率直に感じていることなどをお伝えするシリーズ。

第6弾は、グルメサービスRettyのプログラマティック広告部門運用責任者及びエンジニアへのインタビューをお届けする。

★インタビュー対象

Retty株式会社

プログラマティック広告部門運用責任者 山田祐也氏

エンジニア 進藤太一氏

★聞き手

株式会社brainy

代表取締役社長CEO 山岡真士 氏

パートナーブレイン戦略部 下山貢氏

2017年3月、株式会社オプトから会社分割により設立。様々なアドテクノロジーを駆使することでネット広告収益の最適化を支援する「パブリッシャー・トレーディングデスク」を、国内プレミアムメディアを中心に展開している。

別々の役割を担うWEBとアプリ

―下山氏(brainy)これまで本連載を続けてきましたが、Webがメインのジャンル特化型サービスを展開されているパブリッシャー様は初めてです。サービスと運営について教えていただけますか?

写真2

山田氏(Retty) 実名型のグルメサービスを運営しており、月間3千万人にご利用いただいています。アプリとWebでサービス展開しています。その中で、我々2人は広告配信の最適化を担当しています。ただし、ロイヤルティが特に高いアプリ面では広告配信を行っておらず、現在はWeb面のみで収益化を図っています。

「グルメサービス」という立ち位置が前提条件ですので、基本は訪問していただけるユーザーさんがいかに最適な飲食店を見つけ、実際に来店していただけるかが重要だと考えています。ですので、それを阻害するような広告には制限をかけるようにしています。

― 山岡氏(brainy)アプリとWebにはどのような役割の違いがありますか?

山田氏(Retty) RettyはCGMサービスのため、投稿数の増加と共にサービスも成長していきます。現在は主にアプリから投稿いただいています。
一方、ユーザーさんとの接点としてはWebの役割も大きく、SEOを含め、よりたくさんの方に使っていただけるようなサービス作りをしています。

― 下山氏(brainy)ユーザーの利用シーンに応じて適切なインターフェイスをWebとアプリで提供されているんですね。

タイアップ広告が継続する、Rettyの強みとは?

― 山岡氏(brainy)広告収益はWeb中心ということですが、そのマネタイズ手段の構成はどのようになっていますか?

山田氏(Retty) 広告は大きく3つに分かれています。一つは飲食店様から月額利用料をいただく形の来店販促向け広告、次にビールメーカー様をはじめとするナショナルクライアントを中心にしたタイアップ広告、もうひとつは、我々が担当するプログラマティック広告です。

― 山岡氏(brainy)グルメサービスは、広告マネタイズに関してはどのようなことが強みになるのでしょうか?

山田氏(Retty) ニュースメディアさんなどとは違い、来訪するユーザーさんの目的意識がほぼ同じであり、かつ強いという特徴があります。何かを食べたいと思って飲食店を探すという意思が明確です。そこからさらに、「ラーメン」を食べたい、「渋谷」で飲みたいなどというように、「何」を食べたいかや、「どこ」で食べたいかというように分岐してきます。そうしたユーザーさんの行動意識がほぼ同じであるということは、かなりの強みです。

― 下山氏(brainy)そうすると、例えばタイアップ広告に向いたサイトと言えるのでしょうか?

山田氏(Retty) タイアップ案件についていえば、ビールメーカーさんや製薬会社さんの商品の利用シーンをうまく想起する形でご提案ができると自負しています。一度タイアップ案件でご出稿をいただければ、その後長期で継続いただけることが多いです。これはRettyの媒体特性であると考えています。クライアント様と長期でお付き合いをさせていただくことが、ノウハウの蓄積にも繋がっています。その点も強みであると思います。

― 下山氏(brainy)ありがとうございます。強みの一方で、グルメを取り扱うこその課題には何がありますか?

山田氏(Retty) ずっと課題に感じていることはRettyというサービスのブランドイメージやUXを毀損する広告の存在についてです。Rettyを訪れるユーザーさんは、「美味しいものを食べたい」という共通の欲求を持っています。したがって、食欲をそぐような広告はRettyでは扱うべきではありません。例えばサプリの広告。それ自体が全て悪いということではないのですが、画像がそのサプリの元のミドリムシを生々しく写したクリエイティブですと、さすがに望ましくはありません。

― 下山氏(brainy)一般的にはアダルト広告や誇大広告などがユーザーさんの心象を悪くするものとされており、各パブリッシャーは対策を講じますが、御社だとそれに加えて食欲に関する視点での確認も欠かせないんですね。

山田氏(Retty) 私たちが求める粒度が細かすぎる故かもしれませんが、除外すべき広告クリエイティブが、何度ブロックしても出てきており、それを根元から解決できていません。これはどのSSPさんでも起こりうる問題だと考えており、また運用を最適化しようとすればするほどステイクホルダーが増えます。そうすると、どのステイクホルダーに問題があるのかを調査しなくてはなりません。

写真3

― 山岡氏(brainy)なるほど。収益を最大化しようとすると、複数のステイクホルダーを使い取捨選択する必要があるのに、御社の場合は掲載可否の対応が増えてしまうので、容易にステイクホルダーを増やすことができないんですね。

紆余曲折の末に辿り着いたヘッダービッドへのチャレンジ

― 下山氏(brainy)近年、御社ではアドテクへの取り組みにどのような変化がありましたか?

山田氏(Retty) プランニング側とテック側に分かれて二人体制で行っているのですが、プランニングの部分で、2017年はかなり動いた年でした。年の前半くらいまではGoogleのAdExchangeを軸とし、SSPなどを使うことで両者間でのダイナミックアロケーションの最適化を突き詰めていました。後半は、ヘッダービディングを中心にプランニングから実装までやっています。目的はCPMを上げることと、収益化のチャネルが1社に依存している状況を調整することです。具体的には複数社とヘッダービディングの話をしており、一部導入済です。最適化は進行形という感じです。

― 山岡氏(brainy)目的の1つにある「特定の1社に依存する」お話ですが、他のパブリッシャーでも聞きます。御社ではどのようなことを気にされているのでしょうか?

山田氏(Retty) 単純に売上の構成が圧倒的に1社によっており、もしも何かあったらという潜在的な不安がひとつです。また、収益が決まる厳密なロジックが開示されていないという点も挙げられます。

― 山岡氏(brainy)もう1つの目的にあったCPMを上げる点では、今年どのようなステップを踏まれたのでしょうか?

山田氏(Retty) ここ2、3年でCPMが下落しており、現状を打開するために、しっかりとしたプランニングを開始しました
社内には、アドテク出身の社員がいなかったため、パブリッシャー側での広告運用に長けている人を紹介してもらったり、また勉強会に参加し、そのまま飲みにいってアドバイスをもらうなど、アナログに知見を蓄積していきました。

進藤氏(Retty) 広告ベンダーにヒアリングすることもあります。特にヘッダービディングのように目新しいソリューションの場合、社内の知見だけだと方針や戦略を決めきれないことがあります。広告ベンダーから実績・事例をヒアリングしながら、方針と戦略を決めています。

山田氏(Retty) ウォーターフォールと、ダイナミックアロケーションについては、大体どこも近しい取り組みをしており、質問をすれば答えを得られます。しかし、ヘッダービディングに関しては、一部の先進的なパブリッシャーでないと事例がまだない状況です。

写真4

進藤氏(Retty) 例えばヘッダービディングだと、組み込み方としてクライアントサイドとサーバーサイドラッパーの両方とも提供されています。Rettyではいま併用して組み込んでいます。クライアントサイドの実装だとレイテンシーの問題があるので、将来的にはサーバーサイドラッパーに移行していく予定です。
ただ、現状だとサーバーサイドラッパーだとクッキーロスによるユーザーマッチ率が低くなるという話も聞いているので、併用しながら検証をしています。

― 下山氏(brainy)やはり、最新のテクノロジーを導入するのはいろいろと苦労がありますね。導入されたヘッダービディングにおいて具体的に収益はどのくらい伸びましたか?

山田氏(Retty) 導入前対比で120%~130%くらいにCPMの水準が上昇しました。
ヘッダービディングベンダーからの収益が高かったという認識です。AdExchangeの収益はほとんど下がらず、ヘッダービディングベンダーの収益がそのまま上乗せになったイメージです。

どうする!? 保証取引

― 下山氏(brainy)ヘッダービディングに限らず、最新トレンドをうまく収益に結び付けるために大事なことはなんだとお考えですか?パブリッシャーによって成功可否が分かれる印象です。

進藤氏(Retty) 収益を最適化するために、戦略と体制を整えることが大事だと思います。
いまPMPやヘッダービディングなど、パブリッシャーサイドでコントロールできるソリューションが整ってきています。そのため、収益を最適化するためのソリューションや運用レバーがいくつもあるなかで、自社サービスに適した広告ベンダーの選定であったり、KPIの設計、調査・検証・導入をスケジュールに落とし込む、といった方針・戦略を立てていくことが重要になってきます。

また、決まった方針・戦略をスムーズに回していくために体制作りも重要です。Rettyでは、広告運用に携わるプランナー・広告運用・エンジニア・データサイエンティストといった様々な職種のメンバーが、チーム内で密にコミュニケーションを取り、施策を素早く回すことができています。

― 下山氏(brainy)確かに、ソリューションの数ばかりが増えても意味はなく、それをうまく取り扱わないと収益には結び付きませんね。導入後の運用は大事だと思います。

山田氏(Retty) 収益化を追求して、最適化を突き詰めれば突き詰めるほど管理が複雑になる。これはプランニング側としてのジレンマです。

写真5

― 下山氏(brainy)難しい問題ですね。管理工数を大きくせず、収益を追求する方法はあまりないですよね?

山田氏(Retty) 対SSPさんと保証取引をする方法も1つありますが、考え直す必要性を感じています。保証取引は特定の枠を、一定期間固定のCPMで販売するケースが多く、そうすると変数が広告インプレッションのみになるので、売り上げを読みやすくなる大きなメリットがあります。けれども、結論としてはこの方法はあまりよくなかったと感じています。

― 山岡氏(brainy)積極的に保証取引を進めるパブリッシャーもまだまだある中で、「よくなかった」とご判断されたのはどういう理由からでしょうか?

山田氏(Retty) 結局、両者にデメリットがあると思うに至りました。広告枠を買い切ってもらう代わりに、1つの枠の運用を放棄して、全て渡してしまうので、機会損失が起きることがあります。例えば、ヘッダービディングを進めていきたい枠があっても、その枠でそれをできなくなってしまい、改善が遅れてしまいます。SSPさんの立場からしても、パブリッシャーからはかなり高い水準の保証値を求められるケースが多いでしょうから、体力的に消耗する部分が大きいはずです。短期的な収益は上がりますが、自社での最適化を止めることになるので、中長期的で見た場合の収益への貢献については懐疑的になりました。

― 下山氏(brainy)確かに、保証取引は短期的なメリットは大きくても、中長期的な視点ではでデメリットになるかもしれませんね。

パブリッシャーにも「後継者問題」

― 下山氏(brainy)「アドテクの理想と現実」ということで、他に課題に感じられていることはありますか?

山田氏(Retty) パブリッシャー側でアドテクの知見がある人は思っている以上に少ないことです。ですから、どんどんテクノロジーが進化していっても、現在の担当者に何かあった時に対応できなかったり、ノウハウが複雑化しすぎたりしているため、簡単に共有していくことができません。担当者が少ない、任せることができる人がいないゆえに、属人化が進みます。

― 下山氏(brainy)パブリッシャーのご担当者様が退職された途端に広告収益が下がり、且つ、周辺情報がブラックボックスだったという話を聞いたことがあります(笑)

山田氏(Retty) さらにパブリッシャー側の情報源は、文献も少なく、具体的な運用マニュアルのようなものは無いに等しい状態です。アドサーバーとしてDFPを使っていますが、サービスとどう連携をすればよいのか、フロアプライスは何円で引けばよいのか、リクエストのカバレッジ率はいくつがよいのか、そうしたノウハウを持つ後継者作りが今の時点では難しいです。

進藤氏(Retty) エンジニア側としても同じ意見です。いわゆるアドテクエンジニアに求められることは幅広く、開発業務はもちろん、商品企画支援・広告ソリューションの選定といったアドテク領域の深い知見も求められます。ただ、パブリッシャー側で、アドテクエンジニアを採用するのはなかなか厳しいです。サービスに携わりたい、で来るエンジニアはいても、アドテクをやりたい、で来るエンジニアは少ないので。そうなってくると社内での育成が大事になってくるのですが、アドテクをやりたい!と手を上げてくれるエンジニアは少ないのが現実です。

山田氏(Retty) パブリッシャーにいる人は、サービス側に携わりたいと考える人が圧倒的に多く、広告ビジネスは人材確保が結構大変です。
パブリッシャーに、アドテクを目的に入社する人はなかなかいないので、伝えるのが大変ですね。ただ、はまる人ははまりますね(笑)

― 下山氏(brainy)加速度的に進化するアドテク業界ならでは悩ましさですね。 パブリッシャー同士でもそのようなお話をされたりするんですか?

山田氏(Retty) パブリッシャー同士の横のつながりが案外少ないので、つながりを作っていきたいです。また、助けていただいたこともあったので、お役にたてることがあれば協力したいと思います。コミュニティを作ることができれば、より有益な情報も共有できるようになると考えています。

進藤氏(Retty) いまアドフラウドやアドベリフィケーションといった問題がありますが、パブリッシャー側ではどういった対応をすれば良いのか、どういうツール導入すれば良いのか分からないのでそうした意見交換も是非してみたいです。

― 山岡氏(brainy)パブリッシャーの知見が集合すれば、業界全体が盛り上がりそうですね。本日はサイトの特徴から広告マネタイズの方法まで細かくお話し頂きありがとうございました。

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先週のグローバルアドテクシーン:Rubicon Project、ファーストプライスオークションに参加

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、主に先週に起きたグローバル市場のトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

仏発の中小企業向け広告プラットフォームのThe Moneytizer、米国で展開開始

仏発の中小企業向け広告プラットフォームのThe Moneytizerは、米国においても展開を開始した。
すでに8,000もの中小媒体に導入されているという。

電通、米国のデジタルマーケティング会社「スワール社」を買収・海外子会社化

電通は、米国のデジタルマーケティング会社「スワール社」を買収し、海外本社であるイージスの子会社化を発表した。
スワールは1997年に創業され従業員数は175名の規模となる。

Rubicon Project、ファーストプライスオークションに参加

Rubicon Projectは、ヘッダー入札の普及などを背景に今年の9月に新たな入札方法の模索を発表していたが、2018年1月22日より本格的にファーストプライスオークションに参加することを発表した。

Smart、ads.txt対応サプライヤーを100%へ

Smartは、SSPとして初めて提携媒体の100%がアドフラウド対策のためads.txtに対応しているところとなったことを発表した。

Triton Digital、365 Digitalと提携

オーディオ広告プラットフォームのTriton Digitalは、南アフリカのプログラマティックオーディオ広告のサプライヤーである365 Digitalと提携を発表した。

dataxu、OTTのアトリビューションサービスを提供開始

dataxuは、同社のDMPであるOneView DMPにおいてOTT(over-the-top)TVデバイス用のアトリビューションサービスの提供を開始した。

Kochava、ブロックチェーンの広告評価サービス「OnXCHNG 」をリリース

Kochavaは、AerServ, AppLift, Appodeal, Chartboost, DCMN, Kiip, PubNative, Parrable, Priori Dataの9社と提携し、業界初となるブロックチェーンによる広告評価サービス「OnXCHNG」をリリースした。

Pandora、動画広告再生後にオンデマンドで音楽再生可能に

米国最大のストリーミング音楽サービスのPandoraは、15秒の動画広告を再生後にオンデマンドで音楽の再生を可能にする変更を行った。

IAB、Podcastサービスの計測に関する新たなガイドラインを発表

IABは、パブリックコメント期間を経てPodcastサービスの計測に関する新たなガイドラインを発表した。
自動再生やプリロードを避けるなどプレーヤーへの推奨事項も加えられた。

Accenture、アイルランドのクリエイティブエージェンシー「Rothco」を買収

Accentureは、アイルランドのクリエイティブエージェンシー「Rothco」を買収した。
アイルランドでのケイパビリティを強化するとともに、Accenture Interactiveの機能強化も狙う。

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狙いは購買ファネルの中位-アドビが提案するDCOの活用 [インタビュー]

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サービスを通して顧客のカスタマーエクスペリエンスを最大化することを目指すアドビは、ディスプレイ広告のDCO(ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション)ソリューションをリリースした。デジタルマーケティングの一手法であるDCOを通して、どのようにその実現を目指すのか。アドビが提案するDCOの活用法について、同社 執行役員 近藤 弘忠氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

Adobe のフルファネルソリューションとDCOの位置づけ

― 近藤さんが事業統括をされている、 Adobe Advertising Cloudの概要と構成についてお聞かせください。

図1:Adobe Experience Cloud Solutions

出典:アドビ

Adobe Advertising Cloudは、ダイレクトレスポンスのサーチ領域で、購買ファネルの最下部をカバーするAdobe Media Manager Search(旧Efficient Frontier、以降Search)、そして購買ファネルの上位をカバーするAdobe Media Manager DSP(旧TubeMogul、以降DSP)、そして後ほどご紹介するAdobe Media Manager DCO(以降DCO)とで構成される購買ファネル全体をサポートすることが出来るペイドメディアをマネージするツールです。これが基本的なAdobe Advertising Cloudの概要です。

アドビが別途提供しているAnalytics Cloudとの連携により、顧客側に入っているデータ基盤と連結させることで、さらに高度なマーケティングの実現が可能になることがこのサービスの大きな強みです。ブランド広告主が持っているデータアセットを、広告に活用することが出来るようになるための機能統合を、2017年年間を通して進めてまいりました。
Adobeプラットフォームで使われている共通のIDを活用して、シームレスかつ簡単に他のプロダクトで利用されているデータを広告のターゲティング配信に利用することが可能になりました。

Adobe Advertising Cloudと同じサービスレイヤーには、Adobe Marketing Cloud、Adobe Analytics Cloudがあり、これらの上位コンセプトをAdobe Experience Cloudが統括しています。アドビがこのようなサービス体系にしたのは、2017年3月です。

― Adobe Advertising Cloudは、広告主が直接運用しているのでしょうか?

写真2

プロダクトによりけりですが、全体としては日本ではほとんどのケースにおいて広告会社が広告主に代わり運用をしています。DSPの場合運用については広告会社が再度当社に委託するケースもありますし、一部の広告会社については、広告主のインハウス運用におけるオペレーションだけ請負、運用されているケースもあります。

― Adobe Advertising Cloudはどのような企業をターゲットにしているのでしょうか?

まずはアドビの他のプロダクトを導入されている大手企業に、使っていただきたいということで、ご案内をしています。
Adobe Advertising Cloudのみで導入いただくケースもありますが、Adobe Analyticsなど他のプラットフォームと連携してお使いいただくことで有効的に活用いただけるようになります。

購買ファネルの真ん中のコミュニケーションをサポート

― 貴社が提案するDCOについて、お聞かせください。このソリューションも、買収により獲得された機能でしょうか?

DCOという新しい機能は日本では2017年の秋から本格展開を開始しました。
デジタル広告の出稿をするときに、3つ重要なことがあります。一つはオーディエンス。誰に広告を当てるのかということです。もう一つは、メディア。すなわち、どこの場所に出すかということです。そしてもう一つはクリエイティブです。この三つがバランスよく使いこなされて最大限の効果が得られます。このうち、クリエイティブをカバーするのが、DCOです。DCOの前身は、2015年にCollective社から買収したEnsembleというプロダクトになります。

― いわゆる従来のリターゲティング広告で使われているダイナミッククリエイティブと同じようなイメージでしょうか?データフィードを使ってクリエイティブを回すという世界観でしょうか?

図2:ダイレクトレスポンス施策の課題
図3:ダイレクトレスポンスの課題を解決するには

出典:アドビ

データフィードももちろん使えます。外資系のリターゲティング大手広告プラットフォームと大きなイメージとしては同じですが、当社のDCOは狙っているポジションが異なります。既存の大手広告プラットフォーマーがフォーカスしているのは、購買ファネルの最下部の領域で、刈り取りに特化しています。検索連動型広告も含めて、購買ファネルの最下部の領域に関する領域は現在かなり成熟しつつあり、マーケッターは顧客獲得において頭打ち感を感じ始めているのも事実です。
もちろん、ファネル最下位の領域に対するダイナミッククリエイティブを使った施策にも、大きな価値はあります。ですが、アドビからの今回のご提案は、マーケッターの方々にビジネスを大きくしていただく為に必要なのは、購買ファネル全体を大きくしていただくことです。それにより、リターゲティングでの刈取り候補者を多くしていただきたいのです。

写真3

DCOを通してやりたいのは、認知の下位層にあたる、興味・関心と検討に対する施策です。
ダイナミッククリエイティブは、ある程度特定したユーザーにマッチする情報を届けることが出来ます。

アドビが実現したいのは、カスタマーエクスペリエンスを最大化するということです。広告の領域でもこれを実現したいと思っています。私たちの顧客が、マッチした人にマッチした情報を、広告主としてしっかりと広告で送り届ける。そういう状況をお手伝いしたいと考えています。

最適化はSEE -KNOW- HEAR- LEARNの4つのプロセスで

― ダイナミッククリエイティブ広告の配信は、旧TubeMogulのDSPを使うことになるのでしょうか?

図4:Dynamic Creative Optimization

はい、その通りです。現状は静止画が対象ですが、今後動画の配信も視野に入れています。
既存の大手ダイナミッククリエイティブ広告のプラットフォーマーは、ユーザーの刈取りを目的としていますが、私たちが提案をするのは、ディスプレイ広告の領域をフルカスタマイズするソリューションです。
クリエイティブの素材を色々と差し換えられるテンプレートから自由に作っていただくことが出来るというプロダクトです。
広告の配信時には、データフィードと当社のAdobe Audience ManagerのAdobe Analyticsツールと連動させて、活用いただくというのが理想ですが、プレイスメントターゲティングにおいて、クリエイティブを差し替えるという活用も可能です。

アドビが提供するDCOは、SEE -KNOW- HEAR- LEARN というプロセスでクリエイティブの最適化を図ります。SEEはユーザーの行動履歴を意味します。例えば、広告主のサイト内でのユーザーの行動情報を、DCOに活用することが出来る。これが、SEEの部分です。例えば、ユーザーがフロリダのホテルを探しているといような情報をもとに、クリエイティブの背景をフロリダに関連したものにするなどのことが出来ます。
また、KNOWを意味する、位置情報や現在時刻などを加味したクリエイティブを配信することが出来ます。
次に、HEARですが、サードパーティーが保有する、年齢や性別、家族構成などのユーザー情報をもとにクリエイティブを生成。
LEARNは、A/Bテストによるクリエイティブの最適化を意味しています。

このようなプロセスで、DCOは、オーディエンスにとって一番心地が良いクリエイティブを完成させていくのです。

既に、広告主の皆様にも直接ご案内をしており、2018年の初頭には実際に走り始める案件も出る予定です。広告主は、購買ファネルの刈取りをした次に、どのような打ち手をすべきであるかということに課題を感じています。また、ラグジュアリブランド系の広告主の場合、ラストクリックを最適化するのではなく、クリエイティブの最適化を通してコミュニケーションを豊かにしていきたいというご要望があります。マーケティングシナリオをどのように組むのかということは広告主や広告会社にとっての課題です。当社はDCOを通して、購買ファネルの真ん中の領域をどのようにすればいいかということを提供しています。

私たちは、Adobe AnalyticsやAdobe Audience Managerを扱えるパートナーを求めています。ダイレクトレスポンスの領域にこれまで取り組まれてきて、現在頭打ち感を感じて新しい領域に取り組まれているデジタル専業広告会社をはじめ、総合広告会社、その他様々な立場の方々と、私たちのビジネスのパートナーになっていただけると思っています。

当社は、Adobe Analyticsや、Adobe Audience Managerを導入していただいている大手企業にDCOを活用いただこうと考えており、ここでパートナーとご一緒させていただくことが出来ると思っております。例えば、当社のプロダクトを使って、高度なマーケティング支援をしていただけるパートナーに、当社から顧客企業をご紹介させて頂くというケースもあります。

一方で、広告主の全てのマーケティング施策を支援される総合広告会社が、デジタルの施策において購買ファネルの真ん中の領域を支援されるところをDCOでお手伝いをさせて頂くことも出来ます。

― DCOの広告配信先はいわゆる一般的なDSPの配信先という認識でよいのでしょうか?

はい、その通りです。国内外の主要アドエクスチェンジやSSPを通して広告配信を行います。DSPとしては、動画SSPとの接続も行っているので、ゆくゆくはDCOにおいて動画対応も視野に入れております。

― 貴社のサービスの全体としての方向性についてお聞かせください

写真4

私たちが提供したいことは、アドビとして掲げている「カスタマーエクスペリエンスを最大化する」というコンセプトを広告にも同様反映させていくことです。広告というのは嫌われるものと、言われがちです。その理由は、自分に合っていないからです。嫌われがちな広告を、必要な情報に変えていくための一つの手段として、DCOのようなサービスを提供して、アドビ全体で提唱する「カスタマーエクスペリエンスを最大化する」ことをお手伝いできればと考えております。

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先週のアドテクシーン:ソネット・メディア・ネットワークス、マーケティングハブ「VALIS-Cockpit」の提供を開始

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

ソネット・メディア・ネットワークス、マーケティングハブ「VALIS-Cockpit」の提供を開始

ソネット・メディア・ネットワークスは、マーケティングハブ「VALIS-Cockpit」の提供を開始した。
AIと人が融合したマーケティング最適化ソリューションを目指す。
図

出典:同社プレスリリース

電通テック、「LINE ビジネスコネクト」を利用した新サービス「1/0」の提供を開始

電通テックは、「LINE ビジネスコネクト」を活用したプラットフォームの新サービス「1/0」を開発し、提供を開始した。(PDFアイコンPDF)
あらゆる顧客接点をデータベースとして活用できる CRM サービスを提供・推進を目指す。
図

出典:同社プレスリリース

サイバーエージェント子会社のCA Young Lab、6つのインフルエンサータイアップ商品の提供を開始

サイバーエージェント子会社で若年層マーケティング事業を担うCA Young Labは、6つのインフルエンサータイアップ広告商品の提供を開始した。
YouTuber、Instagrammerを活用する。

マイクロアドの「MicroAd COMPASS」、ユーザーを意図しないページに遷移させる強制リダイレクト広告の検知対応を開始

マイクロアドの「MicroAd COMPASS」は、ユーザーを意図しないページに遷移させる強制リダイレクト広告の検知対応を開始した。
不正なクリックや誘導を防ぐアドフラウド対策の一環である。

Supershipの「ScaleOut DSP」、独自開発の「In-View率レポート」の提供と 「In-View率ターゲティング」による広告配信を開始

今回実装された「In-View率レポート」は、「ScaleOut DSP」が独自開発した計測システムによりディスプレイ広告と動画広告のビューアビリティが管理画面上でシームレスに確認できるレポートとなる。
図

出典:同社プレスリリース

Rakuten Marketing LLCグループ、日本でリスティング広告事業を強化

Rakuten Marketing LLCのグループで、日本事業を展開するリンクシェア・ジャパンは、リスティング自動最適化サービス「FINCH」を活用し、ヤフーの「スポンサードサーチ」での広告運用を可能にした。

アイモバイル、ROAS最適化機能をアップデート

アイモバイルは、ROAS最適化機能をアップデートし、広告主の戦略に基づいた柔軟な自動最適化の入札ロジック選択が可能にした。

電通、個人視聴の推定でターゲットを実行動に導く「KPI運用型TVCMプランナー」を提供

電通は、精度の高い「個人視聴推定モデル」を活用してテレビCMの効果を高めるツール「KPI運用型TVCMプランナー」を開発・提供を開始した。
図

出典:同社プレスリリース

CyberZ、広告クリエイティブの要素分析を実現するパフォーマンスタグアナリティクス「zen」を開発

CyberZは、広告クリエイティブの要素分析を実現するパフォーマンスタグアナリティクス「zen」を開発した。 約500種類の構成タグと無制限の訴求タグに基づく「タグクリエイティブレポート」の提供を開始した。

【調査】

博報堂、4社横断の動画統合ソリューションhakuhodo.movie「動画生活者®統合調査」を実施

博報堂は、「動画生活者®統合調査」を実施した。
動画生活者は、非・動画生活者の平均25.1秒に対し、10秒長い平均は35.7秒の間動画広告に接触していることなどが発表された。

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デジタルマーケティング企業の東南アジア進出 AtoZ-第2回:進出すべきホットな国・地域を見極めるための観点その2「市場規模」 |WireColumn

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マーケティングソフトウェアの開発などを手掛け、海外にも3拠点に展開しているエフ・コードの海外担当執行役員・島田裕一が執筆する本連載では、デジタルマーケティング企業が海外進出する際のポイントについて、東南アジア進出を中心に解説していきます。なお、本シリーズの見解は筆者の経験則に客観的なデータを交えて論じたものであり、不十分な点・異なる見解のご指摘など読者の皆様からいただければ幸いです。

第2回となる今回は、前回の「事業性」に続き、進出先の国・地域を選ぶ際に重視すべき3軸の2軸目「市場規模」についてご説明します。

第1回はこちら

「本当の市場」を正しく設定する

企業が海外進出する際、漠然と当地の市場規模を考えるのではなく「真に見据えるべきはどの市場なのか」を細分化して見定めることが非常に重要です。

たとえば、デジタルマーケティングの企業が東南アジアに進出するケースを考えてみましょう。陥りがちであるのが、「各国のデジタルマーケティング市場規模」のみに意識を向け、「タイでは300億円程度、インドネシアでは400億円程度、香港では……」と比較したうえで、「では単純に数字が最大であるインドネシアに進出しよう」といった短絡的な考え方です。しかしこれは誤りです。「本当の自社の商材の市場」をこそ知っておく必要があるのです。

当社エフ・コードのWeb接客ツールを例にあげさせていただければ、支出が制作費用とプロモーション費用に分けられるデジタルマーケティング市場において、当社のサービスへの支出は後者から捻出されることがほとんどです。

さらにデジタルマーケティング施策をブランディング寄り/パフォーマンス寄りに分けるとすると、こうしたツールはパフォーマンスに重きを置いた市場がターゲットとなります。もちろんブランディングにも効果はありますが、より販売しやすい相手はECやトラベルのいわゆる「獲得系」と考えられます。
そのうえ当社のツールの場合は、パフォーマンス系市場のなかでも既存キャンペーンの改善に使われ、特に「CRO(コンバージョン率最適化)」と「LTV(ライフタイムバリュー)向上」についての価値提供ができると考えているため、それぞれの国においてこれらを対象とした市場規模を算出します。

デジタルマーケティング市場

出典:エフ・コード

このように「見た目の市場規模」ではなく「その会社・その事業・その商材にとっての市場規模」を算出することが重要なのです。

見込み売上の算出も非常に重要

市場を設定したら、そこから見込みシェアの限界値を考えます。現地の競合(後述)や前回記事で述べた事業性判断とも関連する部分です。営業活動のしやすさなども勘案し、数値を予測し、年間の見込み売上の上限を算出します。

ここで重要な観点となるのは、算出した上限見込み売上の規模が、本社の海外事業に対する期待値を上回っているかという点です。上回っていれば、その事実は当地進出決定の大きな要素の一つとなります。逆に下回っていれば、進出しないという決定や近隣の国・地域を組み合わせてセットにして進出するといった考え方が必要となります。

さらに、その上限数値に到達するために要する期間についても検討しなければなりません。この期間は、事業を開始するにあたり当初から投入できる資本の規模に大きく依存します。そのため、市場規模の検討において問題がなくとも自社の投資規模が大きくない場合はその規模に到達するために一定の時間を要します。この点も計算にきちんと組み込んでおく必要があります。
もちろん、投資規模以外の要素を忘れてよいわけではありません。担当者の経験値やネットワークの量と質、現地雇用人材の能力なども、必要に応じてしっかりと計算に入れましょう。

加えて、未来の市場規模予測も重要です。海外事業を始める際、撤退時期を定めておく企業はほとんどなく、通常はサステナブルな展開を企図します。ですから、各統計データを用いて現在だけでなく5年後10年後の規模を予測することも重要です。そこから少なくとも3年後までの市場規模の伸びを予測し、それに応じた事業計画の策定は必須であるといえます。

プロダクトライフサイクルの見極めも不可欠です。導入期、成長期、成熟期、衰退期のなかで当地はどのフェーズにあるのか、その見極めにより今後の伸びも予測がついてきます。当社のサービスの場合、ASEAN各国においてはまだ導入期と認識しており、自社の力で成長期に押し上げたいと考えています。

競合や現地ネットワークについての調査・準備

市場の調査においては前述の通り、競合や現地ネットワークについて把握し準備することが不可欠です。事前に事業責任者が長期滞在の上、当初から一定規模のお付き合いができる顧客を探ること、現時点での競合について認識すること、さらに協力関係を築けるパートナー会社の探索なども実施する必要があります。

当初から取引先となる顧客との関係は非常に重要です。商材が日本の市場と同様に現地でもフィットするとは限りません。現地に即したフィードバック及び能動的なクチコミを期待して、たとえば無償トライアルを提供するなどの施策を行うことも十分に価値があると考えています。

この際に得るべき情報としては、製品自体についてのフィードバックはもちろんのこと、現地において適切なプロモーション方法や販売チャネル、金額感などが挙げられます。これらについては、すでに現地進出してPDCAを回した経験がある企業から有益なアドバイスをいただける場合も多くあります。

また、競合の認識についても注意が必要です。最先端のデジタルソフトウェアについて述べれば、日本の製品が競合となるケースは少ないながら、インド・イスラエル・アメリカなどの製品は非常に多くあります。ローカル企業にばかり目を向け、これらの認識すべき競合を見過ごしてしまわないよう留意しましょう。
そのうえで、現地の市場において自社のツールのポジショニングや強みを効果的に打ち出せるかを検討します。不可能とみられる場合には、進出を見合わせて強みを見出せる製品の開発を待つことも必要です。それも勇気ある決断です。

なお、キャッシュが潤沢な場合にとれる手段として「競合の買収」が挙げられますが、エフ・コード社ではその方法を選択していないため、本記事では割愛します。

市場調査には時間と足をしっかり使う

海外進出にはどの程度の時間がかかるのでしょうか。進出の規模によって当然異なりますが、概して経営議題にのぼってから設立決定までは1年、設立完了まではさらに半年程度というケースが多いと感じています。ここまでに述べてきたような綿密な準備のためには、相応の時間も必要となります。

また、準備には当然お金もかかります。事前の調査やフィジビリティスタディについて専門の業者に依頼するという選択肢もありますが、数百~数千万円を要することになるはずです。そのため、マザーズ上場規模の程度の会社であれば、社長や海外を担当する役員が現地に赴き自分の目と足で調査するのがよいと考えます。

ここで意識したいのは、現地で様々な人に同じ情報・質問をぶつけてみるという方法です。たとえば、「当社の商材はEC系のアカウントに広く取り入れられているが、こちら(現地)のEC系のサイトもこの種のツールをよく使っているか?」という質問を投げかけてみるとします。5人に尋ねてみれば、それぞれから異なる回答が返ってくることでしょう。同様に、今後の現地経済について5人の有識者に訊ねても、同じことが起こるはずです。

重要なのは、こうした様々な見解をインプットして、その中で勘案して自社のポリシーを確立していくことです。社長や担当役員自らが信用できる現地アドバイザーとのネットワークを構築すべきです。そうした協力者に感謝しながら実地で得た経験は、事業展開においてかけがえのない資産となることでしょう。その上で海外展開が成功した暁には、アドバイスいただいた方々に感謝の念を伝えるとともに、新しく進出してくる企業に対してペイ・フォワードすることが、一番の恩返しになるのではないでしょうか。

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先週のグローバルアドテクシーン:Google Chrome、2018年2月よりユーザーライクではない広告ブロッキングサービスをデフォルトへ

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、主に先週に起きたグローバル市場のトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

mParticle、Microsoft Xbox SDKと連携

カスタマーデータプラットフォームのmParticleは、Microsoft Xbox SDKと連携しデータ連携を開始した。これで10種類のデバイスプラットフォームでデータを取得することが可能となった。

Fyber RTB、フラウド対策でAds.txtを採用

ビデオ動画広告サプライヤーであるFyber RTBは、在庫の透明性を向上させるフラウド対策の一環としてAds.txtを採用した。

ARTEEBEE、Header Biddingに対応開始

カナダのRTBプラットフォームのARTEEBEEは、Header Biddingやラッパーソリューションに対応を開始し媒体社の幅広いニーズに対応可能となった。

The Advertising ID Consortium、新メンバーとしてThe Trade Deskが加入

業界全体での共有を目指したOpenIDのコンソーシアムであるThe Advertising ID Consortiumに、新メンバーとしてThe Trade Deskが加入した。
16社目の参加となる。

HTF、2022までのプログラマティック広告市場の予想を発表

リサーチとコンサルティングのHTFは、グローバルと各エリアの2022年までのディスプレイのプログラマティック広告市場の予想を発表した。

Google Chrome、2018年2月よりユーザーライクではない広告ブロッキングサービスをデフォルトへ

Google Chromeは、今年6月から予告をしていたとおり、2018年2月15日よりユーザーライクではない広告ブロッキングサービスをデフォルトで内蔵することを発表した。

韓国最大手DSPのワイダープラネット、SSP「fluct」と接続開始

韓国最大手DSPのワイダープラネットは、SSP「fluct」と接続を開始した。
これによって、日本と韓国の広告主によるキャンペーンにおいて、より幅広い広告掲載と広告パフォーマンスの向上が可能となった。

Anodot、シリーズBで2,300万ドル調達

AIを利用した分析プラットフォームを提供するAnodotは、シリーズBで2,300万ドルを調達したことを発表した。

Fyber、Innovidと提携し動画広告領域を拡大

プログラマティックプラットフォームのFyberは、動画広告プラットフォームのInnovidと提携し、アプリ内動画広告領域を拡大・強化を発表した。

AdHive、業界初となるブロックチェーンベースのネイティブ広告AI制御プラットフォーム「Alpha」を提供開始

ネイティブ広告プラットフォームのAdHiveは、業界初となるブロックチェーンベースのネイティブ広告AI制御プラットフォーム「Alpha」を提供開始した。

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業界有識者予想:2018年はパブリッシャーのマネタイズ手法が進化

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(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

パブリッシャー業界は2016年から大きく変化を見せ、質の高いコンテンツと新たな収益源の確保にフォーカスするようになった。2017年を振り返り、2018年以降に期待できる事項を先取りするために、ExchangeWireは業界の有識者100名以上から意見を募った。このコラムでは、パブリッシャーが2018年に収益を最大化するための戦略について業界の有識者の予想について紹介している。

プログラマティックはデマンドを中心とした最適化が中心となる

写真1

「2018年には、パブリッシャーはユーザーの利便性を優先させ、読者を第一に考える必要があります。素晴らしいコンテンツを提供することが最優先されるべきです。特にモバイルでのユーザーエクスペリエンスとパーソナライゼーションは、読者の関心を捉え、サイトに長時間滞在してもらうために重要な事項です。パブリッシャーは、外部のディストリビューションプラットフォームへのリソースを削減し、オーディエンスの確保に注力する必要があります。 ロイヤリティを醸成しブランドの評判を向上させることが、これまで以上に重要になります。オペレーションチームとセールスチームは、コンテンツチームと密接な協力関係を築き、ユーザーエクスペリエンスと収益管理を両立させる必要があります。運用チームは、ユーザーエクスペリエンスと収益の両方への脅威に対して、リソースに優先順位を付けて対応する必要があります。最後に、ユニークな需要ソースや、透明性、購買プロセスにおける信頼の獲得のため、プログラマティックによるデマンド・パス最適化(DPO)に集中することも重要です。」

Intermarkets社、ビジネスデベロップメントシニアディレクター、Vipul Mistry氏

パブリッシャーは詐欺性のない、高ビューアビリティ、ブランドセーフなインベントリー提供が必要

写真2

「信頼性と透明性は、2018年のパブリッシャーの成功において不可欠であり、主要な購買指標として考慮されており、業界のあらゆる側面に影響を与えます。 信頼性と透明性は、常にThe Telegraph社にとっての価値であり、2018年には、顧客中心で、データ重視の高品質なジャーナリズムを開拓し、サプライチェーンにおける透明性を確保しています。 すべてのサイト運営者は、詐欺性のない、ビューアビリティの高い、ブランドセーフな広告枠を提供することを目指す必要があります。 私たちはすでに、The Telegraphと他の2社のパブリッシャーとの合弁企業であるVerified Marketplaceを今月初めに立ち上げましたが、これはまだ始まりにしか過ぎず、来年にはもっと多くのパブリッシャーとのコラボレーションが起こっていくと思います」

The Telegraph社、デジタル部門マネージングディレクター、Dora Michail氏

パブリッシャーはヘッダービディングのラッパーソリューションへの管理を強化

写真3

「パブリッシャーは、新たなヘッダー入札のラッパーソリューションを活用してプログラマティックをよりコントロールすることが可能です。パブリッシャーはすべてのデマンド・パートナーからの最初の価格に基づいてセカンドオークションを完了することができます。 このソリューションにより、買い手と売り手の間のより緊密なつながりが生まれるでしょう。 ファーストパーティデータの増加により、GDPRは、(明らかに)業界およびサードパーティデータの利便性に大きな影響を与えるでしょう。 これにより、多くのファーストパーティデータを持つパブリッシャーの価値が高まるでしょう。 来年には、ブランドコンテンツのより優れた利用が見込まれ、広告主はオーディエンスデータに基づいて異なるブランドコンテンツを活用するようになるでしょう」

Shortlist Media社、プログラマティックデータ・テクノロジー部門ディレクター、David Hayter氏

2018年パブリッシャーはAds.txtとGDPRにフォーカス

写真4

「過去12ヶ月間に、RTBの開始以来、パブリッシャーの収益化モデルにおける最大の変化があった年だと思います。ウォーターフォールはよりフラットなものになっており、ヘッダーや広告サーバーのレベルに関しては、ゆっくりとではあるものの、パブリッシャーのユートピアとでもいえる状況に近づき、真のホリスティックな収量管理ソリューションとなりつつあります。統合オークション(ダイレクト、広告ネット、およびプログラマティック競争など)の理論がベストプラクティスとして受け入れられ、現在は決定に至るファースト・セカンドの価格決定オークションメカニクスについての議論が活発になっています。 2018年に入ると、ads.cert、ads.txt、ファーストオークション、レートなど売り手側だけでなく、アクティベーションに焦点が移動してきています。 パブリッシャーは、クライアント側ヘッダー入札に加えて様々な利点を提供する無数のサーバー間ソリューションベンダーと出会う機会が訪れるでしょう。また、パブリッシャーはGDPRに伴う責務に伴った新たな契約形態に従う必要があります。これは現在まで収益化の軸となっていたクッキーの利用が不透明になることを示唆しています。しかしながら、確かな一つのことは、優れたパブリッシャーは2018年の予想に関して非常に強気である点です。多くの企業はプログラマティックの販売向けにダイレクト販売チームを編成している点、ads.txtにより詐欺行為を特定できる点、GDPRによって直接的な営業を通じてビジネスを維持できると考えている点、買い手側からのSPOに関する取り組みによってデマンド側及び、広告税など不透明なプロセス下にあった広告予算の把握が容易になっていることなどが背景として挙げられます。」

独立系アドテクコンサルタント、Paul Gubbins氏

パブリッシャーコンソーシアムはインベントリー管理のためにプログラマティックプラットフォームをより効果的に活用

写真5

「競合他社との差別化は重要なビジネス戦略ですが、その競合がGoogleやFacebookである場合は困難なことです。現在、すべてのデジタル広告費のおよそ85%がこれら2人のプレーヤーに支払われていると推定され、パブリッシャーは、コントロールを取り戻すために協力する必要があります。 CNNのようなプレーヤーは、すでにデジタル・パブリッシング・アライアンスのPangaea社と競合でもあるGuardian社、News UK社、The Telegraph社のビデオ・インベントリをUnruly社が運営する品質保障の市場にて管理する計画を発表しています。他の事業者も同様の動きを見せるでしょう。 コンソーシアムはこれまでパブリッシャーが「残りの」在庫をプログラマティックで販売するために使用されてきました。しかし、来年は、コンソーシアムによりプログラマティックプラットフォームの利用がなされ、多くのデジタルインベントリの管理、最適化、および配信の改善が期待されます。他のメディア所有者と提携することで、パブリッシャーは自分のデータセットを組み合わせて、より正確で強力なオーディエンスターゲティングを自分のサイトで提供できます。甚大なデータとプログラマティックプラットフォームがコンソーシアム上で提供する拡張性によって、パブリッシャーは二強の独占状況から自社のデジタルアセットに関心を抱かせることができます。」

PubMatic社、EMEA地域VP、Bill Swanson氏

パブリッシャーはよりプログラマティックビジネスを管理

写真6

「2018年には数々のテーマが統合されていくことになるでしょう。パブリッシャーとブランド企業は、プログラマティックビジネスによる戦略的な管理手法に大きな関心を示し、アドテクベンダーはより高まる透明性の要求に対応しなければならなくなるでしょう。 この傾向はユーザーの同意を伴うデータ受信の規制によってさらに加速され、消費者の手に価値と信頼の両者を提供する必要が生じます。品質と信頼に投資した企業のみが、明確な価値を確立し強力な立場を築くことができるでしょう」

Guardian News & Media社、プログラマティックディレクター、Daniel Spears氏

品質の高いコンテンツによってパブリッシャーがオーディエンスを収益化

写真7

「次の1年または2年以内に、多くのパブリッシャーが、広告表示をするだけでなく、オーディエンスとの直接の関係を確立することをサイトの優先事項として捉えるようになるでしょう。これは電子メールから始まります。CNN.comを30秒以上閲覧すると将来の姿を見ることができるでしょう。このサイトでの動きは、GoogleとFacebookのデジタル広告ビジネスの拡大による既存のパブリッシャーのビジネスを侵食することを軽減する動きです。パブリッシャーにとって、GoogleとFacebookを最も重要なトラフィック源としながら、最大の競合相手とすることは持続不能です。例えばジャーナリズムのような質の高いコンテンツの制作者は、オーディエンスから直接収益を上げるようなサブスクリプションモデルに移行するでしょう。一方で、サイトに広告が溢れブランド認知も高くないようなが多くの低品質のコンテンツ配信者であっても、品質意識の高い広告無しの定期購読モデルにオーディエンスを遷移させることで生き残ることができるでしょう

PostUp社商品マーケティングVP、Keith Sibson氏

パブリッシャーはユーザのアクセスに伴い報酬オプションの検討余地あり

写真8

「最近のBuzzfeedのレイオフ、Viceの予想を下回る収益、時価総額2億5,000万ドルの20%にしかならないMashableの売上などデジタルメディアの躍動的な一年となっています。 しかし、暗いニュースばかりではありません。NewYorkTimes社は、加入者数の増加、有料メンバーシップサービスの開始といった中長期的な方向転換を行い、そして政治的な環境の変化によってVanity FairとWashington Postのような媒体における収益は上昇しました。 持続可能なビジネスという側面から、パブリッシャーは、広告ベース、直接支払い、サブスクリプションモデルに至るまで収益を確保する手段をより広い視点から考える必要があります。パブリッシャーは、ユーザーにコンテンツを配信する方法だけでなく、アクセスに伴い公平な報酬を提供する方法など、それぞれの収益化戦略を評価するために距離を置いて考える必要があります。」

Sourcepoint社CEO兼共同創業者Ben Barokas氏

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先週のアドテクシーン:スパイスボックス、アジア地域に進出

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明けましておめでとうございます。
2018年もExchangeWire JAPANをよろしくお願いたします。

広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。(年末を挟んだため、昨年末のトピックスを中心にお届けします。)

【新サービス・新機能】

TBS・テレビ東京・WOWOW・日本経済新聞、定額制動画配信サービス「Paravi (パラビ)」を来年4月に提供開始

TBS・テレビ東京・WOWOW・日本経済新聞は、それぞれが出資しているプレミアム・プラットフォーム・ジャパンから定額制動画配信サービス「Paravi (パラビ)」を来年4月に提供開始することを発表した。(PDFアイコンPDF)

メディアインキュベート、運用/記事代行サービスの「メディアアドエージェンシー」をリリース

メディアインキュベートは、月額5万円から提供するリスティング広告代行、SNS広告の運用代行/記事広告の選定も包括的に提供する「メディアアドエージェンシー」をリリースした。

【サービス連携・業務提携】

D2C Rの 「ART DMP」、動画広告プラットフォームの「VidSpot」と連携

D2C Rの 「ART DMP」は、動画広告プラットフォームの「VidSpot」と連携した。
リアルタイム且つオートマチックなデータ連携を実現する。
ART DMP チャート

出典:同社プレスリリース

アイモバイルの動画アドネットワーク「maio」、「AdMob メディエーション」と連携及びオープンソースに対応

アイモバイルの動画アドネットワーク「maio」は、「AdMob メディエーション」と連携及びオープンソースに対応し、アプリデベロッパーに対して技術的な実装を含め収益改善をサポートする。(PDFアイコンPDF)

サイバーエージェント、世界初となる「Criteoリセラープログラム」にAPIとの連携により対応

サイバーエージェントは、ECマーケットなどを運営する企業がCriteoダイナミックリターゲティングを、広告商材として売り手となる企業や店舗へ提供する「Criteoリセラープログラム」と世界で初めてAPI連携を果たした。

Candee、キャスティング専門会社「エイスリー」と業務提携を締結

Candeeは、マーケティングに活用するための最適なマッチングを実現するキャスティング体制を強化することを目的に、キャスティング専門会社「エイスリー」と提携しタレントマネジメント事業を拡大させる。

【新会社・新組織】

ファンコミュニケーションズ、nend事業部とnex8事業部を統合しADプラットフォーム事業部を新設

ファンコミュニケーションズは、nend事業部とnex8事業部を統合しADプラットフォーム事業部を新設した。(PDFアイコンPDF)
また新事業部の部長には二宮幸司氏が任命された。

【調査】

OathグループのFlurry Analytics、「モバイルアプリの利用実態調査」を公開

OathグループのFlurry Analyticsは、「モバイルアプリの利用実態調査」を公開した。
3,166社の協力の元、7,600万台以上のデバイスにインストールされた21,000個以上のアプリアクティビティの総合データを基にした。

【海外展開】

スパイスボックス、アジア地域に進出

博報堂グループのスパイスボックスは、中国/タイ/インドネシア/台湾を中心とするアジア地域に進出し、現地企業向けにブランディング動画制作・配信支援をスタートした。
同じく博報堂グループのDACともテクノロジー領域で連携する。

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maioとIronSourceによる、動画リワード市場の新しい渦 [インタビュー]

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世界最大規模のモバイルアプリプラットフォームironSourceが日本市場に参入、アイモバイルの動画リワードアドネットワークmaioとの連携を開始した。(PDFアイコンPDF)

両者の提携の背景と今後のビジネス展開について、ironSourceビジネスデロップメントディレクター峯秀一郎氏、アイモバイルmaio事業部メディアグループマネージャーの早瀬優希氏に、お話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

イスラエル発のironSourceとは

― ironSourceのビジネスについて、お聞かせください。

写真1

峯氏  ironSourceは2010年にイスラエルを本社に置いて設立されました。PC向けのマネタイズソリューションを展開していましたが、2年前にスーパーソニックというモバイルのマネタイズソリューションを展開する企業と合併して、現在主軸になっているモバイルメディエーションのソリューションを展開するようになりました。

― 仕組みや流れを教えていただけますか。

峯氏  1SDKにて動画リワード、インタースティシャル、バナー広告のメディエーションに対応しています。ApplovinやUnityAdsなど主要な動画アドネットワークと連携していて、それぞれのアダプターをSDKに追加する形で、広告による収益化が可能です。流れとしては、メディエーションプラットフォーム上にて各アドネットワークによる入札が行われ、最も収益性の高い広告案件が配信されます。

― 日本市場参入の背景についてお聞かせください。

峯氏  ironSourceは本社をイスラエルにおいて欧米を中心に展開していましたが、3年前にアジア進出の足掛かりとして中国の北京にてオフィスを開設しました。北京をAPACの主軸とし、昨年より韓国と日本での事業を始めました。日本市場参入の背景としては、特にゲーム面において欧米の市場である程度シェアをとれていたことと、プロダクト自体が成熟したこと、まだ追い風として日本市場においても動画広告の需要が高まってきたことなどが挙げられます。

1年半の時を経た両社の連携

― maioとの提携に至った背景と経緯についてお聞かせください。

写真2

早瀬氏 maio側からは以前よりずっとアプローチをしていました。日本のSSP(メディエーション)とironSourceとでは大きな違いがあります。日本のSSPは、パブリッシャーさんがメディエーションを使う上で手数料がかかりますが、ironSourceの場合はironSourceメディエーション内でironSourceの持つ広告在庫を配信することができるため無料です。一方、それを自社で運用したいという大手のパブリッシャーさんはすでにironSourceに興味を持たれておりまだ我々があまり知らなかった頃に既にironSourceを導入されていました。ironSourceのことを調べていくうちに、アプリ領域では世界最大規模のモバイルメディエーションであることがわかりました。

そこで同社と連携したいという思いが強くなった頃、峯さんが日本におけるビジネスの責任者になられたので、アプローチをかけていました。その期間は1年半~2年と長かったですね。

― ironSourceとmaioとの提携内容についてお聞かせください。また両社の連携提携によりどのようなことが可能になるのでしょうか?

早瀬氏 日本のアドネットワークとしては、初めてironSourceのモバイルメディエーションに連携できたものです。これによって、グローバルに配信することも今後可能になっていく予定です。

最初の連携としては日本のインプレッション、在庫を持っている海外のデベロッパーがmaioの広告を配信できるようになります。反対に、日本のデベロッパーで海外展開していこうという場合、ironSourceを入れることで、日本ではmaioを利用し、海外ではグローバルなironSourceの広告や、ironSourceのメディエーションに既に連携している、大手グローバルSDKから広告を配信することができるようになります。

― ironSourceはどのような観点で「世界最大規模」なのでしょうか。

峯氏  ironSourceのリーチがMAU12億人に上り、このような観点で「世界最大規模」であると認識しております。

― これまではゲーム業界の中で認知を広めていらっしゃったのですか?

峯氏  モバイルの事業を始めた当初は、オファーオールなどを提供するマネタイズソリューションを中心に展開していました。その後、市場に合わせて動画リワードの需要が出てきたタイミングで、そちらにシフトしていったのですが、メディエーションプラットフォームについては、当時弊社の動画リワードSDKを利用していた北米のゲームデベロッパー数社からの要望に基づき開発し、都度彼らが抱える課題に対して解決策を提供するような形で、機能追加などの改修を重ねてきました。

そのため、メディエーション部分は弊社ネットワーク含め、どのネットワークも同じ条件にて評価されるようなロジックになっており、レポーティング部分についてもデータの透明性を重視したものになっています。配信の優先度や配信ネットワーク自体、すべてパブリッシャー側で自由に設定することができます。また自社広告や広告枠を直接売買できるダイレクトディールなども、あらゆる収益化施策が実施可能です。。

さらにそこから一歩踏みこんで、ユーザー動向の解析やユーザーセグメントに基づいた配信設定のカスタマイズ機能なども提供しており、ユーザー体験やエンゲージメントも含めた包括的なツールとして利用していただきたいと思っています。

第一線で活躍しているデベロッパーからの生の声を汲み取り、すぐにプロダクトに反映することにより、大きく成長することができました。デベロッパーによるデベロッパーのためのマネタイズソリューションといえるのではないでしょうか。

― 連携ではかなり長い期間を要しましたね

写真3

峯氏  弊社の都合もありますが、グローバルで展開しているので、なかなかローカルのマーケットに合わせてというのが難しく、maioとの連携の重要性を認識するまでも時間がかかりました。

maioを日本で初めての連携先として選んだのは早瀬さんからの熱烈なアプローチだけではなく、弊社がSDKを日本でどうやって展開していくかについて、考えた結果です。パブリッシャーさんにとってメリットを提供できないと意味がありません。実際にパブリッシャーさんにお話を聞いている中でmaioの評判がどこにおいても高く、これは弊社としても連携することで、パブリッシャーさんに対して大きなメリットとなるであろうという判断があったからです。

連携のメリットはグローバルでの補完関係

― 今後の具体的なサービスの展開イメージをお聞かせください。また、ironSourceの日本市場でのビジネスプランをお聞かせください。

早瀬氏 まずは日本市場で、日本のパブリッシャーさんも海外に展開していかねばならない時期で、台湾や香港などグローバルに広がっていっています。しかし、広告のマネタイズの部分ではあまり最適化できていません。以前あったのがmaioのお客さまのアプリが中国で、当地の大きい媒体に取り上げられていきなりランキングが上がったのですが、在庫が足らずフィラーが出てしまっていました。そういうところにironSourceを紹介させていただきます。これまではその部分ではmaioは使えませんでしたが、今後は日本ではmaioの収益性の高い広告、海外ではironSourceのグローバルな広告と使い分けてサポートさせていただこうと思っています。

maioの広告主からすると、ironSourceの持っているゲームの日本在庫にmaioを配信することができるようになるので、世界規模のゲームのインプレッションを買えるという利点があります。

現状、デベロッパーは海外での広告のマネタイズにおいて、情報もサポート体制が少なくて困っているではないかと思っています。その部分でサポートの連携もできますし、展開のアプローチもできるのではないでしょうか。

峯氏  早瀬さんがおっしゃったのとは反対になりますが、弊社はグローバルでは既に事業展開をしております。しかし日本のアプリ業界内においてはまだ知名度もありませんし、メディエーションの普及も、まだこれからだと感じています。ですから、単純にSSPとしてリプレイスして入れてもらうのではなく、エンゲージメントプラットフォームとしてご利用いただきたいという前提があります。そこで、maioの認知度や営業リソースをご協力いただいて日本でもパブリッシャーさんのマネタイズに貢献できればと考えています。

まだ日本の市場でマネタイズが浸透しきれていない部分も大きいと思いますので、これまでのイメージを覆すようなポジティブな実績を作っていって変えられればと考えています。

― 今の動画広告市場における動画リワードの需要性をどのようにご覧になっていますか?

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早瀬氏 動画リワードに関しては、もともと広告マネタイズモデルとしてアプリを展開されている、カジュアルゲームのデベロッパーに関しては、かなりポジティブに考えていただけるようになっています。アプリを作る際には動画リワードという、動画をるとインセンティブがもらえるというモデルを、アプリの作成時中にゲームバランスに組み込むことが当たり前になりつつあります。

しかし、課金型のソーシャルゲームへの導入は、まだまだこれからといったところです。

かたや海外では課金型のソーシャルゲームに動画リワード広告や動画インタースティシャル広告があたりまえのようにアプリ内に組み込まれているということを考えると、成長の余地がまだまだあると考えています。

直近でいうとスクウェア・エニックスさんの2タイトルで独占配信させていただくことになったのですが、ゲーム制作側の考えもそれぞれですし、ほかのゲームにどんどん展開していきましょうという感じではないので、一つずつですがしっかり導入が進んでいけば未来といいますか、伸びしろはあるのではないでしょうか。

スクウェア・エニックスさんで独占させていただくのは、1500万ダウンロードされているゲーム「グリムノーツ」、と、「フレイム×ブレイズ」というゲームです。選んでいただいた理由はいろいろありますが、国産のサポート体制が万全であるというところが大きかったようです。もちろんmaioの動画在庫を魅力に感じていただけたことも大きかったと思います。また、先に「フレイム×ブレイズ」に入れていただいていたので、横展開がしやすかったこともあるでしょう。

ソーシャルゲームは海外展開していることが多いですが今回の連携により、海外をカバーしてもらうことが出来ます。その意味でもironSourceとの連携は大きな意味があると思います。

― 最後に両社からのメッセージがあればお聞かせください。

峯氏  EA(Electronic Arts/EA Games)さんをはじめ、世界中で80,000以上のアプリに導入されています。日本でもストアランキング上位に入る海外ガジュアルゲームアプリに多数導入され、収益の最大化はもちろん、ユーザーエンゲージメントやユーザー体験の向上のお手伝いをさせていただいています。是非日本のデベロッパーにもironSourceメディエーションプラットフォームの効果を体験していただければと思います。

早瀬氏 EAさんのゲームなどは、日本でもプレイしている人がたくさんいます。また、海外ゲームで遊んでいるユーザーはゲーム好きな人が多いイメージです。ironSourceとの連携することにより、そのユーザー層に対して、maioで配信ができるのはかなり大きいと考えています。ですから、海外のデベロッパーが今後日本でマネタイズしようとした時に、maioを使えば日本での収益性が高まるというイメージを持っていただきたいです。そのイメージが強まれば、かなり大きな規模感になるでしょう。日本のデベロッパーが海外に展開されたい際にも、弊社からironSourceをご紹介、提案してサポートさせていただくつもりです。

maioとしては今回の提携を海外展開の第一歩として、今後どんどんシェアを広げていきたいところです。ironSourceにも日本でのシェアを伸ばしていただいて、相互に補完し合えればよいと考えています。

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トラッキングは死んだ。より息の長い広告手法を!

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(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

戦争では、一方が領土を得て、他方は領土を失っていく。ネット業界では先日、ユーザエクスペリエンスを重んじ、インターネット上でそれらを損ねる作業を行なっている企業への方策を投じたAppleが勝者となり、インターネット広告の先駆者であるCriteoが敗者となった。Illumaのマネージングディレクター、Duncan Arther氏がExchangeWireに、Appleが実施しているIntelligent Tracking Prevention(ITP)がなぜ広告に適しているのかについて説明してくれた。

AppleはCookieのトラッキングを利用できないようにアップデートを行い、これによりサードパーティがサイト間でユーザを追跡することができなくなりました。Safariのブラウザ使用率は4%未満ですが、Criteoの株式価値は27%下落しました。

Appleは広告ビジネスを持っていないためこの変更を実行することができます。 Googleが運営する、遥かに利用者の多いブラウザであるChromeにおいても、恐らくGoogle以外の事業者が追跡を行うことを難しくするような変更を行うことでしょう。

Criteoなどの事業者は、「回避策」となるべくサービスを開発していますが、機能するかどうかはわかりません。彼らはまずは現状回帰を目指しているようですが、それ自体それほど素晴らしいことではありません。

データがどのように「機械学習」を通して広告に情報を伝えているかについて言えば、ほとんどのアドテク企業が行なっている自動化は限られたパターン認知しか行なっておらず、Criteoのケースで言えば、ユーザが自動車サイトを閲覧後、数週間の間に広告がつきまとうといった具合です。

広告は、アドサーバーの奥にいる実際のユーザについてより実践的な学習を行う必要があります。ブラウザがユーザエクスペリエンスを重んじるにつれ、またプライバシーに関する規則が固まるにつれてトラッキングは技術的な障壁にぶつかるからです。

データの大きさは品質とは異なる

広告主は、オフラインで、オーディエンスのセグメンテーション作業に大金を費やしています。これにより、商品を購入するユーザの深い洞察が得られ、それらの洞察は広告作業への活用に有効的です。一方で、広告主はオーディエンスについて調査によって得られた情報のほとんどが、サードパーティオーディエンスを特定する上ではほぼ利用できないことを理解します。DSP側で広告主の消費者に合致するような名称のセグメントを提示したとしても、データ自体が古かったり、深みに欠けていたり、不正確だということはよくあり得ます。

結局最良のデータ企業は、自社の顧客から集めたCRMデータなのです。しかしながら、これらに依存してメディア決定を行うことは、成長戦略というよりもストップ・ロス戦略といってよいでしょう。サイトの訪問やショッピングカートの破棄に基づいたリターゲティングと同様に、既に商品を知っているユーザのみに広告が表示されます。リターゲティングの場合であっても、積極的に購入を考えていないユーザへのリーチに費用が投じられたりします。

既存顧客へのマーケティングから得られる成長は限りがあります(実際には顧客を失わずに値上げを実行することができた場合以外は成長が望めません)。広告主は古いやり方に戻り、非常に限定的な学習機会を伴わない機械による観察に基づいた活動を行い大きなリターンが得られなくなっています。

学習から得られる成長

広告が単に配信の仕組みから学習プロセスに変化する場合、より効果が見込めると思います。これについて説明をさせてください。

リーチに知的要素を加えようとするには広告主のメッセージと広告を閲覧する人のコンテキストを理解するシステムが必要です。特定のメッセージは、特定のコンテキストにおいてパフォーマンスが優れる場合があります。

広告内容を理解するには、キーワードを解析するだけでは不十分です。機械はコンテンツの次元性を理解するほどに賢くなくてはならず、また、広告メッセージが有効か否かを学習する必要があります。これには一定の実験が必要となります。

効果的なコンテキストが常に変化することも認識しておかなくてはなりません。それは主観的なものだけではなくユーザの文化的なコンテキストにも影響を受けるため、私たちがソーシャルメディアの絶え間ないコンテンツを見ているが如く瞬間的に変化します。したがって、効果的なコンテキストを何度も繰り返せばよいというわけではなく、一定のテストと有効性持続のための調整が必要となります。

ブラウザの制限によってもたらされている変化は決して広告業界にとって悪いことではありません。現状のサービス(必ずしも真実ではない)から抜け出しさらに素晴らしいサービスを提供することは苦痛を伴います。この場合、パターン認識や類似モデルなどの世界から、より効果的なユーザ学習の手法へ変化をしていく必要が生じます。

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Twitter Japanの動画広告市場、2017年と2018年 [インタビュー]

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日本でのアクティブユーザー数が4,500万人に達し、さらに伸びるといわれているTwitter。Twitter Japanでは動画広告をさらに増やしていく考えだという。そこには日本ならではのマーケットの特徴や興味深い戦略が存在する。2017年の動画広告市場の振り返りと2018年の見通し、そして同社の戦略について、Twitter Japan株式会社 上級執行役員 広告事業本部長 兼 日本・東アジア事業開発本部長 味澤 将宏氏に伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

ビューアブルな動画広告が成長を牽引

― 2017年の動画広告市場の状況について、どのようにご認識されているかをお聞かせください

味澤氏 2016年の段階で、2017年の広告市場について聞かれることが多かったのですが、私はこれに対して2017年は動画広告のマーケットが爆発的に大きくなる年になるだろうと話していました。2017年は実際にそうなり、動画広告の需要が非常に伸びました。

テレビCMの広告予算の多くが動画広告に入ってきています。もともと外資系企業を中心にオンラインの動画広告需要は大きくなってきましたが、そこに日本のトラディショナルな大手広告主の皆さんも参入してきたことが2017年の大きな変化です。

― 動画広告市場に関連する2017年のトレンドをお聞かせください

2017年も2016年に続き媒体、テクノロジーともに様々なものが出てきました。2017年の流れとして大きかったのはプロダクトのみならず、ブランドセーフティが語られた年になったということですね。2017年の年初にP&Gのチェアマンが透明性やビューアビリティの話を出しました。2016年は動画アドネットワークへの出稿が多かった一方で、2017年はこの流れから変化が見られたように思います。

広告主は動画をよく使われるようになりました。ですがブランドセーフティのためにビューアブルなところへ、という要望とセットで需要が伸びてきています。

インストリーム動画広告に注力

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― Twitter Japanの直近の動画広告に関する取り組みについてお聞かせください

動画コンテンツ上でのインストリーム動画広告の提供を2017年10月に開始しました。
グローバルでTwitterでの1日の動画の視聴回数は12億回です。年率200%増ですので、倍になりました。これは当社が力を入れているコンテンツの部分によることが大きく、様々な種類のメディアの皆さんが当社のプラットフォーム上で動画を配信する、すなわちコンテンツが増えているという意味でもあります。当社と契約していただいているパブリッシャーにコンテンツを配信してもらい、その冒頭にインストリーム動画広告を入れます。簡単な例を挙げると、スポーツドリンクの広告のあとに、スポーツの動画が入るというようなものです。

動画広告の尺は15秒まで入れられますが、6秒以内の短いものが使われるケースが多いです。インストリーム動画広告自体はAmplifyというプロダクトを踏襲したものであり、これはカスタムで一つのパブリッシャーに対して一つの広告主がつく、というかなりプレミアムな取り組みでした。ですが、今回のインストリーム動画広告は、カテゴリごとで買えます。「スポーツ」で買えば当社で契約しているスポーツのコンテンツホルダーのどこかに入って来る、というような感じです。コンテンツホルダーは、一つ一つ当社が直接契約しており、広告価値があり、ブランドセーフティな動画コンテンツを選んでいます。おかげさまでインストリーム動画広告は毎月増えており、コンテンツを増やしつつ広告を増やすという仕組みがうまく噛み合っています。

クライアントはナショナルクライアントを想定しています。実際に需要の伸びが高いのは消費財のカテゴリなどです。ソーシャルメディアのコンテンツは、文字から始まって写真になり、そして今は動画です。タイムラインを見ていただくと動画が増えていることが分かりますよね。このように成長してきて、ソーシャル上で人が動画に触れることが増えており、広告主の皆さんの動画広告の出し先がソーシャルに移ってくるのは自然な事象でしょう。

また、アプリデベロッパーの皆さんの出稿も動画を活用したダウンロード広告が主流になってきています。インストールボタンあるいはビデオをタップすることでインストールまで行くことができます。この領域の成長もとても高いです。

また、ビデオウェブサイトカードというプロダクトでは、動画広告を見ながらウェブサイトに遷移させることもできます。これまでブランディングとパフォーマンスが両立できなかった、動画の完了率を上げつつ、ウェブサイトにランディングさせることができるので、ブランド広告主もダイレクトマーケティング系の広告主のいずれにも活用いただいています。ブランディングとコンバージョンに関する二つのKPIが同時に達成できるのです。

動画広告に必要な貨幣価値の統一

― 動画広告ビジネスをするうえでの課題についてお聞かせください。

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課題はやはりビューアビリティとブランドセーフティです。Twitterでは動画広告をローンチした時から、MOAT社と契約をしており、ビューアビリティをきっちり保証しています。なお、MRC(米Media Rating Council)の動画広告のカウントの仕方については最初から適用していました。しかし、ビューアビリティは日本ではまだ新しい概念です。これが今後広がらないと、広告主の皆さんが疑問を持ち、マーケットの成長に悪い影響が出るかもしれません。かなり話題になっているトピックで、業界内外でも協議をしているところです。

動画広告を購入する際の指標、すなわち貨幣価値の統一も課題です。本来であれば、テレビも含めて同じ貨幣で全てを測れるのが最も望ましいのです。ですから、まずはオンラインの貨幣価値でそのことを言えるのがよいので、そのためにビューアビリティの定義をきちんとして、何を持って動画広告の課金をすべきかを決めることが重要だと思っています。

いま外資系のプラットフォームは、ほぼMRCの定義に準拠しており、広告主の皆さんからも一定の理解を得ています。MOATやIASのようなビューアビリティを計測するベンダーツールを導入するなど、外部に監査させる仕組みの整備を同時にして、動画広告を買い付けるための貨幣価値の統一を進めていくことが望ましいです。

これについては、広告主側からも強く要望していただくことが大切で、同じ基準にしてもらう、それがないものは買わない姿勢が必要だと思います。その前に、プラットフォーム側としても率先して透明性を挙げていかねばならないと思います。

2018年はライブの年

― 2018年の見通しをお聞かせください。動画広告市場はどのように変わるでしょうか?

味澤氏 さらに伸びると思います。ブランドだけではなく、アプリのダウンロード広告(ダイレクトマーケティング)、オンライン広告のすべてのジャンルで動画広告が使われていくと思います。あと、注目すべきはライブです。Twitterには「プロモライブビデオ」というプロダクトがあり、ライブ動画自体を広告として配信できます。また、プレミアムなイベントに関する「ライブ配信」ではプリロール、ミッドロールで動画広告を配信することも可能です。この市場も今年は伸びていくでしょう。

― ライブ配信は在庫ボリュームの観点で課題もありそうですが、いかがでしょうか?

味澤氏 ライブ動画配信中のビューはとても多いので、その後にある程度の期間アーカイブとしてストックされる在庫のボリュームが大きいです。ライブ動画のコンテンツは価値が高く、その後例えば1日で利用者に拡散していく度合いは、最初のライブ動画の強さによります。ライブ動画の内容がTwitterの文脈に合うほど拡散されるという構造です。ライブ動画をリアルタイムで見ることに関しては限られますが、広告商品としての構造からいえば、多くのユニーク・ビュー数をとれます。たとえばユニリーバさんがLUXの#バスタイムトーク(https://twitter.com/Lux_Luminique)を提供されていますが、これは2人のインフルエンサーが女子会トークをするという内容で、1時間弱の番組です。注目すべきことは、トークだけで100万ユニーク・ビューをとれていることですね。そのあとも多くのユーザーを獲得しています。

ここにはコンテンツの強さ、ニーズ、インタラクティブ性があります。また、映画会社もこの仕組みを活用しており、映画「銀魂」の公開日も、弊社内に簡易スタジオを作って出演者によるライブ動画を配信しました。テレビ以外で、これまで広告主がライブで100万人と接する機会はこれまでにはありませんでした。それを広告主の皆さんがオウンドコンテンツとして作れるようになったのは、とても大きな変化です。

― 業界では、貴社は日本のマーケットの声を反映し、また広告業界に対するサポートが手厚いという声をお聞きしますが、そのあたりについてはどうお考えですか?

味澤氏 それはとても嬉しいですね。日本のマーケットの声を反映しているのは、Twitterは日本が最も重要なマーケットだと考えているからです。利用者の伸び、現在4,500万人でさらに伸びていることもそうですし、利用者の質も高いことがその理由です。

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アクティブな利用者の率も日本では高く、検索用途での利用率の高さ、エンゲージメント率の高さなど、とてもTwitterを使い込んでいただいています。

広告ビジネスの売上はグローバルの15%を日本が占めています(2017年第3四半期)。こうしたグローバルのプラットフォームで米国以外の国が10%を越えることは、ふつうないですね。こういった意味で日本は重要なマーケットであり、その声も本社にも届きやすいのです。アプリのダウンロード広告やダイレクトマーケティングは日本の方が米国よりも進んでいる面もあります。ですから、日本からのリクエストを受けてプロダクトが開発され、それがグローバルで使われていくという流れが出来つつあります。グローバル企業としては、変わった流れです。だから本社の重役もよく来日しています。プロダクトチームも日本を重要視していて、頻繁に来日してヒアリングしています。

実は、2017年の初めに組織のストラクチャーを変えました。営業チームを「クライアントソリューション」と改称しました。トップ300の大手クライアントに対して、ソリューションセールスをしていこうと、業種ごとにチームを分けました。これにより、かなり戦略やナレッジの共有と理解が進み、業界に対する知識の蓄積や、Twitterならではの成功事例を効果的に増やせています。

一方で、「ブランドストラテジー」というチームもあります。このチームではTwitter上のインサイトを導き出し、クライアントが抱えるマーケティング課題に対するソリューションをクライアントと一緒に考えるという取り組みをしています。

最後に日本は、エージェンシーへの依存度が高いという構造であり、エージェンシーがメディアとクリエイティブの戦略も全て持っている、という世界でも特殊なマーケットです。これにあわせて組織を組むことが重要だと思っていました。2018年はより一層エージェンシーとの協業が重要だと思います。

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先週のアドテクシーン:アイレップ、カラックを買収

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広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

タグピク、ハッシュタグ最適化サービスを提供開始

タグピクは、EC企業などを対象にしたInstagramアカウントでのハッシュタグ最適化サービスを国内で初めて提供を開始した。

GMO TECH、ゲームアプリのプロモーションを支援する成果報酬型のアプリ向けDSP「GMO SmaAD DSP」を提供開始

GMO TECHは、ゲームアプリのプロモーション等を対象にしたインストールや課金・起動などの行動を軸にした成果報酬型のアプリ向けDSP「GMO SmaAD DSP」を提供開始した。
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【海外展開】

電通、米国のデジタルマーケティング会社「ハローワールド社」の株式過半を取得

電通は、米国のデジタルマーケティング会社「ハローワールド社」の株式過半を取得し、買収した米国独立系で最大級のデータマーケティング会社「Merkle」とシナジーを目指す。

トランスコスモス、「DECAds Connect Edition」の「Amazon Alexa」への対応を開始

トランスコスモスの「DECAds Connect Edition」は、「Amazon Alexa」への対応を開始した。
これにより既存デジタルサービスやAI/botサービスを、簡単に短期間でスマートスピーカーに対応が可能となった。
図

出典:同社プレスリリース

【サービス連携・業務提携】

日本IBM、「TREASURE CDP」の販売を開始

日本IBMは、トレジャーデータが提供するカスタマーデータプラットフォーム「TREASURE CDP」の販売を開始した。

コラボスとジーニー、業務提携の基本合意書を締結

コラボスとジーニーは、新たなデジタルマーケティングプラットフォームの共同開発と販売強化を行う目的で、業務提携することについて基本合意する。

ユナイテッドの「VidSpot」、CyberZが運営するゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」上でインストリーム広告配信を開始

ユナイテッドのモバイル向けの動画広告プラットフォーム「VidSpot」は、CyberZが運営するゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」上でインストリーム広告の導入支援をし配信を開始した。

アイレップ、カラックを買収

アイレップは、2005年SBIグループのハウスエージェンシーとして設立され、その後スパイスボックス子会社となったマーケティング事業者のカラックを買収した。

テレビ朝日、KDDI 視聴者向けに番組連動型「ライブコマース」のトライアルを実施

テレビ朝日とKDDIは、視聴者が商品紹介のライブ配信を見ながら商品購入ができる番組連動型「ライブコマース」のトライアルを実施した。
俳優などを実演販売士として番組で育成し、ライブ動画でも自ら商品を販売する仕組みを目指す。

【新会社・新組織】

AdsAsia Holdings、親会社をAnyMind Groupに

AdsAsiaholdingsは、親会社をAnyMind Groupとし、傘下に3つの事業会社を置く体制とした。
事業会社は、マーケティングソリューションを展開するAdAsia Holdings、リクルーティングソフトウェアカンパニーのTalentMind、インフルエンサーマーケティングカンパニーのCastingAsia である。

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